カテゴリー「ビートルズが教えてくれた 拓郎×岡本おさみ対談」の記事

2005/05/28

ビートルズが教えてくれた 拓郎×岡本おさみ対談④

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◇作詞家も歌ったほうが 富野坂昭如じゃないけど、自分が作 ったら自分で歌って、そこまでやって、 たとえば岡本ちゃんが歌っちゃえばいい のに、ぼくが歌っちゃった。 岡本歌える人と歌えない人ってあるか らさ。ぼくがもし歌えばまっ白けじゃな 吉田 野坂昭如だってそれは判ってるん だよ。だけどやってる。 岡本それはさ。1回ぐらいべろんぺろ んに酔っぱらって歌ってみようかとは思 吉田 うん。でもさ、自分の作ったうた 一回も歌ったことないって奴いるじゃな い。そういうのもおかしなもんだと思う ね。歌詞を自分で書いときながら人にゆ だねて歌ったことないみたいな作詞家が いたらね。

岡本 ぼくもだけれどね。

吉田  おかしな話 だと思う。とりつくろいすぎるんだよ。

岡本 下手でも歌わなきゃいけないね。

吉田  歌ってるやつはきついはずだから 作詞家がもし「おきざり……」みたいなのをさ、岡本ちゃんが歌ったらね。ぼくが歌うよりきついと思うよ。

岡本  そうだな。

吉田   だからそういうところで割と、とりつくろってる面あると思うよ。

拓郎   これはこうした方がいいよってぼくに何か注文をつけた時点において、ぼくに何か ゆだねてるわけだからね。

岡本  だからなるべく話したくないみたいなところもあるけど。いや味とは判ってて、もっとこうしたい。こうできたらいいなァって自分に歌をひきつけたい気持ちもあるしね。

吉田  おれは創る場合、岡本ちゃんが何を考えてるのか、それはまァ関係なしに創っちゃう。考えすぎるとおれ、できな くなるじゃない。だから考えないで創っちゃってあとで困るわけよ。

岡本  だけど結局さ、言葉書きと、曲を創る方、歌う方とのつながりは感じ、なんだとも思うね。いくら理屈で納得してもさ、出来なければしょうがない。まず出来て、出来たとき、聰いて、自分がそこで何かジーンとくるとかさ、考えて書いたことばが、考えたことばじゃなく て、確かに歌ってる。それを聴いて、これにこれだっていう何か感動みたいなものが大事でさ。理屈でまず判り合うと、感動しなくてもなっとくしてしまってるんだ ね。自分がさ。そのジーンときた時に創 りながら、人間関係ができてるんだと思 う。それは歌だけじゃなくて、ぼくは、 はっきりいえば、すべてそれが大事なん だと思う。

吉田   おれと岡本ちゃんの関係ってのは理屈ぬきでやってるじゃない。でもこの頃思うんだけど、それもまたいちばん理屈なんじゃないか、結局ね。

岡本  うん。ある意味でね。

吉田  そんな気もするんだ。最高の理屈みたいなさ。うがった言い方だけど、変な見方するとそれがいちばんややこしい理屈なのかも知れないとも思うね。だいたい理屈ってそういうことじゃない。 出したり引っこめたり。それを拒否してさ、つき合うみたいなことさ。これはヘ 理屈なんじゃないかって。

岡本  どうする。

吉田   しょうがないね、これは。

岡本  ぼくはいつも会って話を延々としたってしょうがないと思うんだね。お互 いに何かを創りたい人間でなければ、雑談も又楽しだけどさ。何かを二人で創り たいと思うとちょっとちがってくるもん だね。ぼくの気持ちを言えば、何かを書きたい。それで自分で、できたとまず自分が思えるところまで書いてみたい。さてできた。ではそれを渡して歌って欲しい人は、その時真先に浮かぶのは誰だろ う。戯曲書いてる人も同じだと思うけど 言葉の段階では自分にひきつけていく。 で、次の段階で、さて、みたいなね。

