カテゴリー「黄金の60年代、「キャンティ」とその時代 川添象郎・ムッシュかまやつ・ミッキー・カーチス 」の記事

2017/02/24

黄金の60年代・「キャンティ」とその時代③ 川添象郎・ムッシュかまやつ・ミッキー・カーチス

【 「ルノーぺちゃんこ事件の 真相を 報告します」(ムッシュ) 】
 
川添 それから例の「ルノー事件」の真相を知りたいわけよ。
 
ムッシュ  オー!「ルノー事件」の真相を、これから申し上げます(笑)。
 
川添 おまえが言うのと、ミッキーが言うのと全然違うんだから、言ってることが。
 
ムッシュ  たぶんね。
 
ミッキー  じゃあ、発端だけ、俺、言うね。俺んちにおまえから電話があったんだから。
 
ムッシュ  わかりました。どうぞ。
 
ミッキー  おまえがルノー買ったばっかりだった。それで、「アメリカ映画みたいに、屋根に
ボート乗せて六本木を走りたい」って言うんだ。
 
ムッシュ  スノコが付いてるんだよな。キャリア。
 
ミッキー  キャリアが付いて要するにカヌーかなんか逆さまにして乗せて走ってるじゃない?あれをやりたいっていうわけ、六本木で。で、俺は船を持ってたわけ。俺、競艇場から5000 円で買ってきたから。うちの庭に置いてあったわけ。それでいいから積ませてくれっていうわけ。で「俺、旅に出るけどいいよ」って言ったのよ。そしたら、俺の家の鍵とか全部持ってたの、ムッシュは。もう、みんなお互いに、うちは全部、あけっぴろげだから。勝手にうち、泊まったり、住んだりしてたから。持ってたんだろうな、きっと。それで、俺が聞いたのは、ルノーに船積んで、「シシリア」でムッシュが飯食っている間に大雨が降ったの。そしたら、ムッシュは、ルノーの屋根に、車を、要するに、乗るところを上向きにして積んでたのよ(笑)。で、大雨が降っちゃったもんだから、巨大なウォーターベッドみたいになっちゃって、水の重みでルノーが潰れちやったわけ(笑)。それで、俺に電話が掛かってきて、怒ってるわけ。「おまえのおかげで、 俺の車、潰れたぞ!」って。俺、いないんだよ、日本に。積むんなら、逆さに積めよ! よく見ろよ、映画を! 川添 普通、逆さにみんな積んでるよ、あれは。

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ミッキー そのほうが空気の抵抗もいいし。
 
ムッシュ  そうそうそう(笑)。
 
ミッキー  それで、おまえの話はどう? 近いか。
 
ムッシュ 近い!すごい近いんだけど、場所が違うって。アトランティック モータースの隣に、そのババアがやってた、そこでの話なんだよね。
 
ミッキー 「アゼリア」だか、なんとかっていう。
 
川添 なんとかいう店があって、そこでトニーと話し込んでた。
 
ムッシュ  トニーと話し込んでたの。
 
川添 トニー、赤木圭一郎。
 
ムッシュ  そしたら、そこにいる間に大雨が降ったの。俺が船底を上にして積んでればよかったのに、乗るところを上にして置いちゃった。乗せ方知らないから、中に水がたっぷり溜まっちゃつてさ。重みでルノーの天井が潰れたの(笑)。
 
川添 潰れたんだよな(笑)。
 
ムッシュ  ミッキーは、それを注意してくれなかったの。つまり、こういうふうに積めっていう注意がなかった。
 
ミッキー  そんなの知らねえよ(笑)
 
---- ムッシュは元祖「陸サーファー」だ ったんですね(笑)。でも当時は、ポードやボートの積み方も、まだよくわからない時代だった。
 
川添  そういうこと。
 
-----「ミッキーが三島由紀夫にしたUFOの話が 小説になった」(川添)
 
ミッキー  それから、三島由紀夫の最期の晩餐のとき、「キャンティ」にいたからね、俺。おまえもいたじゃん。
 
川添 俺、3日前にも会ってるしさ。いきなり親父から電話掛かってきてちよっとおまえ、仕事の俺のデスクの上の封筒持って来いって言うんで、「わかりました」って行ったら、でかい大広間で、三島さんとうちの親父と二人で、深刻な顔して話してるんだよ。俺、「持ってき ました」って言ったら、「おっ、ちょっとこっち持ってこい」って言ったのを覚 えてるんだよ、鮮明に。それから三日後に(割腹事件)やってるんだよ。三島さんが、相談しに行ったみたい。うちの親父に。
 
ミッキー  かなり計画はちゃんとしてた。
 
川添  それで前の晩に、「キャンティ」で食事してんだよ。
 
ミッキー 俺、いたんだ。
 
川添  そのときに書いたんだわ。三島さん、うち(「キャンティ」)のサイン帳あるじゃない?
 
ミッキー  そのページだけ、盗られちゃった。
 
川添  ウエイターの石井のヌーさんが、大事にしてたんだけど。最期の絶筆みたいなの。書いてるんですよ、三島さんが。 なんで三島さんとうちの親父が仲がいいのかは、俺、知らないんだよ。
 
ミッキー 年中、三島さん「キャンティ」 にいたよ。俺だって、丸々本1冊分のネタ、提供してるから。
 
川添 知ってるよ。だって、例のUFOの話かなんか。
 
ミッキー書いてる。「美しい星」だっけ?
 
