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2005/09/30

TAKURO YOSHIDA TOUR 1989 - 90 人間なんて

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TOUR 1989(前記事)を3月に終えてレコーディング、同年11月TAKURO  YOSHIDA TOUR 1989 - 90 敢行! サブタイトルは「人間なんて」。ツアー・パンフは巨大、新聞紙とほぼ同じ大きさ。

 - HISTORY  1970 - 1993 - から少し。

11月21日から、80年代最後のツアーがスタートした。 “TAKURO YOSHIDA TOUR 1989 - 90”。 サブタイトルにはこうあった。

    『 人間なんて 』 。

なつかしい曲が並んだ。 「イメージの詩」があった。 「落陽」があった。 「祭りのあと」があった。 そして、歌詞を今の言葉にした「人間なんて」があった。バックには二人の“新顔”がいた。

やはり'89年に解散したオフコースのギタリスト、松尾一彦と、ベースの清水仁が加わっていた。

最大の観どころは、コンサートの中盤だった。 拓郎は、生ギターにハーモニカホルダーというスタイルで、登場したのだ。

「なつかしいかい?」

そう照れたように、客席に聞く。

「今日だけ思いきりなつかしがって、90年代にいこう」

「今日までそして明日から」があった。 「僕の唄はサヨナラだけ」 「リンゴ」 「高円寺」 「ハイライト」 「襟裳岬」 ……。

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アンコールは 、90年代最初のアルバム『 176.5 』の中の曲「俺を許してくれ」だった。 “ 176.5 ” という数字は、彼の身長でもあった。 身のたけのままのアルバム。 等身大の自分の歌。

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'90年1月10日。 「176.5」の発売日が、90年代の幕を開ける武道館公演だった。

異様な熱気だった。 異様というのは、これまで見たことがないという意味だ。 30代から40代にさしかかる客が大半を占めている。 親子づれも少なくない。 そんな客が生き生きとした眼で、顔を紅潮させながらステージを見ている。 それでいて、どこかしみじみした静けさもある。 きっと、ひとりひとりが、拓郎の歌に、自分の人生と青春を重ねているのだろうと思った。

 20年が経った。

そして、今もまだ客席にいて、ステージには拓郎がいる。 そのことだけでいい。 誰もが、そう思っているようだった。

「80年代は、いい時代だったんじやないのかな。 いろんな音楽が、花開いたよね。 70年代みたいに、“これしかない” じゃなくなってきた」

80年代についての彼の言葉は、彼が現役であることの証明でもあるのだろう。 そして、このとき武道館は、拓郎にとって、古いものも、新しいものも、同じように楽しめる場面が来ていることを物語っていた。

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アルバム「176.5」は、拓郎が、ここ数年やってきたコンピュータとの取り組みが、一段落したアルバムでもあったのだろう。 

日本の音楽は、ようやく、“年齢別マーケット”から卒業しようとしている。 10代向けでも、大人向けでもない。 存在感を持ったアーティストが、評価される時代が来ている。 しかも、過去の存在としてではなく、現役で、だ。

「80年代、ダラダラ過ぎてきたようだけれど、やはり、吉田拓郎という人は、いた、と思う。 そして、90年代もいよう。 いる、ことが王道なんだと思う。 」

  依然として、彼の前に道はなかった。

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  - コピーby 藤井徹貫 -

「期待は裏切らない。 でも、応えない。 そこが難しい」と笑う人。

「期待してるでしょ。 コンサート会場でお祭みたいな雰囲気に浸りたい、と。 それを裏切るつもりはない。 だけど、お願いみたいな ものに応える気もないだけ」と、どこまでも“俺流”の人。                                                    

「高い入場料を払ってんだから、ナニやっても自由だって……そうはいかない。 きた以上は俺のもの。 そこに来るまではデカい面してても構わないけど、コンサートが始まったら俺のもんですからね。 勝手は許さない」と、キッパリ言う人。