吉田  個人的な話になるけど、岡本ちゃんが電話で詞を送ってくる。拓郎1寸読むからって女房が書きとる。そして詩を送ったあとで何が「これおかしな詩だか ら」とか、言う癖があるよね。

岡本  ああそうか。一言多いんだ。

吉田  そこでおかしな詩っていわれると じゃあそうかな、そう創らなければみたいなことがある。だからそうじゃなくってもおれが大笑いするような詩もある。 だからさ。

岡本  判るなァ。でもあれだね。自分が何日もかけて書いてると、何か一言付け加えたいっていうのがあるんだな。人間って奴はさ。拓郎が誰かに歌をたのまれて書いたとしてさ、出来て渡す時、何か言わない。

吉田  ある。それは絶対あるけどさ。

岡本  そこなんだな。

吉田  おれ覚えてるんだけどさ、「ハイ ライト」って歌をおれが茶化して歌ったら、そうじゃないよ拓郎、って前に言ったけどさ。歌ができたあとで「そうじゃ ないよ」っていう方が結果的には言われ た方も、言った方もおもしろいんじゃないかと思うね。

岡本  うん。そうだね。

吉田   「おきざりにした悲しみは」みたいな歌だと、ぴったりしかないけど、割合普通のうただったら、おれが岡本ち ゃんと全然ちがう受けとり方したとする じゃない。おかしな歌だなと思ってげら げらソングになったら、それも面白いと それでね。岡本ちゃんはその真相をい わないの。一生言わないの。げらげらソ ングで終わっちゃうけど。死ぬ時にひと言だけ「あれほんとはまじめにして欲しかった」なんていわれたら、おれ「へえ・・・」ってなる。そしたらおかしいね。 たとえば偶然考えが合うこともあるけどね。いま望んでるのはさ。今はすごくま じめな歌が多いからさ、どこまでバカなことが書けるかみたいなことを岡本ちゃんがやってさ。それを黙って普段と同じ にポッと電話で送ってくるわけ。おれ は、また来たなって感じで、まじめな歌だと思ってやったら馬鹿歌だったていう ようなさ、どんでん返しがさ。

岡本  もう、いわれちゃって出来ないよ。 (笑)

吉田  それはだまし合いだからさ、おか しな歌やりたい。おかしなあまり意味のない歌。

岡本  そこから先はもう言わないでおこ うよ。 (笑)

吉田  こういうネタのばれる話はあんまり良くない。(笑)

岡本  だからあんまり会いたくないんだ よね。(笑)

   (終)

 

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2005/05/27

ビートルズが教えてくれた 拓郎×岡本おさみ対談③

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◇日本の文化はテレ文化

吉田 今、キャロルっていうグループ 出てるけど、あいつら好きだね。言葉がさ、まず可愛い。ぼくは君をほほえみたいとか、ビートルズの歌詞がいっぱい出 てくるわけよ。英語がさ。その中に日本語もある。だからぼくはロンリネスとかさ。(笑)そんなの聴いてるとすごく楽 しい。理屈が全然ない。だからぼくは郷ひろみの、ぼくたち男の子、ゴーゴーっ てあの雰囲気は好きだね。理屈なし、雰 囲気だけでノセられるわけだよ。

岡本 でも、うん、そうかな。理屈が全然言葉から顔を出さなくっても、すごく中に理屈がある、そういう書き方はむずかしいんだけど。

吉田  中味があるのはむずかしい?

岡本  いつか電話で話した「ジョンの魂」 はさらっと読むと、まあ読みやすく、感覚的にもいいって感じでしょ。しかしあれは考えぬいて、とても理づめに考えこんできて、で表現方法としては理屈が感 じをこわすのをさけて、ひじょうにさらりと感覚的に仕上げてる。会話、話しかけてる手法でね。それはすごい巧みなテクニックだと思う。そういう高度な言葉 のテクニックで物を考えることをしないで、君たち女の子じゃあ、マンガになっ ちまう。

吉田  勿論、いい悪いじゃなくてさ.