川添 「美しい星」だよ。
ミッキー 後に、あれは俺からもらったネタだってことも書いてるの、三島さんは。
 
川添 そういう話をさせると、ミッキー·カーチスはやたら詳しいんだ よね。 ミッキー 中学ぐらいのときから好きだったからね。
 
川添 だからその時代に、三島さんにUFOの話なんか彼はしてて、それが小説になっちゃたりするんだけど。「キャンティ」っていうのは、そういう場でもあったわけ。
 
ミッキー  溜まり場文化。みんなが集まれるところ。いろんなやつがいるわけよ。 写真家がいたり、絵描きがいたり、物書きがいたり、医者がいたり。
 
川添 めちゃくちゃ。
 
ミッキー  ルネッサンスだよね。その中から何か生まれるんだよね。
 
【 「俺は象ちゃんのこと、大体知ってるんだよ」(ミッキー)  】
 
----- 当時の60年代の女優とか歌手とか女性陣たちの遊びとか生態は、いったいどんな風だったんでしょう?
 
ミッキー  そんなとこへハマっちゃったら、ここは大変なことになっちゃうよ。 この建物ごと修羅場になっちゃうよ。
 
ムッシュ  このへんが一番、そうだよ。
 
ミッキー  地下一階、二階、三階だもん。
 
川添  だいたい何がなんだかわかんなくなっちゃってるんだから。もう。
 
ミッキー  「人類皆兄弟」みたいな。
 
ムッシュ  そういうの、あったね。
 
ミッキー  あったね。だって「俺、二階に女待たしちゃってるんで、一階の子、ちょっと今日は頼むよ」って。
 
川添  そうそう。
 
ミッキー 「じゃあ、地下の子、どうするんだよ? あっちは頼むわ」みたいな。 一人の女の子が、テンパッちゃって、し ようがないから、じゃあこっちはおまえ、二階にいるやつをおまえって、かわりば んこ。気そらしたり。
---- どういう女性なんですか。
 
ミッキー  いやあ、それはもう今、名だたる人たちです。みんな生きてるから。
 
川添  生きてて、本人たちがたぶん怒る と思うから。言わないだけの話でね。
 
----  今著名人のタレント、女優さん。
 
ミッキー  そうですよ。
 
ムッシュ  やっぱり、名前出すっていう ことは、品格の問題だからね。
 
川添  下品だと思われたら嫌だもんね。 でも、こちらが遊んでるつもりでいて。
 
ミッキー   向こうも遊んでるつもりだか ムッシュ遊ばれてる。
 
川添  そうなんだ、けっこう。
 
ミッキー  今会うと不思議な感じだよね。なんか、仕事場でさ。「いつまでも おきれいですね」、とか何とかちょっと言ってあげないといけない。向こうは大女優になってたりするからね。
川添 俺の結婚式のときに、YMOとか、 シーナ&ロケッツとか、サンディ&ザ. サンセッツ」とか:]みんな来て、パフォー マンスやってくれたんだ。
 
ミッキー 5回目の結婚式? 4回目?
 
川添 そんなこと言われて、わかんなくなっちゃう。三回目だよ。
 
ムッシュ  へー、そんなしてる?
 
ミッキー してるよ、こいつ。ちょくち ょくしてんの。子ども、さらに増やしてるの。
 
ムッシュ  どれだかわかんない。
 
川添 忘れてるだけだよ。みんないたもん。3回目が例の林真理子の『アッコち ゃんの時代』のモデル、アッコだ よ。それで、今住んでるかみさんとの間 にできたのがこれ(生まれたてのベイビ ーの写真を見せる)。
 
ミッキー  またできたんだよ。
 
ムッシュ  うそ!
 
川添  ほんとだよ。
 
ミッキー  出来立て。先週、生まれた。
 
ムッシュ  ほんと?
 
川添 だから俺たちの仲間で一番。
 
ミッキー  増殖者!
 
ムッシュ  種馬みたいじゃないか!
 
ミッキー  種馬だよ!
 
ムッシュ  でも、エネルギーの原点だもんね。
 
ミッキー  ほんとだ。
 
川添  この写真が怖いわけよ(もう一枚の写真を見せる)。横にアッコがいるだろ。(今の奥さんの)陽子が病院から帰ってきたときに撮ってる。
 
ミッキー おまえ、この写真すごいな、おい。勢ぞろいじゃない。
 
川添  アッコが子ども連れてきたわ
 
ミッキー  いいの? こういうことして。
 
川添  いいんだって。
 
ミッキー  まあ、陽子嬉しそう。 ムッシュすごいね、それ。なんつったらしいか。
 
----- なんでそんなもてるんですか、川添 さん。
 
ミッキー  詐欺だ。 ムッシュでもすごいよね。象ちゃんは。
川添   なんで、もてるとかっていうのは
 
ミッキー  これはだけど、ほんまもんよ。 別に象ちゃんが騙したわけでもなんでもないよ、僕らと違って。これはだって、陽子 のほうが象ちゃんを探してたんだから。
 
川添 なんで知ってるの?
 
