カテゴリー「サマルカンド・ブルー安井かずみ・加藤和彦・立川直樹 対談 」の記事

2008/06/06

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談⑥

009

N:TAKUROは言ってたよ。"KATOは俺のこと, 研究してるんだよ”って。"いいプロデューサーだよ" ともね。

T:「サマルカンド・ブルー」も最初とは全然違う風になっちゃったね。テンポもそうだし,旧曲とは全然違う。

N : TONOVANは何曲メロディーを書いたの。

T:いや,僕が1人で書いたのは「パラレル」と「ロン リーストリートカフェ」だけて,あとはTAKUROの メロディーを......。

N:いじった!

T:そう。

N:いじるだけいじった。豆腐が玉子に見えてしまう 位に……。

z:どっちもいじれなかったのが......。

T :「TOKYO」はいじってないな。

z:「風のダイアローグ」もね。

T:でも,そういう風に言うと,勝手に僕が変えてるみたいだけど,さっきのライオン説っていうか,ライオンはライオンで,自分が何だか気づいてないわけだ から,すごくいいメロディーとか,いい何かを持っていれば,それが無造作に出てしまうんだよ。

N:さり気なく出されたものは,根本的な部分ではいじれないものね。

T:だから逆に言うとTAKUROみたいなアーティス トっていうのは,絶対にプロデューサーが必要なのね。ダイアモンドの原石だからね。

z:そう,完全に原石!

T:ちょうど上でビリー·ジョエルがやってるけど,彼ほどになれば自分でレコードはできるわけよ。でもフィル·ラモーンが絶対についている。

N:そうだね。

T:そういうところがさらに凄いものを生み出す! 1+1が10の世界になっていく。

N:ジョン·レノンがジャック ダグラスと組んだのも そうだよね。

T:そう。自分で全部やっちゃうっていうのは小さいよね。

z:そういう意味でTAKUROは今回,原石をピカピカに光らせたんじゃないかしら。ヴォーカルもうまくいったし。

N:ヴォーカルに力が入ってるよね。これでヴォーカルが決まらなかったら2人に負けたということになるんだから頑張ったんだよ。プロデューサー,作詞家,ヴォーカリストの三位一体となって,最高にTAKUROはパワーを出してるんじゃない。

z:いやあ,見事なもんですよ。

T:ヴォーカルの前はビッシリお酒もセイヴしてね。 そういうところはすごく繊細なんだよ。

N:やはり本物のライオンだ。

z:とにかくあの頑固さは並大低のものじゃないわね。作詞とか何とかでケンカすると,もう言いたい放題だもの。TAKUROも詩がわかるから私も負けないと思うし.....。

N:とにかく凄いものができてるよ。

Z:そう,うれしいわ。楽しい仕事になったけど, 2月から書き始めて,もうかかりっきり。他のことなんて全然できなくて,収入なんてなしよ。TAKUROの詩ばっかり書いていて。

T:今年になって,こればっかりやってるね。

z: (笑)うちは食べていけるかどうかって位にね。

T: "私なんか全部仕事断って書いてるのにってZUZUが言うと, TAKUROは"おお!もっと断れ, 断れ"だからね。

z:軽いのよー。

N:見事なものだね。

(in the car on the way back)

N:本当に本物しか生き残れないね。

T:本物じゃない人は去っていくしかない。

      終

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2008/06/05

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談⑤

T2

T: 何だかんだ言っていろんな人をINVOLVEしてるけど,何か不思議なプロジェクトだなぁ。

N:異常な魅力。

z:異常であり,なおかつ贅沢。

T:贅沢度においては,上でビリー·ジョエル,横で シンディ ローパーがやってるけど,全然負けてな いね。

z:でも今回のプロジェクトがパリじゃなくてよかったし、ローマじゃなくてよかった。日本食レストランがこ んなにニューヨークにあるとは思ってなかった。

T:本当にいっぱいあるね。でも,あの日本レストラン 独特の悲しげでノスタルジックな感じってどうにか ならないのかなあ

N:それは同感だなあ。

z:やっぱりフレッシュなものを食べようと思ったら, その土地のものを食べるのが一番よねo HAMAののおひたしを食べるんなら,スピナッチサラダを 食べた方がよっぽどいいもの。