吉田拓郎はいつまでも自分の流儀でやろうとする人だ。 だから、いつだってボクらの思い通りにはなってくれない。

例えば、前回のツアー。 ギターの弾き語りで「ロンリー・ストリート・キャフェ」をやった。 別に拓郎の弾き語りを期待していたわけでもないが感動的だった。

歌とギターの格闘に、腹の底から吐き出すような声にしびれた。 が……。

「1曲で充分。 “もう何曲か聞きたい”って、みんな言うけど、“5曲やったら、おめえら飽きるぞ”と思ってるよ。 それに今、弾き語りでやりたいのなんて、アレしかなかったんだもの。 まあ、こういうとナンだけど、俺は弾き語り上手いからね。 1曲で充分。 10曲分の価値はあるんじゃない?」なんて、あるインタビューで話している。

何が見たい? 何が聞きたい? そう自分に向うと、ボクらはサービス業の吉田拓郎なんて見たくない。 皆様のご期待通りの吉田拓郎を演じましょうなんて茶番劇にも付き合いたくはない。

今、あの人は何を歌いたがっているのか?

ボクらは、その一点だけでつながっているのかもしれない。

「イプ・モンタンが言ってましたよ。 久米宏さんが“あなたのように年をとればとるほどステキになる秘訣は?”って訊いたら、“いくつになってもNoに対してはNoと言うことが大事だ”って答えてた。 そうですよね。 年をとると、Noだとしても面倒臭いもんだから、“ま、いいか”でお茶を濁そうとする。 やっぱりそんなことじゃよくないね。 だから、今は俺も考えない、人の意見を聞かない。 考えると、アレコレ見えちゃって、体が動かなかったりするから。 人から意見を聞くと、“なるほどね”なんて思ってスピード感がなくなるから。 ヤル言ったらヤル、ヤラナイと言ったらヤラナイの。 そこは守らないと、人間として小賢くなるばかりだもの。 だから、コンサートも始まった以上は考えない。 やっちゃったものはもう知らない」という。

今、吉田拓郎は何を歌いたがっているのか。 その答えは、開演のベルを待つしかないようだ。

「自分の書いた曲、自分が作ってしまった作品についての自分の中での正当な評価は、5年なり、10年経たないとできないね。 例えば『サマルカンド・ブルー』ってアルバムがあるけど、あれは作ってるときから“ああ、失敗だ”と思ってた。 でも、今それがすごく好きになってる。」

事実、前回のツアーでは『サマルカンド・ブルー』から「ロンリー・ストリート・キャフェ」 「パラレル」 「七つの夜と七つの酒」 「君の瞳に入りたい」などを歌っている。

また、『LIVE'73』から「望みを捨てろ」を歌ったりもした。 それについては…「今、本当にうたう歌だなって思った。 あのときはちょっと若すぎたな、と。」

この歌を初めて聞いた頃のボクはというと、中学生であったが、オレのオヤジもこんな思いをどこかに抱いていたのだろうか……もしそうなら放っといてもらいたいなどと思った。 そして、岡本おさみの作詩ではあっても“妻や子供のために”なんて言葉をあの人が歌うことが少なからずショックであった。

しかし、あれから16年。 歌う人も変われば、聞くほうも変わる。 初めて聞く人がキャッチする感覚も、また違っているだろう。 昔はよかったなんて言う気はない。 それほど今に退屈していない。 だけど、「望みを捨てろ」のように、“かつての足跡に新しい息吹を”と思う気持ちは隠せない。 それが古い船に乗り込む新しい水夫の横顔だから。

「1枚1枚のアルバムや1回1回のコンサートが、その1回こっきりなんですよ。 人生をトータルなコンセプトで貫こうなんて思ってません。 もともと自分でエネルギーの維続性のな人間だと思ってるから。 瞬発力はあるつもりだけど。 だから、あるとき“このテーマはいい!”と思ったとしても、それがいつまでも続くわけではない」と変わる自分を見ている人。

「でも、いつも身の周りで一番近いことをやってるつもり。 今はこんな感じでいるとか、今はこんなのが歌いたいとか」と変わり得ない自分も認める人。

自分の中の矛盾を手軽に帳尻合わせしない人。 自分の中の二律背反を、どっちも俺だ!と言える人。 それがあの人の“俺流”である。 それが好きなのだ。

その人が生命力のあるメロディと、強烈な言葉で歌うから、ボクらは惹かれる。 その人の今を見たいから、ボクらはここにきた。

ここに集まった中の一人として言わせてもらえるなら、ボクは吉田拓郎のロックンロールが聞きたい。 “聞きたい”と言うのはあまりも狭義なので“感じたい”としてもいい。 それは掻き立てる激しさで、それは転がっていく情熱である。