岡本  うん。

吉田   ビートルズが例外なのはさ、ぼくはさびしいんだよ。君の髪の毛がどうのこうの。初期の歌詞にはそんな深みはない。ないけれど、まず雰囲気で、あるようにみせかけてしまう。つまり音楽の出し方だよね。ある雰囲気をかもし出しち ゃう。そこが好きだね。だから後半のビ ートルズは、ぼくはうけつけられない。コードがややこしくなったりコーラスがはいったり、雰囲気が変わっちゃつたのね。抱きしめたいなんか、当然変な詞だよ。どうでもいい詞だよ。それをピートルズがやると、どうでもいい詞でなくな つちゃう。シカゴなんか聴いていると、 この詞は真剣に考えなくちゃあって固さがある。だからそういう意味で今の奴らはあまり好きじゃない。まず理屈がありすぎるんじゃないかって気がする。

岡本 歌のことばと活字の詞とのちがいがあるとしたらさ、ともかく言葉を書くっていうことは、ぼくはものを考えるととだと思うからさ。だから活字の詞を書 くように考えた上で、歌の言葉として表現するとき、その考えたことはおくびに も出さないで、シンプルに消化できるかできないか。ぼくの場合はそのことかな。

吉田  ぼくはものすごくリズム&ブルー スが好きなわけ R&B。黒ん坊のそれがなぜ好きかって言うと、たとえば、 「朝起きるとベッドのまわりにブルース が歩いてた。パン食べようと思って割っ たらパンの中にブルースがつまってた! そういうのが最高の歌の詞だと思うけど さ。それだけさ。だけど音楽として成り 立たせる、なおかつ客をノセる音楽。それがすごく好きなのね。昔から、そういうのやりたくてしようがないんだ。

岡本  今の詩いいし、だけど書くのはずいぶんむずかしい。

吉田  郷ひろみ、おれ好きなんだね。あの雰囲気があるだけでも好きだね。

岡本 でもさ、それは作られた雰囲気じゃない。たとえば、その歌手が自分で歌いたいものだったらさ、でもまわりが作 ってる。はっきり作為がみえてるから、 ぼくには人形にしか見えないね。だから 自分が出したいことばなら別だけど。

吉田  話としてはすごく判る。ぼくもそ う思ってるわけさ。でもさ、じゃあなんでぼくが郷ひろみが気に入ってるかって いうと、それじゃあ例えばぼくが、あの雰囲気をつくれるかってことになると、 ぼくはできない。ああいう歌は自分で歌えない。歌詩ももちろん書けないと思う。ところがむこうの(外国)奴らは作って歌っちゃう。これは理屈ぬきでお客がのってくれる。楽しいんだから、そういうノセる歌い方をおれはするんだ、みたいなことが、じゃあ日本人の歌手にできるか。シンガー=ソング・ライターといわれる奴も、ぼくも、理屈ぬきで楽しい歌をつくってみたところで、それでお客をのせられるか。言葉でだけしかノセ られないわけよ。アクションを考えるなんてのはできない。外国の奴らはそれが できる。リズム&ブルースの連中は、やりたい、やりたい、だけでノッてるんだ から、客がね。そんな歌手が日本に何人居るかって気がするんだ。だからさ日本人がそういう人種だったとしたら、自分はできないっていうテレがあるんだ。テレテレテレ、日本人は大テレ人種だね。 昔からそう思ってる。日本の文化はテレ文化だと思ってるね。日本人ってテレまくってるんだよ。恥ずかしいんだよ。きっとさ。だからぼくはそれが作為だろう が何だろうが、しょうがないと思うね。 郷ひろみはタレントとして出来るわけよ。だけどその曲を創った奴はそれはできない。あとはお前やってくれ。もし創 った人がやって客がノッたらすごいと思うね。そこまでやらなけりゃあぽくらシンガー=ソング・ ライターっていってもだめだと思うね。だからさっき岡本ちゃんも歌えていったじゃないさ。創ってみて歌うとき、なにか渋ってるようじ やあね。だから歌う前に理屈を言う奴はダメだと思う。この歌はこうこうこうで、あんたたちには判ってもらえないと思うけど、なんていう奴がいるじゃな い。客に向かってさ。そういうのは最悪だと思うね。それじゃあシンガーソング・ライターなんて考えられないよ。 ぼくらでもさ、すごく楽しい歌創るわけ。 でもステージで歌うときには楽しくやれ ない。肩張っちゃって、かまえてるもの。 それが絶対おかしいと思うよ。そういう自分ってさ。