N:だけどライオンはそうは言わない。

T:ライオンはおひたしだ(笑) (it is cool to eat sushi and have conver- sation in English)

z:でもニューヨークって最高! 住みたいとは思わ ないけど。

T:ビジネスでも何でも,はっきりしているところがいいね。主張が激しいところではあるしね。

N:すごく主張はあるよね。

z:億万長者でも,ヤッピーでも,トレンディでも,ヒッ ピーでも,どこかに生きざまをおけるわけでしょう。そ してお金はあまりないけど今を生きたいという人 たちが光ってるわね。

N:日本で言うと我々と同じ"魂の世代"と呼ば れるジェネレイションの人間たちだね。

z:そういう中間層の人たちが頑張ってると生き心 地がいいわよね。

N :日本でもそういう人たちに「サマルカンド・ブルー 」を聴かせたいね。今は日本に日本語の歌を聴 きたくなくなった人ってたくさんいるんだけど,そういう人にあれを聴かせたときに……。

z:ガーンと!

N :間違いなくいくね。TONOVANが「ブロンド・オン・ブロンド」の86年版て言ったのもわかるし……。 きかたが違うもの。

T:違うところからくるでしょう。

N:いきなり脳天杭打ちみたいな世界。

T:間がないのね。

z:詩を作るときにね。もう随分前なんだけど,シルク ロードを女が車で踏破するという企画があったの。 それがある事情でパアになっちゃつて,私はシルク ロードに恨みを持ってたのね。サマルカンドっていうとシルクロードのポイントにあるわけで,終点はトルコのアンカラ。そこで当時のボーイフレンドと会う約 束もしたんだけどパアになって……。以来,私はサ マルカンドに恨みと夢を持ち続けちゃったのね。

N:そういうものが全部吐き出されちゃったパワーが あるよ。

Z : TAKUROは「サマルカンド ブルー」のアーティスティックな面というのはわからないんだけど,捕え方の中に確実なものがあるのね。私が"フォークソ ングじゃないんだから,その気になって歌ってちょう だい!"って言ったら"わかった!やってみると "そこに私は男を感じたの。

N:いい話だね。

Z:そう,いつでも女に優しい。

T:ハードボイルドなのよ。

z:そう,ハードボイルド!女に優しい。そう,あのとき,TAKUROの歌い方がコロッと変わったとき,ああ,男だなあって思った。

T:それを僕は知らない(笑)ちょうど帰ってきたら出来あがってたんだもの。

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サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談④

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For ordinally people it will be a big problem, but nothing matters with Takuro.

T: TAKUROの自分に関する認識というのは,混沌としているところがあるね。

N :それは言える。片や混沌,片やMr. & Mrs, COOLだからね。だけど2人のことは昔から知って るけど, ZUZUって時たまそのCOOLの逆流みたいなのが詩に出てくることってない。

T:パッショネイトのCOOLあえ,みたいな(笑) (they ordered espresso coffees and so on

z:今になって思うのは,TONOVANも私もTAKUROのこと愛してるから,文句言ってもケンカしても, すべて帳尻が合うのね。

N:でもそこで解決しないと,どうしていいかわから なくなっちゃうものね。 T:本当にこんなに苦労したことってないよ。自分の アルバムだって,こんなに神経使わないもの。何で自分でやってるんだかわからないもの。

N :だからTAKUROが昨日言ってたよ。"KATOは 俺のファンなんだもん"て……。

T: (笑)最高だね。やっぱりライオンだ。

N :でもそれは愛なんだよ。それが凄い。

T:しばらく前に,レコーディングが終わってレストラ ンに行ったとき, TAKUROがフッと帰っちゃったこ とがあった。何も言わないでね。マークや僕たちは 何が何だかわからない。で,次の朝"どうしたのって聞くと, TAKUROはただ俺,あんなところ嫌いだよって。実に軽いんだよ。

Z:あれ, TAKUROだから許されるけど,そうじゃな かったら,もう大変よ。マークと私たちで,そういうところ行くからって言ったら"そうか,たまには行くか" って感じで来たんだし。マークも最後の日だったし。

T:普通だったらああいうところで帰らないね。

N:やっぱりライオンだ!