ミッキー  おれはおまえ、おまえのこと だいたい知ってるんだよ。
 
川添 危ねえなあ。僕らの仲間で、一番最後に子ども作ってるのは、今のところ、俺なわけよ。
 
ミッキー 今のとこって言ってるところがいいよな。
 
川添 今のところは。俺、企画があったの。実はね。かみさん三人で、今子ども が四人でプラスアルファみたいになって るわけ。だから、『団塊パンチ』の「象 の記憶」の最後に、いわゆる写真館で、 全員で写真撮るっていう。
 
ーーー それ、いいですね。
 
川添  それはもう、その手は古いからやめた。
 
ミッキーがハーモニカをとりだして、いくつか曲を吹き出した。皆、ブルース のような味がある。「上を向いて歩こう」も流れてくる。ミッキーが音を解析する。 Bフラットマイナーでやってんだけど Eフラットセブンズ、Eフラットセブンズ、Bマイナー。いいんだよ」 すると、ムッシュが「ワニは騒がないよ。マイナーだと騒がない。メジャーじゃないと」とフォローした。 象ちゃんは「こんな鼎談でいいのか」 といった顔をしながら、ビデオを撮って いる。 いまよりもずっと人間くさく、熱かった60年代が、三人を通して、夜空のスクリーンに映し出されていた。
 
(構成·本橋信宏)
 

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2017/02/21

黄金の60年代・「キャンティ」とその時代② 川添象郎・ムッシュかまやつ・ミッキー・カーチス

黄金の60年代・「キャンティ」とその時代②
川添象郎・ムッシュかまやつ・ミッキー・カーチス
【 「青山墓地で墓石狙ってピストル試し打ちしてた」(ミッキー)  】
 
ミッキー  東京タワーができた日、フラ ッシュの球、焚いたんだよ。何万個だか、パッと。 そこの飯倉通りでみんな立って見たの、憶えてない?
 
ムッシュ  そうだっけ? あれ、できた日っていつごろ?
 
ミッキー  昭和33年。ロカビリー・ブ ームのときだから。このへんも怪しかったよな。拳銃は売ってるしさ。
 
ムッシュ  「坊や、いくらか持ってこい」 ってやくざに言われたから、そのまま裏 から逃げて、半年ぐらい行かなかったこ とがあった。そういうことが、そのへんでしょっちゅうあったから。恐喝とかね。
 
ミッキー  ジェリー(藤尾)もそこで切 られてな。マネージャーも刺し殺されたりとか、ざらだったな。
ムッシュ  だったね。あのころは現役がいたね。
 
ミッキー  バリバリいたよ。ロカビリー の中にいたからね。
 
ムッシュ  いたいた。
ミッキー いたよね。現役がね。
 
ムッシュ  夜汽車の中で、山下敬二郎がライフル持って追っかけるもんな。俺、見たことあるよ。
 
ミッキー  そうそう。あれだけ滅茶苦茶ができたっていうのはね、よく新聞にも出ずに、警察にも捕まらずに。
 
ムッシュ ねえ。ほんとだね。
 
ミッキー 今だったらもう、新聞に毎日載ってるね。昔はみんな武器持ってたからね。
 
川添 そうだよ。あのころみんな持ってたよ。
 
ムッシュ  ジョニーキャッシュの歌、うまい人いたじゃない? あの人さ、自転車のパイプ使ってさ、手製の拳銃作ったもん。
 
ミッキー  名人だよ。22口径、バッチリ。
 
ムッシュ  それで、俺、1個もらって いっつも、持ってたんだよ、車の下やなんかに。それであるとき、高校の授業中に隣のやつに貸したら、暴発しちゃった (笑)。
 
川添   (拳銃の)ベレッタ持っていたか ら、撃とう撃とうって話になって。みかん箱あったから、バーンバーンって撃って、穴が開いたりなんかして。当たり前だよな(笑)。
 
ミッキー 青山墓地でみんな撃ってなかった? 墓石狙ってみんな撃ってたよ。 やくざなんか。試し撃ちするじゃない。
 
川添 そうしたら、それをうちの親父が、何やってるんだよっていう話になって。 で、俺たち、「ピストルが楽しくて撃ってます」みたに親父に言ったら、親父 は、「ああ、そうかそうか。俺にも撃たせろ」とか言って渡したら、そのまま スッと消えちやったんだよ。それから、ベレッタ返ってこないわけ。親父は、要するに、こんなガキどもに渡してると、えらいことになっちゃうから、うまいこと取り上げて捨てちゃおうと思ったんじゃないの? ほんと、平気だったから ね、そんなもの。
 
ミッキー 銃刀法で。みんな、捕まっちやって相撲取りとか、ハワイ巡業の帰りに持ってきちゃって。
 
川添 男にとって、こういうものってお もしろいじゃないですか(食事用のナイ フを磨いて、目の前にさらす)
 
ミッキー 当たり前だよ。
 
川添 実際に人を刺したり、そういうことをしたことないですよ。
 
ミッキー  1、2度しかない。
 
ムッシュ  やったことあんの?
 
ミッキー 下、さらし巻いて、一応突っ 込んで学校行かないといけなかったの。 「てめえ、このやろう」って。切れた跡とかいっぱいあるよ。
 
川添  エアガンは、合法的なのよ。エアガンてのは、玉があって、2.5グラムのプラスティックの玉だから、そんなもの、こんなとこ当たったって痛くない。
 
ミッキー 痛いよ、おまえ。俺、自分で自分を撃ったけど、痛かったよ。こいつ. 、ひどいよ。ユーミンのコンサート行って、知ってる? 客席から歌ってるユーミンに向けて撃ったんだ(笑)。
 
川添 嘘だよ。そんなことしてないよ。
 
ミッキー  さすがに楽屋行ったら、ユー ミンがムッときて無視した。そんな話聞いてるよ、俺。
 
川添  それは、オーバーだろ。
 
ミッキー  そりゃあ、客席でまずいよ、ユーミンを撃っちゃあ。
 
川添 オーバーだって。
 
ミッキー  いや、聞いたよ、俺。人に伝わるときにはそういうふうに伝わってるのよ。
 
川添  そうだそうだ。話がオーバーになっちゃうんだよ。
 
---- グループ・サウンズ伝説のひとつに、スパイダースのデビュー曲「フリフリ」 のジャケットに、ムッシュだけ写ってないのは、遅刻魔のムッシュが遅刻してきたから、写ってないんだっていう説があるんですが。真相は?
 