岡本  それはさ。弱味を見せたくないみ たいな、そういうことがあるんだね。

吉田  それはある。でも弱味だと思ってるからもう出来ない。弱味じゃないよ。 それで客がノセられたら、そんないいと とないじゃない。ぼくのものに「馬」って歌がある。おかしな歌なんだけど、そ れを歌って、客がうわーっと楽しんでノ ッてくれたらこんないいことはない。歌ってるぼくが、まじめな顔してるんじゃあ、逆にそういう自分がおかしいと思 う。そこまで責任もってやってないんだ なって気がするんだ。変ないい方だけ ど、自分で歌を創って自分で歌ってる奴 は、頭良すぎてなにもできない。すぐ考えちゃうから。思考が先に立って何もで きなくなっちゃう。泉谷しげるがステー ジで踊りまくってんの、テレかくしだと 思うよ。みんなええかっこしすぎるんだよ。 

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2005/05/26

ビートルズが教えてくれた 拓郎×岡本おさみ対談②

◇T·レックスなんてわからない
 
吉田  外タレがいっぱいやってくるけどおれくらい観ないのもいないんじゃないかな。一昨年かな、BST観て以来……。 (今度ジェームス テーラー観るけど)
 
岡本   レコードはどんなもの聴いているの。
 
吉田   あいかわらず古い歌ばっかり。今の人とポップスのはいり方が違うわけよムッシュ (かまやつひろし氏)なんか、 どんどん聴いてるんじゃない。そして自分で取り組もうとしてる。あんなの、おれにはわかんない。おれ、できないもん。 T・レックスなんかいいと思わないんだ。ファッションがどうのこうのってのは別にしてさ、音楽的に進んでると思わない。サウンドだっていうけどさ、それにしちゃあうけすぎると思う。だから何かあると思うけど、よく判んない。もろに言っちゃえばシカゴの良さってのは ぼくには判んないもんね。音量だけって気がしてんの。だけど、そういうふうに言うとみんなから笑われるわけさ。「お前はなんにも判っちゃあいないな」って笑われるんだけど、ああいったものになじめないんだ。ああいった、コード進行にもね。ニール·セダカとかポール・アンカとか、そういうものにしかなじめないんだね。そういうところからぼくのポ ップスは始まってるわけね。ぼくがいちばん始めにきいたのはニールだとか、プレスリーは別にして、プレスリーは好きじゃなかったしね、あの頃は。今になってやっと好きになったけど、それにリッキー・ネルソンとかポール ・アンカとか デルシャノンとか、そんなのばっかり聴 いていた。だから、今流行ってる不可思議なコード進行とかは、ちっともいいとは思わない。ただビートルズに関して は、例外的に、きれいだなと思うんだけど、だからニュー・ロックとか、サイケデリック・ミュージックとか、ひとつもいいとは思わないね。みんなよく判ってんだね。
 
