Takuro FOR YOU-2 - MESSAGE FROM 武田鉄矢 - 吉田拓郎は、高杉晋作です

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【 吉田拓郎は、高杉晋作です 】

吉田拓郎は、高杉晋作です。　間違いありません。　信じて下さい。拓郎なる人には、およそ、集団・徒党・仲間と名のつく、人間の重なり合う姿が似合いません。　本人がどう思おうと、似合わないのです。
この人は輪郭がはっきりしているのです。　はっきりしすぎているから、この人には「僕は…」から始まる唄が似合うのです。

高杉がそうです。　「我が心、我のみぞ知る」と、いいきる人物だったのです。　また、高杉は、集団、仲間をつくることの名人ですが、その中に1度もはいったことがありません。　高杉の心を知る者は、仲間の中に1人もいませんでした。　それゆえに高杉は、“何をしでかすか分からぬ者”と、親しき友にも気味悪がられていました。　ゆえに彼は、風雲児の名を冠せられました。　

風と雲がつくった男、北の空に飽きたら風に乗って南の空へ飛んでゆく、雲の如き男。　そして、高杉は生涯に一度も“困った”と呟かなかったといいます。
“困った”と言うのは、自分で、さっさと、観念してしまうこと。　高杉は自分で観念する程、自分を情けないと思う男ではありませんでした。
ほら、もうここまで来ると、拓郎は高杉晋作に間違いないでしょう。
ついでに高杉は、人からいじめられ、逆境に立てば立つ程、風上に顔を向ける男でした。　すなわち、冷たい風の吹く方に、我が身をさらすのです。

皆様、わかりましたね。

彼を、吉田拓郎を、わかってやってはいけません。　冷たく、つれなくしてやりましょう。　皆様は風、彼は火。　みごとな炎は、風の冷たさと激しさで、炎の形を美しく広げるのです。

Takuro FOR YOU-2 - 頑 張 っ て 下 さ い -

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- 頑 張 っ て 下 さ い -

思いがけない場所で、思いがけないスターとバッタリ出合ってしまった時、無意識のうちに思わず出てしまう言葉の中で、一番多いのが「頑張って下さい!」だそうです。

3年前、拓郎のコンサート・ツアーのメンバー、チー坊が、とあるマンションのエレベーターの中で、巨人軍の監督を辞めたばかりの長嶋茂雄氏に、ばったりと出合ったそうです。　エレベーターの中は、チー坊と長嶋茂雄氏の2人だけ。 その時、チー坊は身体を硬直させ、ボー然となって長嶋氏を見つめていました。　そして、長嶋氏が何げなくチー坊の方をチラッと見た時チー坊は思わず、「頑張って下さい!!」と叫んでしまったそうです。　長嶋氏は例の、軽い、ちょっとかん高い声で「アッ、どうも…」と会釈して、風のようにエレベーターから降りて行ったそうです。

ファンになってしまうと、普段はけっこうあつかましい人間でも、その人の前に出ると突然、純情な青春路線を走ってしまうものです。

実は、吉田拓郎のスタッフの中にも、何人かそんな人間がいるのです。　口では「拓郎!!」なんて言っているのですが、実は、相当ドキドキしているのです。
僕等が拓郎に「頑張って下さい!!」なんて言う事はないし、拓郎も長嶋さんのように「アッ、どうも…」とも言わないだろう。　それより「お前ら何やってんだ!!」とか　「こんな無能なスタッフはいらん!!」と言われる確率の方が、はるかに高い。
スタッフの中には、思い入れの激しい人間が多いのだが、この雑誌に関しては、思い込み過多プラス純情路線まっしぐら拓郎ファンによる、拓郎へのラブレターになればいいと思うのです。　そのうち、拓郎から「頑張って下さい!!」という励ましのお言葉を、心のどこかで期待しながら…。