ムッシュ  本当です。つまり、いなくてもいける。あいつなんかどうでもいいっていう感じだったんだね。
 
川添  おまえがただの寝坊なんじゃね か(笑)。
 
象ちゃんの「果たしてこの鼎談、うまくまとまるのか??」という心配をよそに、話題はますます盛りあがっていく。 古き良き60年代の六本木の若者たちの、いまでは想像もつかない奔放な生態が明るみに出る。
 
---- 「ホイールキャップ いたずらしたの憶えてる?」(ミッキー)
 

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ミッキー  この辺、都電走ってなかった?
 
川添  走ってた。
 
ミッキー   朝一番で、月島に行くおばち ゃんたちが乗ってる都電の前で、俺たち五人並んで、チンポ出して立ってた。
 
ムッシュ  あったよ。
 
ミッキー 滅茶苦茶やってたよね。空気銃で撃ったりとか。
 
川添 空気銃、すぐ撃っちゃう。
 
ムッシュ  田園調布に行ってさ。お屋敷が、みたいなところで遊んで、4時とか過ぎてるんだよ。おまえさ、車の外へ出て、チンポ出して踊れってわけ。
 
ミッキー  三千円くれるとか言うんだ。
 
ムッシュ  そう。田邊の昭ちゃんが踊るの。誰か見てるんだよ。深夜だから、誰も見てないと思うんだけどね。ヒューヒューってやると、踊るんだよ、しょうがなくて(笑)。それから、ヒッチコック の映画、犯人が初めっからわかっちゃったらつまんないじゃない? 映画が始まる前にステージ上がって、誰が犯人か言ったら1万円やるとかそういうことさせるの。井上順やってたもんね、1万円ほしくて。そういうバカな遊びしてたんだよね。それから、ほら、車の……。
 
ミッキー  車に乗って、後ろで、走ってる最中、駅まで、後ろにいるやつがマスかいたら偉いみたいな、そんな話になっちゃって信号でこっち止まってる。ヒョッと見たら、横に女学生満載のバスで、みんな、こうやって上から見てた(笑)。
 
ムッシュ  そんなことあったね(笑)。
 
ミッキー  それと、ホイールキャップ、いたずらしに行った。憶えてる? 夜中に俺の親父の車を持ち出して、それで田園調布、行ったんだよな。シーツ......音がする。キャップが外れると、カーン! と音がする。その音がまた、キャーンと響いていいんだけど、周りの犬がワンワンワンと吠え出す。パーッと逃げて車乗ってて。そんなの端からいたずらして。で、もう終わりで帰りごろ、飽きちゃうわけじゃない? みんな、忘れちやって翌日、親父が会社行こうと思っ て、車、チャカチャカ音がするんだって。 なんか変だなあと思って、ガソリンスタ ンドに寄ってホイールキャップ、こんな外れちゃってる。で、俺、怒られちゃって、「俺は知らない。あれは田邊の昭 坊が…」ってことにして。
 
川添  あいつのせいにしたわけ。
 
ミッキー  あいつ、しばらく俺んち半年ぐらい来られなくて。そんなことばっかり、したよな、あのとき。
 
川添 油断も隙もあったもんじゃないんだから。 当時やってるっていう言い方すると、そこら中で流行ってるように聞こえるから。違う。誤解しないでください。 この人たちだけがやってる。今だと大変だよ。そんなこと。
 
ミッキー 大変だよ。今だから、言える。
 
つづく
 

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黄金の60年代・「キャンティ」とその時代 ① 川添象郎・ムッシュかまやつ・ミッキー・カーチス①

黄金の60年代、「キャンティ」とその時代
- 2007年 団塊パンチ4 -  
 
川添象郎
ムッシュかまやつ
ミッキー・カーチス

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六本木交差点から東京タワーに向かって車を走らせると、飯倉片町の一角に三階建てのレストランが目に飛び込んできます。 「CHIANTI」-「キャンティ」というイタリアンレストラン。
1960年の開店以来、「キャンティ」には、芸術家、芸能人、知識人たちが集まってきて 深夜遅くまで語り合う「溜まり場」でした。 人と人との交流の集積が新しい文化を生みだし,、世界に通じるカルチャーを誕生させてきました。  その「キャンティ」を軸にして或る時、三人の男たちが知り合い、青春を謳歌しました。 ミッキー・カーチス。 ムッシュかまやつ。 川添象郎。 彼らは、シナトラがまだアイドルだった時代からヒップホップの現在まで、 ポップ・ミュージックの最前線で、ミュージシャンおよびプロデューサーとして活躍。 日本の音楽界に多大な功績を残し、肩の力を抜きながらやりたいことをやり、時代をうまく泳いできた、本物の不良たちです。 その三人に、青春の1ページを振り返ってもらいました。 「『キャンティ』、青春の日々」を中心に語られる秘蔵エピソードの数々は、活字化されたことのないものばかりです。 ジャズのインプロヴィゼーションを思わせる言葉の応酬をお楽しみください(以下、敬称略) 。
 
【「『象の記憶』は 全部パソコンで書いてるんだ」(川添) 】
 
川添象郎(以下、川添)  まだ二人来てない? (編集長に向かって)スタンガン持ってきましたか。
 
編集長  え!?
 