岡本   知識として知ってることと、そうでないものは区別しないとね。
 
吉田   つまり音のはいり方が新しいところからはいった奴はそれがあたりまえなのかな。
 
岡本   なじんだものがこびりついてるんだろう。
 
吉田   やっぱり昔のがいいね。だから加藤和彦のとこへ行くと恥ずかしくなるもん。レコードがぐしゃあとある。なんだかんだ持って来て言うじゃない。どれもこれも一人も知らないもんね。これ何する人。これ何する人。「なんにも知らないなお前」っていわれるけど、加藤と年 代そんなに変わらない。でもあいつは積極的に取り入れようとしている姿勢があるからさ、あるいはとり入れる体質がで きてんのかな。
岡本  体質じゃあないかな。それが楽しいっていう、楽しさでしょう。きっと。
吉田  ムッシュなんかもできてるんだろうな、そんな体質が。ぼくなんかは全然ないね。ギャーンっていうエレキ聞いたらもういやになっちゃうもんね。グランド・ファンクなんか全然おもしろくない。 だから聞く気になれない。ディープ・パープルなんかみんな騒いでるじゃない。 わかりにくいんだね、ぼくに、あいつらの音楽は。レコード聴いてピーンとこな いわけよ。
岡本 新しがりがいいってもんじゃない。
 
吉田  でも、今の中学生とか高校生とか 恐いね。聴いてるもん。
岡本  ぼくは言葉だけど、レコードの言葉は全然気にしてない。読むものは読んだし、あとは何創るかだけ……。
吉田  言葉はね。今の奴らの方がいい。 訳してるのを見ただけでも、大要をつかめるけど、いまのがいいよね。ニールや、アンカの昔の恋の歌なんてつまんない。どうってことない。だけど今の歌ってのはちょっと悲しすぎるね。詞を見てもメロディ聴いても鬱ね。全部。詞などもメロディも鬱になる音楽が多い。そう いう意味じゃあ昔の失恋の唄なんてのは 失恋だけれど、鬱じゃなくて聴いてさわやかになっちゃうもん。「恋の片道切符」 とか「小さな悪魔」とか聴いてて爽やかな気分。明るくなっちゃうものね。
岡本 ぼくが感じてるのはそのへんと近 いんだけど仮に拓郎がすごくまじめにね、はっぴいになると、そんなのとても耐えられないよ、ってことになる。「明 日に架ける橋」みたいにまともに肯定さ れると、なんかとても道徳的で、あれは あれでいいんだろうけど、ぼくは拓郎が 歌ったらムズムズしそうな気がする。そ れよりもっと小気味よく、冗談めかしな がら、気ままな、気まぐれな、はっぴい さ。それの方が何か聴いて気持ちいいし信用できそうな。あまりまともに聖人君子的に肯定されるとね。ぼくも、「ビー トルズが教えてくれた」じゃあないけれ ど、もっとちがったはっぴいの形は創っ てみたい。
 

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2005/05/25

ビートルズが教えてくれた 拓郎×岡本おさみ対談①

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吉田拓郎はさっぱりした男だ、こちらから見ると、かなりキツイ状態 だと思われる時でも、ステージでは からっと歌いこなす。跳んだり叫んだり、笑ったり泣いたり、裸のままでおれる男だ。結局活字から逃げられぬ活字人間のぼくなどは、いくら 陽気なときでも、やはり閉鎖しているのに気付く。知識というやつをつをぶ らさげて歩くのは、なんて堅苦しいことになるだろう、と彼を見ながらぼくは思う。

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◇未発表の歌創り

吉田 岡本ちゃんが詞を、この前くれたでしょう、ちょっとおもしろくないのね。

岡本 十ぐらい渡したっけ。

吉田  女房(女)を抱く話が多すぎるんだね。ぼくはこんなに重くなってしまったとかいう表現が多過ぎてさ。

岡本  それはさ、吐き出したいときに、 あるテーマのものを一時に吐き出したい時期が、ぼくの場合あるから。

吉田  だけどさ、同じものが多過ぎるんじゃないかな。おれあの中で気に入ってるのは「ビートルズが教えてくれた」と 「こんなに抱きしめても」ってのと釣に行く...。

岡本  「下り電車」

吉田 「こんなに抱きしめても」のパタ ーンがすごく多いと思うな。表現はちが っても似たりよったりなのが、あっちこ っちにいっぱい出てくる。

岡本  それはさ、同じテーマを、あっちから攻めこっちから攻めみたいなことがあって書き切れたところでまとめてひと つの表現が整理できたと自分で確認して次のテーマに移れる。そんな感じがぼくのやり方なんだね。