T:確かにライオンだ!
Z:でもTAKUROとTONOVANだから,あれはで きるのよ。

T:普通だったら大問題。

N:でも大問題にしない人が揃ってるんだから,い いプロジェクトじゃないのかな。スタッフだって長いから肝が坐ってるしさ。渋谷サンがニューヨークに着いた日に、TAMJINから"TAKUROの機嫌悪いよ"って聞いても"明日スタジオで会うから何とかなるだろう"だもの。伊達に15年はつき合ってないね。

Z:20年だって!

0115b

T:ニューヨークに来る2週間位前,夜中の3時頃に電話をかけてきて"KATO,俺やっぱりニューヨー クに行きたくないよ"とくるんだからね。

N:もうスケジュール決まってからでしょう。

T:そう。

z:恵まれた人よ。

N:愛すべきライオンか。

T:どこか最終的に愛されちゃうんだね。

N:そうだね。調教師役の渋谷サンも凄いね。あの軽さで完璧に処理してっちゃうんだもの。

T:言える。そしてなぜ,ライオンを思い出したかっていうと『風とライオン』てあったじゃない。ショーン·コ ネリーの……,最後に何があっても,それでも地球は回ってるみたいな……。

z:だから私もTAKUROのこと,同じクリエイティヴな人間として......,やっぱりクリエイティヴというのは好奇心から始まると思うし,クリエイティヴだからこそ,吸収したり引き出しの中に入れられると思うの。ところがあの男ときたらHAMAばかりで… …。

N:焼きナスを食べてる。

z:そう。変わってるわよね。

T:でも,あれも凄いエネルギーだよ。集中してる!

N:インド料理に一緒に行ったときはどうだったの。

z:うん。あれもおいしいわよって私が言ったら"そうか。どこにあるんだって聞くから,あなたの大好きなHAMAの隣よって言うと"そうか"ということで行くことになったのよ。

N:ブラッと歩いて帰れる,距離感みたいなものなのかなあ。

T:こじつけるわけじゃないけど,ライオンて絶対,自分のテリトリーの中から出ないんだよね。

N :あと1週間いたらどうだったんだろうね。歌が終わった緊張感からも解放されて,TAKURO言ってたよ。"俺に歌だけ歌えなんて言った奴は今までいないと......,そして"負けてたまるか!と思った" とね。でもZUZUは格好いいよな。お前,そう思わないかって。

zわかってるのよ。だからこっちも許すわけよ。

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2008/06/04

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談③

10

N: 昨日ZUZUには言ったけど,パワー·ステーショ ンのスピーカーから「サマルカンド·ブルー」が流れ てきただけで,もう,いいと思わない。

 

T:あれがわかってくれると,すごくうれしいね。

 

N:正直言うと,あそこまでわからなかったところが あるよ。あれを聴くまで, TONOVANがTAKUROの どの部分にインスパイアされてなんてことも……ね。 TAKUROにはTOKYOの段階では, 1度も会って なかったわけだし。

 

z:始めまして/なんてスタジオで言ってるんだもの でも本当に「サマルカンド·ブルー」はTAKU RO,うまく歌ったわよ。私,言ったのよ。照れちゃだ め,絶対に照れちゃだめってね。

T:あのドスと,ワイルドなものって......,ルー·リード が持っているような質感てあるものね。

 

N:僕はあれを聴いて,本当にびっくりした。詩が凄 いし,またZUZU(ごバカ野郎,負けてたまるかと 言って歌いきったTAKURO。また"KATOの今回 の入れ込みようって,あいつ,俺のファンじゃない がと言ってやりきったTAKURO。凄さが溢れてる よ。あとの曲はまだ全部聴いてないけど,ある程度 は予測がつくものだからね。

Z :そう言ってくれるとうれしいわね。でもマークとTONOVANて,名コンビよね。会ってツーと言えばカー。

T:今回の面子も皆んなちょっとずつ知ってる。ウイリーと僕はちょっと知ってるでしょう。で,マークはもうちょっとよく知ってるでしょう。アンディとウィリーというのは知ってるし,高中とウィリーもちょっと知って るし,僕は高中を知ってる。だから皆んな緊張してるんだよね。

