歌はやめない吉田拓郎 横浜でラストツアー:芸能・社会:中日スポーツ(CHUNICHI Web)
歌はやめない吉田拓郎 横浜でラストツアー:芸能・社会:中日スポーツ(CHUNICHI Web)
シンガー・ソングライター吉田拓郎(73)が「これが最後」と公言してスタートした3年ぶりのツアーが3日、横浜市のパシフィコ横浜国立大ホールで最終日を迎えた。10年ぶりの名古屋など7都市7公演で2万2000人を動員したライブで、ツアー活動は打ち止め。それでも拓郎は、「音楽は素晴らしいもの。やめません」と宣言。最後は「サンキュー」の言葉を残してステージから去った。
自ら作詞作曲を手掛けた曲だけを集めた。「春待つ手紙」「元気です」などのヒット曲は入っていない。が、これまでを振り返り、希望を見いだすような曲が多かった。
「スペシャルな一夜」(拓郎)は、ラストを飾る独特の雰囲気。会場には若い世代の顔も見えたが、拓郎の歌で勇気づけられた同世代の男女が熱い視線を送った。
アコースティックギターで「大いなる」「今日までそして明日から」とつないだ1曲目。いきなり大歓声が響いた。途中、フィギュアスケートの紀平梨花選手ら若い世代の活躍を見守っていることや、10代のころは体が弱く朝までコンサートをやるなんて考えられなかったことなどを面白おかしくトーク。ラジオのノリで客席を沸かせた。
「タクロー、カッコいい」の声には、「ボクは広島から出てきた時からカッコいいんです」と応じた。「いつかライブでやってみたかった」という「恋の歌」を歌った後は、「いい歌だな。こんな曲作ってたんだね、才能があったんだね」とジョーク交じりに自画自賛。「自分が今、デビュー当時に帰ったような満足感がある」と充実した心境を明かした。
最近、小田和正から誘いがあって、甘い物を食べながら語り合った際、今後のコンサートをどう考えるか話し合ったが、「結論は出なかった」。スタッフによると、今回の拓郎は体調面も含めて絶好調だったが、「楽しいけどもうおしまいにしなきゃいかんな」「ボクの中では気持ちの整理はできてる」とあっけらかんと語りかけた。
「ありがとう」の声が飛ぶと、拓郎は「こちらこそありがとう」。ライブには湿っぽさのかけらもない。アンコールを呼び掛ける声援は、怒号のような「タクロー」コールが飛び交った。
「人生を語らず」では、総立ちの観客みんなが曲に合わせてコブシを突き上げ、ともに歌うファンも。予定を20分オーバーする2時間20分。最後に拓郎は、自ら拍手しながら上手、下手、中央とそれぞれ30秒以上深々と頭を下げて、演奏が流れる中、ステージを後にした。
1972年に日本人ミュージシャンとして初めて全国ツアーを行い、次々と新しいことにチャレンジしてきたJ-POPの砕氷船のような存在の拓郎が、一つのピリオドを打った。 (本庄雅之)
◆WOWOWで特集
WOWOWプライムで3週連続で拓郎特集が放送される。8月24日午後1時、31日午後9時30分から今回のツアーのリハーサルやライブ会場の裏側、バンドメンバーとの座談会などが紹介される(無料放送)。
同31日午後8時からは、2014年のツアー最終日の東京国際フォーラムのライブをアンコール放送。9月7日午後8時から、今ツアーの6月19日公演(名古屋国際会議場センチュリーホール)の模様が放送される。
◆今回のツアーの日程
5月23日 千葉・市川市文化会館
同28日 栃木・宇都宮市民文化会館
6月4日 東京国際フォーラム
同12日 静岡・アクトシティ浜松
同19日 名古屋国際会議場センチュリーホール
同26日 埼玉・大宮ソニックシティ
7月3日 パシフィコ横浜国立大ホール
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