川添   やつら、来たら、暴れまくるから、危険ですよ。いざというとき、黙らせないと。
 
編集長  ハイ……。
 
(ミッキー・カーチス、ムッシュかまやつ両名が定刻通り「キャンティ」に到着。 編集部から、川添氏の連載「象の記憶」の掲載されている『団塊パンチ』を 手渡される。熱心に読み出す二人)。
 
ムッシュかまやつ(以下、ムッシュ)  象ちゃん、よくちゃんと書いたな。
 
ミッキー·カーチス(以下、ミッキー)   これ、ちゃんと書いてるよ。
 
ムッシュ  すごいね。これ一冊にしち やったほうがおもしろい。よく憶えてる
 
川添  でも最近、一分前に言ったこと、もう忘れてる。
 
ムッシュ  アルツハイマー·グレイト!
 
川添 俺、自分でパソコンで書いたんだ。
 
ムッシュ すごい立派な原稿じゃないの。
 
川添 今日、田邊の昭坊(*2) (現、田 辺エージェンシー社長)に電話して、今回の連載に昭坊も出てくるから、(原稿 を)送っておかないと悪いと思ってさ。 「パソコンで送るから、メールアドレス教えて」って言ったら、「そんなこと、俺ができるわけねえだろう」って威張ってやんの。
 
ムッシュ 象ちゃんぐらいだよ。メールとかやるの。
 
川添  ミッキーも、うまいよ。
 
ミッキー  俺、ミクシィとかバンバン入っちゃってるから。
 
 --ミクシィ、やってるんですか。
 
ミッキー  やってるよ。
 
【 「カントリーバンドの ほうが金になった」(ミッキー)  】
 
川添 ミッキーは、和光学園に入ったろ。
 
ミッキー  そうだよ。俺、小、中、高。
 
川添 俺は幼稚舎、中等部、高校1年までは慶應にいたわけ。で、いきなりラ・サール行ったでしょ。で、いきなり、今度は和光に入れられたわけ。全部親の都合だからね、うちは。
 
ミッキー  俺もどうやって卒業したのかわかんない。よく卒業できたなあって。 しかも成城(大学)に入れたなあと思って。確かに勉強したんだよ、半年ぐらい。
 
川添  ほんとに?
 
ミッキー  ちゃんと入ったんだ。
 
川添 和光には、三枝成彰がいたんだよ。
 
ミッキー  三枝。俺、殴った。
 
川添 知ってるよ。三枝、今だって君の顔見たら、すぐ逃げちゃうじゃない。
 
ミッキー 今でも生意気だもん。
 
川添 ムッシュはどうしたの、学校は。
 
ムッシュ  学校はいちおう高校出たよ。 青学。
 
川添  みんな名門出てんじゃない。
 
ムッシュ  青学出たけど、三か月遅れぐらいで出た。バンドやってたしね。パン ドのほうが面白いし、金になるし。米軍のキャンプ回り。そっち行っちやったん だね。
 
川添 進駐軍のところへ行ってエンタ -テイメントやったりしたの、あなた?
 
ムッシュ  そうそう。
 
川添  ミッキーもやってるんだよね。
 
ミッキー   もちろんだよ、それがメインだよ。
 
ムッシュ  米軍が撤退して、キャンプが少なくなってきて、渡辺プロも、都内にジャズ喫茶を作ったの。でも日本人の前でやるの、すごくビビッたね。外人は平気だった。
 
川添   この二人も、僕も同じなんだけど、 1940年代ぐらいから、今日に至るまでのあらゆるポップミュージックをリアルタイムに経験してるよね。
 
ミッキー  終戦の年からね。 俺たちは、結局カントリーが多かったんだよ。一番、カントリーが金になったんだ。というのは、日本に来るアメリカの兵隊って、百姓ばっかりなんだよ。こっちくるのは、カントリー系ばっかりだから。ジ ャズバンドよりカントリーバンドのほう が儲かった。
 
川添  マッカーサーとアイゼンハワーの 違いみたいなものだな。
 
ミッキー  マッカーサー......まあ、そういうことだな。
 
ムッシュ  よくわかんねえけど。
 
ミッキー  なんとなくだよ、なんとなく。
 
ムッシュ それ、1956年ぐらい。でも感心してるんだ、俺。この「象の記憶」 みたいな回想、30代とか40代だった ら書けるけどさ、60過ぎて書くの、大 変だよね。
 
ミッキー  忘れちやってるんだよね。
 
ムッシュ   だよね。調べるんでしょう、相当。
 
川添  調べるわけないじゃない。記憶だよ。たまに会ったときに「あれ、どうだったっけ」って尋ねて、書いてるの。
 
ムッシュ  それはすごいって。
 
川添  それはだって、引っかかってるから訊くわけよ。だって、この記録、残るんだもん。飛鳥新社潰れたって、残るんだから。
 
ムッシュ  そうだよね。
 
ミッキー  俺、紅茶1杯飲ませてくれる? 悪いけど。
 
アールグレイの紅茶を頼んだミッキ-。ムッシュは、ミラネーズの横に、バ ジリコを乗せ、とうもろこしを追加したもの。象ちゃんは、フィレステーキにボイルドポテト、ニンジンとインゲン。 1960年、三人は「キャンティ」の開店初日から居たのだから、注文の仕方が様になっている。フォークとナイフの使い方も、洗練というのじゃないけれど、男っぽくて、見ていて、気持ちがい い。「キャンティ」そのものが体に馴染 んでいるのだ。かっこいい!
 