N:一流ならではの緊張だよね。ところでTONOVANて,ニューヨークに初めて来たのはいつだったの。

T最初は1970年だったね。

Nこの街って,いつまでも変わらない良さっていう のがあるよね。

zある、あるノスタルジックじゃなくて,全然変わら ない。だけどソーホーとか,こっちの方なんて,私が 住んでた20年前っていったら……

N TRI-BE-CAのTの字でも出したら,あなたど うしたのって感じだったんだろうね。

zニューヨークが広がったわね,凄く。

T:あのダビングゃってたKCCだって, 10年前に1 万ドルで買ったビルが,今や100万ドルっていうんだ ものね。

z:アンディやマークが言ってたけど,まずアーティス トがスタジオとかどんどん見つけるわけでしょ。そ こにヤッピーとか言われてる種族がどんどん入り込 んで......,彼らが入ってくると高くなるだからアー ティ トたちはまた他へ行って,そういう風にどんど ん広がっていく。

N :アーティストにヤッピー,良くなるアーティストに ヤッピー,良くなる。その繰り返しで……。

T:開発されていくんだよね。 (they've already emptyed the first bottle, they are going for another one)

N :でも,今度のって,今までTAKUROを聴いたこ とがない人たちが聴いたら,ショックだろうね。どう 聴かすかってこともあるけど……。

T:そういう人たちにも聴いて欲しい。

z:スタジオで「サマルカンド ブルー」とかやって,A サンとも話したんだけど,女が,こう,鳥肌が立つ, SEXYだわって感じが凄かったわ, TAKUROは 照れてたけど。 TAKUROは,本当は違うんだけど,不良男風 SEXYっていうひとつのパターンがあるじゃない。そ ういう感じが出てるんじゃないかな。本人はまったく 意識してなくてね。

N:意識してないから凄いんだよ。

No matter what you sing about , you will always end up with a love song.

N: TAKUROは,自分で自分がライオンであることを知らないね。

z:そう,全然知らないの。

T:吠えてるけど。

z:本当に自分の魅力がいっぱいあるのに知らな いのそれがいいのよ。

N : TONOVANが言ってた,未開発って部分6-0 T:凄くあるね。

N: 回りもまた,知らないんだよね。

T: そう。アーティ トとしてはエスタブリッシュされて るけど,まだ発展途上の……。

N:言えるね。よく言うけど,アーティストに終わる年 齢があるとすると, TAKUROは,その過程で力を使 ってないから,まだパワーが漲っているね。ほとんど まだ, 25歳の身体みたいな感じで。

z:そう! 確かにそう!

N : 酷使された演歌歌手なんて,40歳だと終わってるからね。僕も初めて会って,あのエネルギーには いささか驚かされたし,凄いと思った。そしてTAKU ROって,違った意味で,すごくエネルギーを使って るね。

T: そう,特に最後の方の4, 5日は凄いものがあ った。

N: それ

T; よく俯瞰的に物を見るって言い方がされ るけど, TAKUROは本能的に……,それがまたラ イオンといわれる所以だと思うんだけど,きちんと見 てるね。ここでこれだけはやっておかなくちゃ示しがつかないというようなことは,実にきちんとやってる ものね。

Z:そう,計算じゃないのよ。

N :計算じゃない。本能だから。

T:それがなかったら,ただブッ飛んでいるだけの人だね。

N:言えるね。

T :とてもソシアライズされててね。やっぱりメジャーアーティストだよ。でもライオンなんだよなあ吠えてるの。

N:孤独なライオンだね。

z:こういうことを言ったらわかるかなって思ってると, 全然わからなくて,こういうことを言ってもわからないだろうなって諦めてると,全然大人だったり......,そ の辺があの人って不思議なのよね。

N:こういうことを聞くと怒るかなぁと思っても,意外と怒らなかったりね。そして考えてるのかなぁと思う と,何も考えてなかったり。

T:だって今回なんか, ZUZUなんて30曲位の詩を書いたけど,もう2ヵ月間かかりっきり。それで俺はライオンだとばかり,気にくわん怒ってるんだとくるんだから。

z:私も怒ってるような詩ばかり書いていたし そのうちに愛しかないって,趣旨をかえてきたから, もう慌てて……。

N:けっこう躁欝なのかなあ

Z :でも私は,TAKUROがラヴソングしかないって言ったことに賛成なわけ。それがどんなものであれ, 男が女を愛そうと,世の中を愛そうと,ラヴソングし かないってことは……。

