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2012/01/17

MUSIC Sketch Book最終回 吉田拓郎 1983週刊FM2.23→3.13号

MUSIC Sketch Book最終回 吉田拓郎 1983週刊FM2.23→3.13号

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◇吉田拓郎への期待 そこで何をやるかなのよ。

●今年はやりそうなんですか、野外を。

「わかんないな。去年からスタッフなんかと話しているんだけど、ただ、朝までやりゃあいいってことなのか、ただ、四年ごとだからやりゃあいいのか。そういう話になってるのよね。そういう音楽状況なのか・・・とか。篠島の時には、"やんなきゃいかん“みたいな気持ちがあったんだけどね。あの頃は、フォーライフの社長をやめたいっていう意志表示して、アーティストをやりたいってことが切実な問題としてあったからね。あの頃にくらべると必然性は少ないと思っているのよね。四年目だな、っていう理由しかないわけよ、いま。それでやるべきか、それとも、そのエネルギーを他へ持っていくべきなのか……」

●たとえ、四年目という理由でも、何かやって欲しいって気持ちはありますよ。

「まわりの人は"何かやれよ"というふうに、まず言うわけ(笑)。その言葉に乗っかって、俺はいつもやるのかい?それをやっていると、俺は、いくつになっても何かやらされるっていう・・・そのやらされるっていうのが、ちょっと釈然としない。イヴェントが終わったあと、昔みたいな満足感が残るかな、俺の方にね」

●吉田拓郎っていう人に対する期待感って、ずっとこの音楽史のなかにあるんですよ

「でも、それがイヴェントでなくてもいいんじゃないか・・・。とにかく現役で先に突っ走っていればいいってこらそのなかの一個だからね、イヴェントって」

●もうひとつの吉田拓郎への期待ってのは、歌を、アルバムを作ることでしょ。

「そう。それは大問題だよ。みんなにも言われている。去年は、2曲しかでていない。それでライブ盤ばかりでているのね。いま、そっちへエネルギーをむけるべきだって、まわりの人間は言うわけよ」

●両方できれば一番いい。

「そりゃあ、そうだ。で"両方できるよ"っていうと、ある人間は、”あんたは、イヴェントが終わったら、半年くらい休養が欲しいっていう性格の人間だ"っていうわけさ」

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◇俺たちの音楽シーンを全 部集めてやってみたいよ。

●でも、やりつづけるっていうのは、自分で、面白味を感じないと駄目でしょ。

「それは絶対にそうなのよ。自分が面白くないものを、なんでやらなきゃいけないんだっていう気持ちがあるね。わがままだからさ」

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●うん。その部分がわがままでなくちゃ、どんな仕事でも面白くやっていけないですものね。

「そう。いまね、もう少し多面的な見方をすると、このエネルギーを、ほかへ持っていくのも可能かなとも思うよ。たとえば、まったく具体性はないんだけども 音楽シーン全体が集まったようなイヴェントとかね。俺たち、最初は骨川筋衛門だったのが、最近は肉もついてきてパワーとして文化面での一個の流れというものになりつつあるという気がしてるんだよね。ある種の社会性がついてきたと」

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●僕もそう思います。ただ僕らはそう思うけれど一般的には、まだまだ外への出方がたりないんです。音楽には、ちっちゃな社会的なイメージしかない。でもほんとうは、もっと大きいと思うんです。

「そう思うよ、確かに。80年代に飛び込んだ頃は思わなかったんだ、俺も。でも去年の夏頃から、なかなかたいしたものになってきたな、って気がしているんだよね。俺よりも若い世代の人たちのなかにも、"この人たちは、もう充分大丈夫だな“みたいな満足感と安心感を与えてく れるヤツラがいる。せっかくそういう時だから、俺ひとりで"朝までやるぞ"と やるよりは、みんなで夢みたいなことを、 いままでの俺たちの音楽シーンを集めてやるみたいなことをやった方がひろがっていいなと思う。ときどき、そんな景が頭に浮んだりすると、そっちをやりたいな、と思ったりするな。音楽シーンがよくなっているよ」

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☆旅のあとで…

拓郎は、あい変わらず拓郎だった。旅の宿で飲みほしたオールド三本。ビールの数は知らない。六人の男どもは、大いに飲み、語る。この日、吉田拓郎と話したことを語るには、あまりに誌面がたりない。でも、僕らと僕らを取りまく音楽状況を話していたことは確かである。浴衣の彼は、あい変わらず前のめりで歌のなかに体ごとつかっている。湯かげんは、少し熱い。そう、 彼は状況の中で、いつも自らが発熱し、湯舟から熱い水をあふれさせていたような気がする。 男どもの体臭のする心地よい酔いのなかで、拓郎が、ぽつりと言った。
"ジョン·レノンが死んだことが、俺 にとっては、大きなショックなのよ。 彼が四十歳で死んだ。その先がないんだな。俺も四十までは、できるよ。でも、その先は、まだ見えない"
拓郎は、弱音をはいていたのではない。四十歳以後の、いまだ見えていない自分に向かって、すでに歩き始めていると言っていたのだと僕は思う。 彼は、いつも人より前を突っ走ることを運命づけられている男なのかもしれない。その期待をこめた眼ざしに、じっと勘えている彼には、司馬遼太郎が描くところの鹿児島の"お先師"のイメージがあるとも思った。
夜更けに飲み疲れて、男どもは一部屋に明日の夢を見ながら眠る。
この旅の宿で、この連載も終わる。 だけど、吉田拓郎たちが切り拓いた"僕らの時代"は、終らない。-こすぎじゅんいち-

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-カテゴリー吉田拓郎から分離独立-

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