【 70になるなんて 想像した?(ミッキー)  】
 
ミッキー 俺、ハーモニカ、一本持って 今でも小一時間(ライヴを)やってるよ。
 
ムッシュ  小一時間。そのタフな行動力がすばらしいんだよね。
 
ミッキー  うん、俺63からハーモニカ始めたの。飽きないね。これ、死ぬまで やるよ。たぶん、死ぬときに、最期の息がハーモニカなんだ。フ~ンって。
 
ムッシュ  そのサウンドがすごいよかっ たりして。
 
ミッキー  そう。Bフラットだったり。 よくわかんないけど。
 
ムッシュ ワニがBフラットの音に反応するって話、聞いたことある?
 
川添  ほんと?
 
ムッシュ  うん.動物園の前で、Bフラ ットの音を出したら、ワニが暴れたから、 ニューヨークのオーケストラを呼んできて、Bフラットの音、全員でブワーッて やったら、大変暴れたんだって。
 
川添・ミッキー  ほんとかよ(笑)
 
ムッシュ  ほんとなんだって。
 
ミッキー  今、思いついたんだろおまえ。
 
ムッシュ  いやいや。本で読んだんだよ。
 
ミッキー  Bフラット、ワニが。試してみよう。いや、わかんないよ。動物によって違うかも。
 
川添  ミッキーがビデオ回せっていうか ら、ビデオ、持ってきたよ。
 
ミッキー  ああ、生きてるうちにね。回 しといたほうがいいんじゃないかなって。俺たち三人が集まったいい機会だし。 わかんねえじゃん、明日は。
 
ムッシュ  俺まだ67だよ。70まで3年あるよ。
 
ミッキー  でもさあ、まさか自分が70になるなんて思った?
 
ムッシュ  あまり自覚して生きてなかったような気がするよね。スルッと来ちゃった感じするよね。
 
川添  だから、みんな要するに好きなことばっかりやってきた連中じゃない。
 
ミッキー  ムッシュなんて特にな。
 
ムッシュ  あなたたちこそ。
 
ミッキー  おまえが一番好き勝手だよな。
 
ムッシュ  そんなことない。
 
ミッキー  俺はね、たぶんおまえ(象ち ゃん)が一番勝手だと思う。
 
川添  いやいや、俺はミッキーを相当勝手だと思うよ。

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ロカビリー歌手時代のミッキー・カーチス

【「最近の若いやつは イヤホンつけて 席を譲ろうともしない」 (川添) 】
 
ミッキー  でもさ、電車乗ってると、俺 なんかもう席譲ってもらったほうが嬉しいけどね(笑)。
 
川添  いや、譲らないよ。最近の若いのは。
 
ミッキー  いや、譲るのもいるよ。でも、たいがい譲らないね。
 
川添  たいがい譲らない。だいたいね、 あいつらシルバーシートの優先席っていうのに座って、イヤホン付けて、目つぶって音楽聴いてるの。お年寄りに席譲 ろうとしない。
 
ムッシュ  死んだ振りするんだよ。
 
川添 それ見ると、俺、腹立つから、蹴飛ばすわけ。いきなりドーン! びっくりしちゃう。文句言うの。
 
ミッキー  言いそうだな。
 
ムッシュ 象ちゃんは、言いそう。
 
ミッキー 有名だもん。
 
川添  捨てゼリフ吐くやつなんかいるわ け、たまに。
 
ミッキー  そうすると、ステッキ出して引っ掛けたりするんだ(笑)。
 
川添 「何がなんでも、言い方があるだ ろう」と言うんだよ。
 
ムッシュ  こういう性格は、象ちゃんのDNAなんだよ。
 
ミッキー  こういうところ、(後藤)象 二郎からきてるんだよ。きっと。
 
川添 「無礼者!!」って感じになって追っかけてって。
 
ムッシュ  どうでもいいじゃない、そんなこと。だけど、それやっちゃうっていうのがDNAなんだよね。
 
川添  (しみじみと)やっちゃうんだよね。でも、この中で人間が一番人間が丸いのは、ムッシュさんじゃないですかね。
 
ミッキー  ね。こいつ、振りがうまいから気をつけたほうがいい。
 
ムッシュ  ピンコロ屋の息子だから、生まれたときから、世の中、こうやっていながら(頭を低くする)生きてきてるから、ある種、せこいのかもね。堂々と生まれてこなかったからね、きっとね。 ミュージシャンとかそういう業種っていうのは。
 
川添  ごめん!俺、ボキャブラリーわからないんだ。ピンコロ屋の倅って何?
 