「やせっぽちのブルース」 「SCANDAL」 「お前が欲しいだけ」 「男と女の関係は」などスタイルもスピリットもロックンロール然としたものも、「大阪行きは何番ホーム」 「I'm in Love」 「言葉」などうねりを感じるものもまとめてロックンロールと呼びたい。 吉田拓郎のシャウトと共に生きている歌と言ってもいい。

それらの歌を聞いたとき、ボクは尋常でいられるだろうか。 このコンサートの後でボクはある人のように歌いたくなるだろうか。 あの人のロックンロールに応えるだけの力がボクの中に残っているだろうか。

中学生の頃、ボクは吉田拓郎になりたい、と思っていた。 その頃、燃えていた火が、今でもボクの中に残っているのか。

吉田拓郎のロックンロールを感じるということは、ボクにとっては、それを見つめ直すことである。 拓郎の今に触れることは、自分の今を確認することでもある。

'88年のツアーでは、“よし。 まだ大丈夫”と思った。 「制服」を聞きながら、頭の中でゴーッと言う音が鳴り、体は器だけ残し中身は空っぽという状態にはまったから。 まだまだ自分の中で燃え尽きていない何かがありそうだと思った。 その日、帰ってから「制服」を歌った。

前回のツアーでも“まだ行ける”と思えた。 それまで特別好きというわけでもなかった曲「君の瞳に入りたい」でコレダ! と思った。 ロックンロールを感じた。 その日も帰ってから歌った。

もし、コンサートの後で歌いたくならない自分がいたら……。 錆びついて重いだけの鎧を脱ぐだろう。 人も悪く言う前に自分の鎧を脱ぐことから始めるだろう。

ボクだってそうだが、誰かのせいにした方が気楽だ。 でも、自分たちが陳腐な鎧を着ていることを棚に上げるような人間にだけはなりたくない。 だから、ボクはここで“オレにもロックンロールはあるか”を感じたい。 もし、なければ去るだけだ。

他の誰もそうあるべきだなんて思わない。 ただ、ボクが吉田拓郎をカッコイイと思い、18年も聞き続けてきた底には、あの人の歌の中に“お前はやっているか”とい響きを感じていたから。 激しい人から生まれた歌はたくましく。 自分に正直に書いた歌は、知らず知らずに他人にも正直さを突きつけるものだからである。

だからと言っても、やっぱり吉田拓郎は吉田拓郎であり、ボクはボクなのである。 “あなたがいたから、あなたの歌があったから、ボクは今ここにいる”そんな思いはあっても、何ひとつあの人のせいにする気はない。 大人しくサラリーマンの生活を歩けなかったことも、オレは歌うんだと思い続けていることも、自分流の生き方だから。

それでも、吉田拓郎の歌で震えたいから、心を震わせたいから、ここにきた。 吉田拓郎と出会って1年目の人も、10年目の人も、10年以上の人も、ここでは関係ない。 同じように心を震わせようではないか。

「冬の旅が好き。 九州の冬もいいじゃない。 冬の長野にも思い出はあるし……なにか?って……まあ、いろいろよ。 ホッケがうまそうな(ちなみにキンキは飽きたとか)北海道もいいね。 冬の旅が好きだから元気でしょう。 なぜか冬はドラマが生まれるんだ」