T:一番いいじゃない。「サマルカンド ブルー」だってラヴソングでしょ。

T:そう! ハードなラヴソング!。

N :でもあんな曲が1曲できたら,もう全部いいって感じがするな。極致のものが見えたときに,全部よ くなっちゃう。極致がないと全部言いたくなっちゃう。 そういうものなんじゃないかな. TAKUROにしても, 昨日話したとぎそうか,お前好きかって感じで賛 成してるんだもの。

T:素敵だね。そしてTAKUROって,わかってても, 俺は嫌いだからやらない......わがままと紙一重み たいなところもあるね。

N:そう,単なるわがままじゃないんだろうな。だから さっきも言ってたメジャーなアーティストでいられる と……。やっぱり加藤和彦という名プロデューサー に任せておけば大丈夫っていうことを見抜いちゃう というのは,ひとつの力といえると思うし, 80%は任 せて, 20%で自分の言いたいことを言うと……。

Z: TAKUROってそんな半端じゃないわよ。任せち ゃう,もう全面的に。

N:それで売れなかったらKATOのせいだと….。

T:ほとんど言ってる(笑)

N:言ってるね,俺は歌っただけだと(笑)ニューヨー クにも,だから来たんだと。

z:歌わされただけだと(笑)

N:普通は言えないと思わない。とにかく,そう言い 続けて,今朝帰ったよ。

 

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2008/06/02

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談 ②

09

T: KAZUHIKO KATO
Z: KAZUMI YASUI
N: NAOKI TACHIKAWA

A pressure from NYC to a man who is unable to change.

N: TONOVANは昔からTAKUROを知ってるけど、彼って年代的に見て変わったと思う?

T: 変わってないんじゃないかな、全然。

N: そう、40も30も変わんない。

T: 全然変わってないところが、やっぱりライオンなんだよ。たとえば変わってない素敵さってあるじゃない。だけど変わってないがゆえに…。ずっと同じでいたら馬鹿みたいだけど、変わってないのに86年か、80年代の格好良さってあるじゃない。

Z: 彼も言ってた。私は、今を生きたいって言ったの。もっと今を生きたいって。そしたら彼は、全然そういう事に興味ないって……。

T: TAKUROの興味って何なのかなあ。

N: かなり話して追求してみたんだけどね。何もないってことが……、俺は電話を待ってるだけなんだよっていう……。

Z: アナーキー!

N: そう、アナーキーだね。そしてデカダンスなんて言葉とは凄く無縁みたいだけど、ある意味ではとてもデカダンス。

T: デカダンス!

Z: かも知れないわね。

N: というのは、旅行も興味ない、食事も興味ない、どんなレコード作ろうかということにも興味はない。とりあえず今回は、KATOとZUZUが凄くノッて 、俺は任せた、俺は歌ったと。そして歌い終わって、1日1日が過ぎて、ミックスダウンなど聴いてみると、これはいい。俺は格好良いことをやったんだという気になってきたと。今度のなんかいいんだ、俺は関係ないんだみたいなことを言ってるけど、そこにはやっぱり愛があるわけね。

T: TAKURO独特の言い方だね。

N: そしてこの後も、別にライヴをやる予定があるわけじゃないし"TAKUROどうするの"って聞くと"別に何も! ただ電話を待ってるだけだよ。お前も電話しろよ"とくるわけ。だって"ヴィジョンとか何もない"とも言い切っているし"俺は瞬発的なんだ。歌だってそうで、ミックスなんかで同じ歌を何度も聴いていると眠くなるんだよ"と話が続く。そういった意味では、確かにライオンだね。

T: そう、野生のまんま。

N: 野生のまんまで16年ね。

T: 凄いよ。

Z: 好奇心なんかもないって言うわけよ。たとえばニューヨークに来て、そこで皆んなとどんなものを食べてるのか、どんなことが行われているのか、どんな文化があるのか……。それはどこに旅行しても、普通は思うわけじゃない。ところが……。