ムッシュ  ピンコロ屋っていうのは、つまりバンド屋。
 
川添 そういうことね。
 
ミッキー  だって、昔だったら、バンド屋って道、真ん中は歩けない。
 
川添  ......で、今の話の続きだよ。まず、そもそも、俺はミッキーとどこで会ったか全然記憶がないわけよ。
 
ミッキー  俺は覚えてるよ。
 
川添 覚えてるのは、ムッシュの家に俺が、一晩、二晩泊まり込んでるときに、ムッシュはもうスターで、追っかけの 女の子がいっぱい。だって、朝っぱらか ら、追っかけの女の子が取り巻いてさ。
 
ミッキー  覚えてないんだよ、こいつ、全然。もっと前だよ。
 
川添 ああ、そうだったっけ?
 
ミッキー  なあ。だって、俺がこっちへ来たのは、ジャズ学校だよ。
 
川添 それは知ってるの。君たち二人のことはいいの。俺が知りたいのは、どこで会ったかということ。
 
ミッキー  青山ボウリング·センター
 
川添 ああそう。わかった。じゃあ、それでいいや。
 
ミッキー  たぶん。そう思わない?
 
ムッシュ  ちょっとね。そこんところ、 考えさせてくれる。
 
ミッキー  青山のボウリング·センターだよ。
 
ムッシュ  俺、その初めて会った瞬間っていうのが、きちっとは憶えてないんだけど、「キャンティ」のこのへんであることは確か。まだここ(飯倉本店)ができる前だった。象ちゃんが、「今年の暮れに店ができる」とかそういうようなメッセージをくれたんだよね。
 
川添 その前は、どうだったの僕、君と。
 
ムッシュ  このへんで会ったの。
 
川添  このへんって言ったって、この店ないんだぜ。
 
ムッシュ  つまりほら、いろいろあった じゃない。
 
川添 「シシリア」とか。
 
ムッシュ  ああいう店で会ってんだよね、きっと。
 
川添 会ったって、だって、接点がないのに、なんで友だちに。
 
ムッシュ いや、顔見知りみたいな感じで。
 
ミッキー (福澤)幸雄じゃないの。
 
川添 あっ、幸雄の可能性あるな!
 
ムッシュ  幸雄? それはあり得るな。 幸雄はね。車を媒介としたグループだった。
 
--- ミッキーさんとムッシュさんが知り合ったのは、どういう縁ですか。
 
川添  これはもう簡単。どうぞ、話してください。話せよ。
 
ムッシュ  ジャズ学校。
 
ミッキー  正確に言いましょう。 1956、7年です。ロカビリーブームは、58年です。その前です。
 
川添  ミッキーはロカビリー三人男の一角を占めてたわけじゃない? 最初のアイドルだな、言ってみれば。今のアイドルみたいだったの。
 
【 「CIAとかKGBを集めて、ポーカーやってた」(ミッキー)  】
 
一 10年くらい前、テレビでミッキーさんが「昔の六本木と今の六本木は違ってた。昔のほうが活気があった」と、おっしゃってました。
 
ミッキー  ああ。
 
川添 全然違うよね。
ミッキー 今、六本木ってすごい混んで るけど、怖くないよね。昔は人いなかっ たけど、怖かったよね。危険。
 
川添 だって、撃たれちゃうんだから。
 
ミッキー  撃たれた。俺、撃たれたもの。
 
--- ミッキーさんがですか?
 
ミッキー  撃たれた、撃たれた。『東京 アンダーワールド』っていう本 読みました?
--- はい、読みました。
 
ミッキー  あのときいたんだよ、俺は。 あそこに。あの界隈で撃たれたのよ。当たんねえんだ。俺、「下手くそ!」って 怒鳴ったんだけど。
 
---- 撃ったのは誰ですか?
 
ミッキー  あのころちょっと、組同士がごちゃごちゃしてたじゃない。あの狭間だったから、何がちょっとどうだったのかわかんないけど。朝鮮戦争からベトナム戦争に流れ込んでいく、ちょうど合間の中途半端な時期。
 
川添  君を狙ったわけじゃないでしょ。 君と一緒にいるやつを狙ってたんでしょう。
 
ミッキー  そうらしい。
 
川添  このへんなんか、大使館がいっぱいあって、スパイみたいなやつばっかりだった。
 
ミッキー  みんなスパイ! もう石投げたらスパイに当たるっていうぐらい。
 
--- それはソ連とか東欧……。
 
ミッキー  そうそう。
 
川添 全部いるよね。
 
ミッキー  全部いる。六本木の交差点、石投げりゃ、スパイに当たるっていうぐらい(笑)。そいつら集めて、ポーカーやってなかった? 俺たち。
 
川添 やってたよ。
 
ミッキー  なあCIAとかKGBとか集めてな。ポーカーやってた。
 
川添 俺なんか、カモだと思ってやってんだよ。俺がいっつも持ってっちゃうもんだから。おもしろかったよ。ねえムッ シュ、彼らがやってるポーカーなんか見てたら、カードさばきから何から、僕から見れば子どもみたいなもんなわけ。あんた、知ってるでしょ、僕の実力。ラス ベガスに行って、その前に引田天功と、カードやってるくらいだからさ。
 
ムッシュ  敵なしじゃんね。
 
川添 六時間とか八時間とかっていう勝 負決めてやるじゃない?八時間のなかで勝負、結果が勝てばいいんだろ。というのは、みんな、一手ずつで一喜一憂するわけよ。だから、だめなわけ。 時間で最終的に勝つ方法っていう考え方で、僕は賭けてるから。最初は小さく賭けて、さっさと動いて、見てて、癖覚えちゃって。そしたら、絶対勝つよ。
 