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- コピー by 石原信一 -

拒食症の シャム猫が

ベランダの バジルの葉を噛んでいる

キャットフードの 食べ過ぎだろう

今日で彼女から 電話が10日ない

どうやら俺に マンネリズム

冷蔵庫のビールが きれている

ケチのつきはじめってやつは

こんなとこから 起きるものだ

ブラインドに 引っかけて

セーターが ほころびた

地下鉄のドアは 俺の前で閉まった

煙草のフィルターに 火をつけた

ピザにタバスコが ビンごとこぼれた

深爪を切った

そのうち俺の頭の上に

ファントムでも 落ちてくるにちがいない

アンラッキーの隣で

くすくす笑うラッキー

一発逆転は 深夜の電話

彼女の声 「いま すぐ 会いたい」

そこで考える どうもうますぎる

いや まてよ

風邪で10日 寝てたってこともある

待ち合わせの シングルバー

30分過ぎても 彼女はこない

まばらの客の 眠そうな会話

「秋のパリコレは 期待はずれだった」

「上司のAは セクシャルハラスメント」

「まもなくドルは 急落するだろう」

「車の丸型トレンドは 当分続くらしい」

だから どうした

45分過ぎても 彼女はこない

日本人が待たされて 不快になる平均時間

ハンバーガーショップ 1分

喫茶店 5分

レストラン 10分

どこかの新聞に 書いてあったが

バーで女を待っている 男の時間は

どこにも見あたらなかった

バーテンが 気の毒そうな顔をあげるのと

椅子ふたつ向こうの 知らない女が

こっちを見るのと同時

もちろん 女の視線を選ぶ

すっぽかされた同士 ワンナイトスタンド

柑橘系のコロンに 誘われて

席を立った時

息をはずませて 彼女が店のドアを開けた

おそらくは イリュージョン

確たるものは 目の前にない

ベネツィアグラスの

ウイスキーが

2杯目なのか 3杯目なのか

約束を破ったのは

きみなのか 私なのか

裏切りではない

そもそも錯覚からはじまった

この街に さだかなものなどなく

舟をこぐ手も あやしくて

だからときどき 指を切って

赤い血を確かめる

1秒ごとに すり抜けるから

ひとおもいに 追憶に身をゆだねる

緑なす 野辺があった

太陽はさんさんと 少年に降り注いだ

焼きたてのライ麦パン1斤を食べ

1リットルの牛乳が飲めるほど

元気だった

唇も触れないのに

愛した女がいた

遠い日は 目に見えないことは

どうしてこんなにも 鮮明なのか

街の波に 呑み込まれるのが恐くて

ラッシュアワーの階段を 逆に走った

肩がぶつかり 脚を蹴られ

痛みが私の輪郭を 形どってくれた

その形が あいまいになったのは

某国の戦争のテレビニュースを

女の手枕で ながめた頃からだ

だから 約束など

交わさないほうが よかったのだ

きみも 私も

形など 失くしたのだから

舟に横たわった 頭上はるかに

幾万光年の 星がまたたき

過去の光だけが 確かだとわかる

微動だにせず 息を殺していても

今日から明日に 河は流れる

ならばせめて 舟をこごう

行く先が イリュージョンの大海でも

私はきみに 会いにいく

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ツアースケジュール

11月21日 福岡 福岡サンパレスホール
11月22日 長崎 長崎市公会堂
11月24日 宮崎 宮崎市民会館
11月26日 神奈川 神奈川県立県民ホール
12月 1日 石川 石川厚生年金会館
12月 5日 広島 広島厚生年金会館
12月 6日 香川 香川県民ホール
12月 8日 兵庫 神戸文化ホール
12月 9日 大阪 大阪フェスティバルホール
12月14日 北海道 北海道厚生年金会館
12月17日 栃木 宇都宮市文化会館
12月20日 愛知 名古屋市公会堂
12月21日 静岡 静岡市民文化会館
12月25日 千葉 千葉県民文化会館
12月27日 埼玉 大宮ソニックシティホール
  1 月6日 宮城 宮城県民会館
1  10日 東京 日本武道館

セットリスト

1.お前が欲しいだけ
2.パラレル
3.街角
4.サマータイムブルースが聴こえる
5.祭りのあと
6.ひまわり
7.落陽
8.憂鬱な夜の殺し方
9.外は白い雪の夜
10.イメージの詩
11.人間なんて

~アンコール1・弾き語り~
12.今日までそして明日から
13.旅の宿
14.花嫁になる君に
15.ハイライト
16.高円寺
17.リンゴ

~アンコール2~
18.言葉
19.抱きたい
20.俺を許してくれ
(俺を許してくれ)

結論、拓郎より上手いシンガーはいるけれど、拓郎より巧いアーティストはいない。

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