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N: 彼は思わない。HAMAのカツ丼が寸分たがわぬカツ丼だと言って、感動できてしまうところが凄いんだね。そして今回面白いと思ったのは、ニューヨークでもコネチカットでも、どこでも変わらないTAKUROと、ニューヨークはニューヨーク、パリはパリって考えて生きている夫妻の組み合わせだな。まあ、今回は忙しくて、私的な部分というのはあまりないと思うんだけど…。ZUZU、今回のニューヨークってどの位振りなの。

Z: 私、ニューヨーク大好きよ。来たってゆうか、住んでたんですもの。67、68年て住んでたの。だから昨日は3rd AVENUEでそぞろ歩きして …、懐かしかったわ。随分、新しいお店もできてびっくりしたけど …。TONOVANはスタジオだったけど、あの辺なら1人で放っておいても、危なくないと思ったんじゃない。

T: でもニューヨークの持ってるエネルギーっていうのが、僕は今度のレコードには必要だったわけ。間接的なものだけどね。つまり昨日ミックスしていて、大川さんが作った音が、何かつまらない音だったわけ。きれいになっちゃってね。やっぱりラフに録ってるし、パワー・ステーションて、そういうスタジオだから…、何かきれいにミックスして、エネルギーがなくなってるって言ってやり直したら凄く良くなった。そういう風に、皆んなが持っているエネルギーを失くしちゃいけないんだよ。TAKUROも凄くエネルギーがあるし。

N: ある、ある。

T: 変なところにも使っちゃってるんだけどね。

Z: とにかくTAKUROが、最初、凄くいいヴォーカルを3曲、1時間半くらいで上げたわけ。凄いエネルギーよ。彼は言いわけとして"俺は早く録って家に帰りたいんだ"なんて言ってたけど、そういう、帰りたいっていう気にさせるニューヨークから受けてるプレッシャーの何か…。

T: そう、それはそれでいいわけよ。 

NYC-Limo goes on and off , passing the people of past period.

Z: 私、ニューヨークに若かったから住んだけど、今でも時たま、1ヵ月2ヵ月ニューヨークに来て揉まれてみたいと思うの。凄くINDEPENDENTだし。

N: 何か逆らい難いものがある街だよね。

Z: そう、カルチャーがミックスしてるし。そういう意味ではEVERYTHING OK! ANYTHING OK!って感じがあるわけよね。日本語を話してもいいし。

T: そうだね。ロスなんかだと、日本語で話してると誰かがチラッと見たりする。でもニューヨークだと、全然そういうことがないね。

N: それからロスは島だからじゃないかな。ここの方が実際には島なんだけど、ロスの方が感覚的には島だね。車で走ったりなんかしてると、リゾートアイランドにいるような気分になったりするもの。大きいと言われてるけど、車で回るとエリアとしては小さいよね。

T: でも2つの良さがあるよね。ロスの、あのいい感じも好きだし。

N: だけど本当にこの街には、すべてがあるね。

T: 汚いものもきれいなものも、全部がある。そこが素敵だね。

N :最高のものと最低のもの。最上のものと……。

Z: 絶望と億万長者。

N:それがこの小さな島に……。

T:ガッとコンデンスされて入っている。

N:終わってしまった人たちの横を,リムジンが走ってるんだものね。

Z: それなのに、これほど芸術っていうか、音楽とい うかミュージカルというか……、本屋さんも多いで しょう。とにかく文化というものを,こんなに皆んな忙しくて、人のことなんか知ったこっちゃないといった 感じの歩調の中でも、大事にしてるわよね。

N: 大事にしてるね。

Z: それがロスにはない。ロスはもっと自分勝手。自 分のヨットであり,自分のゴージャスであり......、ところがニューヨークの人っていうのはなぜか文化を

N: シェアしてるね。

T: ロスの人は,あるってことは知っていても......。

N: 肉迫しようとはしないね。

Z: だから私たちがロスへ行くと、そういうものから解 放されてリラックスできるんでしょうね。

T: そうだね。だからこっちから向こうに行く人もいる し,向こうからこっちへ来る人もいると。

Z: やっぱりニューヨークって追われる街だから,求 めるものとか自分の持ってるものがある人は面白 い。最高に刺激的だけど、ただニューヨークって面 白そうだなあって思ってきた人には,何にもないでしょうね。

   つづく

 