ムッシュ 象ちゃんはそうだよね。長いタイムで考えて、配分して、集中するところと、投げ出すところみたいな。だか ら、アルファ ミュージック、創 った。
 
川添 戦略的に動くわけ、俺は。
 
ムッシュ  そう。だから、アルファは、 ほんとは村井邦彦がやってるのかと思ったもの。そうしたら、あれは象ちゃんが、やっていた。どっちかって言うと、村井がポイント、ポイントで攻撃するタイプなのね、きっとね。
 
川添 「じゃあ、僕が金持って来るわ」 という話になって。
 
ミッキー  コロムビア(レコード)騙 して。
 
川添  それで、できちゃった。マッシュ ルーム・レーベル。日本で最初のインディーズだよ。
 
ミッキー  あの会社のマークになったキノコの絵は、別れたかみさん、MIKA が口紅で描いたのを使ってる。俺の乃木坂のマンションかなんかで。
 
川添 それで,タレントがいないわけ、そのとき。ミッキーとかいるけど、ミッ キーはもうプロデューサーだったし。
 
【 「アルファレコードは遊びから始まったから 成功した」(ムッシュ)  】
 
ムッシュ  アルファって、結局。一発目 は誰。小坂忠 ? 違う?
 
川添  一番最初は小坂忠。
 
ミッキー小坂忠。成田賢。
 
川添 それで、GAROになっ て、GAROでバーンと売り上げ上げち やった。当時、ミュージカル「HAIR /ヘアー」が終わった局面で、GAROのメンバーが「HAIR」に出てて、僕がオーディションで選んだ、歌の歌えるやつを、ほとんどそこから引っ張 り出してきた。最初のタレントはね。で、小坂忠が、そのとき初めて細野晴臣をうちに連れて来たんだよ。「俺のギターで, なんかちょっとやってよ」って言ったら、いきなり一曲やったんだよ。そのビートには吹っ飛んだね。えらいセンスのいいやつだなあと思って、細野君は、それからの付き合いなんだよ。
ムッシュ  ああ、そう。
 
川添  ユーミンなんかも、そのころ「HAIR」 の楽屋へ、うろちょろ出入りしてたよ。
 
ミッキー  まだ14歳くらい。
 
ムッシュ  早熟だったんだね彼女もね。
 
川添  早熟だよ。だって、いきなり俺のところ来て、「私、いい曲書くんですよ」 って聴いたら、すごくいいんだよ。で、 加橋かつみのアルバムの中に、すぐ採用しちゃった。
 
ムッシュ  ああ、そうだよね。
 
ミッキー  彼女のライブのデビューはね、俺らの前座だった。ツバキハウス。
 
ムッシュ  ツバキハウス。新宿の?
 
ミッキー  そう。
 
ムッシュ  懐かしいなあ。アルファ・ミ ユージックって、遊びの発想から始まったから、成功したんだね。だから、金のことやなんかから入っていったら、絶対 うまく行かなかったんだよね。あれ、や っぱりフルに自分のアイデアが出たでしょう。
 
川添 そうそう。
 
ミッキー 好き勝手にしたからね。
 
ムッシュ  金儲けしようと思って始めたもんじゃないからね。
 
川添 僕らの発想は、日本の音楽、なんでこんなダサイの? いくらでもカッコ いいレコード作れるんじゃないの? というものだったの。
 
【 「この年になると 過去が 追いついてくる」(ミッキー)  】
 
--- 「リブヤング」というテレビ番組、 高校1年のときたまたま見てたんですよ。愛川欽也が司会やってて。そのときリーゼント大会があって、キャロルがパ ックバンドとして出演していたのを、ミ ッキー.カーチスさんがすぐにスカウト したという伝説の放送日をリアルタイムで見てるんです。
 
川添 こいつ、早いから。
 
ミッキー  その場ですぐ電話した。
 
--- あのとき、リーゼントチャンピオン が永ちゃん(矢沢永吉)だったんですよね。愛川欽也が引っ張ってきて。
 
ミッキー  そう。そのときの審査員が(内田)裕也だったんだ。で、裕也が番組終 わったら、キャロルをゲットしようと思 ったらしくて。ところが、俺が番組の最中にもう押さえちゃったから。そこで、なんかすげぇ悔しかったらしいよ。
 
--- 今、ネットで、キャロルを見たことも聞いたこともなかった若者が、ハマってて、すごいブームになってるんですよ。
 
川添 うん、ミッキーさんが一番詳しいよ。初期のキャロルは。
 
ミッキー  もうこの年になると、過去が追いついてくるんだ。過去が。
 
川添  それは言えてるな。俺もそうだも の、今。「象の記憶」書いてみたり。
 
ミッキー  過去が追いついてきてる。
 
ムッシュ  うまいこと言うな。
 
ミッキー  追いついてくるんだ。心配するなって。
 
川添 過去は追いついてくるな。
 
「ちょっと、コケイン吸いに行ってきま す」
 
物騒なセリフを残してムッシュがタバコを吸いに退席。
 
「俺も」
 
つい最近まで禁煙していたミッキーも、葉巻をとりだしてスパスパ。イタリアンマフィアみたいだ。
 
ひとり、タバコをやめた象ちゃんが「みんなやめたんじゃないのかよ。おまえら、そんなのやめたほうがいいよ」と吠えている。
話題は、三人が出会った、当時の東京 へと…… 。
 
つづく
 
 

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