吉田  そうなってくると1個1個の密度 がうすくなる、あまり煮つまらないって感じがするんじゃないかな。

岡本 ずっと前にさ、精神的じゃない男 と女を書こうみたいなことを言ってたじゃない。 それで色々なテーマも書いてるんだけれど、精神的じゃない男と女これをひとつ自分なりに完結しようとして! ヵ月なら1 ヵ月かけて、そのことだけ考 えてみたんだね。もっと深くというよう に。それをバラバラにして他のテーマと混ぜて渡せば、同じって印象はなくなるけど、あえてまとめたみたいな。

吉田  でもさ。五つ詞が来てさ、タイト ルが全部違うけどさ、同じような意味ありの言葉が、一にも二にも三にも四にも ...。だったら何となく五つとも良くないように思えてくるわけよ。気分的に。どれ も流れてるんじゃないかって気がしてさ。

岡本  そうじゃないんだよ。「こんなに 抱きしめて」があるじゃない。淋しくて 仕方がない。出口もない。淋しさに酔いしれるような。それが朝が来て、きれいになれたところで出てゆくところはないか。「渓流(かわ)で洗えば」でやっときれいになれそうな。ひとつひとつ時間かけてるんだけどね。

吉田  おれ、女ってのはね、表現の仕方でいえば「おきざりにした悲しみは」の中で「そうさ/おまえは女だからね」ってある。あれですべて言えてる気がしたね。だからあの詞はのったしね。くどくないからね。「そうさ/お前は女だから ね」その一言で想像してさ、イメージを 展開させてさ、女ってものを何か感じるじゃない。それがすごく好きだな。

岡本 だからぼくの場合はひとつを完結しないと次に行けないみたいなとこがあるんだけども。

吉田  だからさ、それはお互いの個人の立場の問題なんだ。しかし詞をもらう立場になると、曲をつける側になるとさ、 同じテーマが五つくるじゃない。何やってんだろうなって気がする。新鮮味がなくなる。これはフィーリングでさ、みんな同じだからダメダメみたいなさ、その中に突然釣りに行くのが出てくると、ガバっと燃えるわけよ。そういう意味じゃ詞の渡し方もやばいと思うね。

岡本 考えておきます。(笑)

吉田  だってぼくはこういう性格じゃない。だからバラバラのもらい方の方がやりやすいね。女ばかりまとめるといやになっちゃらよ。「おきざりにした」の「そ うさ/おまえは女だからね」って言い方。そういわれると女のほうも「ああ男よ!」って感じでさ。

岡本  うん判る。今度作戦考えるよ"(笑) 少し女から離れよう。

吉田うん、もういいよ。岡本ちゃんの 場合、いま女の事いわない方がいいよ。 きっとね。「おきざりにした悲しみは」 の女はすごくかっこいいもん。

岡本  今ね。前に話した「ビルの中で1 日中過ごして外に出ると初めて季節があって、ああ冬だったんだな」みたいな。 あれにこだわってるところだね。生きてるもんじゃない無機質なもの。エレベーターとかエスカレーター。その中での何り疲れたもん。どうやっても自分のメロ ディになるじゃない。このメロディじゃあ歌えないだろうな、って思うんだね。 だから代りに女房に歌わせてみたの両方とも女だからね。そしたら歌いにくいっていうからさ、メロディ三回変えちゃった。今日は締切りだったからどうしようもない。疲れた。

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