 

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サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談 ①

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Wild lion or unpolished diamond

T: KAZUHIKO KATO
Z: KAZUMI YASUI
N: NAOKI TACHIKAWA

N: ZUZUは最初にTAKUROをやるという話は、いつ頃聞いたの。

Z: 具体的に頼まれたのは、いつ頃だったかしら。 私は最初、通訳かお世話役で行くつもりだったから……。そしたらいきなり詩を全部書いてくれって話になって。それからTAKURO研究が始まったの。TAKUROも自分のアルバムを4、5枚持ち込んで来て。

N: それまではそんなに近いところにいた人じゃなかったんでしょう。

Z: 友達仲間としてはね。でも音楽的には……私、だいたいフォークの人ってだめだから。

T: (笑)

Z: それからTONOVANとTAKUROと一緒に「RONIN」をやることになってね。人間的には大好きだったし、ま、何ていったって、日本の音楽界のプリンスってところがあるでしょう。彼みたいなのは、永遠のプリンスね。

N: 永遠のプリンスね、なるほど。

T: 随分、年食ったプリンスだけどね。それにしてもTAKUROって老けないなあ。

Z: だから永遠のプリンスなのよ。

N: 詩を書くときに、自分で詩を書く人に頼まれた場合とそうじゃない場合とでは、全然ケースって違うでしょう。

Z: それは勿論よ。

N: 特にTAKUROの場合、嫌いな人は嫌いだってことはあっても、好きな人には絶対崇拝みたいなものってあるものね。

Z: そこまで深くは知らない方がいいと思った。ただTAKUROの詩との出会いっていうのは、10年位前にもうあったわけ。まだ2人とも若くて、原宿なんか伸してた頃よ。そういう意味では、TAKUROに詩を書くという気分は、悪いものじゃなかったのね。でも10年位ポッカリ間が空いているし、音楽的な活動というのも、交差しているわけじゃないからわからなかったでしょう。TAKUROにしても、私の詩のイメージは10年くらいブランクだったろうし。「Just A Ronin」のときに一緒にやって、ああTAKUROの歌っていいな、TAKUROの声っていいなと思ったの。
   
TAKUROも私の詩をうまく歌ってくれたし……。わあ、いいなあ。何かチャンスがあったら、詩を書いてみたいなあって思っていたのよ。それで頼まれたから、もう、嬉しくって。でもTAKUROっていったら作詞家だから、2人で半分ずつしようよ、なんて話もしたんだけど、彼が"いや、お前が全部書け"なんてね。でもその時は、まだ半信半疑だったの。とにかくTAKUROは今度のアルバムのことを、全面的にTONOVANに任せていたわけだし。私とTONOVAN、TAKUROの3人で話をして、3人が納得できるものじゃなくてはいけないということになった。3人といえば、TONOVANも作曲するし、普通だと誰が作詞して、作曲してというような役割分担になっちゃうんだけど、その役割分担はいけないことになって、皆んなでやればいいんじゃないかなんて話をしたこともあったのよ。でも最終的には、いろいろやってみたんだけど、だんだん整理されてきて、やっぱりお前が書けということになったの。その場合でも大きな問題だったのは、私は訳詞から入っているから、ほとんどメロディーが先行していたんだけど、TAKUROの場合は、詩が先なわけ。だからTAKUROの家へ行って、メモ風なものを渡してみて、泣いてみたり、わめいてみたり……。

T: (笑)

Z: それはもう、大変なぶつかりようでね。

N: メロディーを先でやってきた人が、詩を先でやるとなるとやっぱりパターンが違うからきついのかな。

Z: そういう意味では、好きなことは書けるんだけど、言葉っていうのは面白いもので"このワインはおいしいです"って言うのと"おいしい! このワイン"って言うのでは、ニュアンスが違うでしょう。詩が先だとそれがセンテンスになってきて、メロディーが先だと、私、どちらかっていうと律儀だから"うまい! このワイン"というようなことは、仕方ない状況だと書けるんだけど、だいたいはきちんとした言葉で書いてしまうのね。だから御行儀がよくなっちゃうんじゃないかと心配してたんだけど……。
   

Everywhere he goes shouts. He is a wild shouting lion.

N: でも、歌、凄いね。

Z: 最高ですよ、最高!

T: 素晴らしい!

N: 作詞家冥利に尽きるでしょ。

Z: もう、そりゃあ、愛しちゃいますよ。まして行間まで考えてくれるわけじゃない。彼だって伊達に十何年も歌ってるわけじゃないし、私が書いた詩のことをきちんと考えて、書いた詩以上のものを出してくれる。

N: 凄いヴォーカリストだよね。

Z: そう、ヴォーカリストとして最高よ。まあ、フォークの人、独特のフレージングというのは、いつも私の神経にさわっちゃうところがあったんだけど……。

N: あったの、そういうところ。

Z: あったわよ。(実際に口調を真似しながら)それで全部直したの。

N: TONOVANがTAKUROに魅せられた一番のポイントってどこだったの?

T: この間も飲んでて言ったんだけど、最後のライオンみたいなところがあるね。

N: 獣! 歌う獣ね。

Z: ライオンよ! 吠える……。

T: どこ行っても、動物園に連れてきちゃっても、ライオンはライオンでさ。 緑がなくなっても、俺はライオンだって、吠えてるところ。 孤高のさ。

N: ニューヨークでも何も変わらなかったものね。

T: 凄い、最後のライオンて感じがしたわけ。シンガーとしても好きだし、TAKUROにもっと可能性があると思った。 そういうところで何かやってみたいなと……。ハードボイルドって話が最初にあって……。

Z: そう、そう、そう。

N: そしてなぜ、ニユーヨーク? TAKUROはアンディ・ニューマークとかウイリー・ウイークスをTOKYOに呼んでやればいいじゃないかと言ったこともあるらしいけど……。それでもなぜニューヨークでやらなくちゃいけなかったんだろう。

T: それはね、ある種の精神的なことなんだけど、TAKUROもひとつのパターンというものを確固として持ってるし、何か次にやるときっていうのは、すごく新しいことをやるわけじゃない。それは非常に大変なことっていうか、15、6年やってきたことに対して刺激を受けるというのはね。やっぱりニューヨークっていうのは世界中で一番刺激的だし、及ぼす影響というのは大だよね。大嫌いっていうかもしれないし……。ま、言ってたけど(笑)

Z: 大嫌いでもいいのよ。

T: そう、それで彼にプレッシャーができてるわけ。それが歌にひとつのパワーになって現われてるよね。それがひとつと、後はパワー・ステーションていうスタジオと、ミュージシャンと……。まあ、いろんな理由があるけど。

Z: 彼も、ニューヨークは居心地悪いって、最後まで激しく言い続けて帰ったけど、それですら大事なことなのよ。アーティストにとっては。

N: そうだよね。

Z: そう。日本だっさたら、彼はSPOILED  CHILD! あんなに見事にガードされて、あんなに皆んなにTAKE CAREされて、言いたい放題言って……。 あんな人間が、まだTOKYOにいるのかと思うと不思議なのね。

T: そうだ!

Z: 私たちなんか野ざらしでしょ。STREET PEOPLEなわけよ。だから自分のことは自分でやる。誰も構ってくれない。それがもう、彼ときたら……。

T: たとえば映画なんかでもよくあるんだけど、俳優が出てるときは、よくわけがわからなくて、クソミソに作品や監督のことを言うことがあるじゃない。 そういう、TAKUROにしては初体験の、変なことばっかのだったかも知れないけど、そんなものがレコードに…。

Z: 歌に出てる!

N: わかるよ。TAKUROも言ってた。 リズムを録ってる時に、俺だったらもっと音を重ねる。 不満だと……。ところが歌を入れてみたら、畜生KATO! 凄いと思ったと……。そうTAKUROが思ったこと自体、もう成功したと言えるんじゃないかな。

Z: そう、そう。彼の歌がよくて、売れることが目的なんで、別にウイリー・ウイークスやアンディ・ニューマンがどうだっていいわけよ。 彼の歌が引き立つためのパックであって……。

N: TAKUROは最初はわからないんだよね。

Z: そうなの。最初はわからない。でもヴォーカルを入れてみたら、ギンギンに引き立つわけよ。そういう意味じゃ、ウイリーやアンディたちって、プロだからちゃんと心得ているのね。

    つづく

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