SUNTORY BEER SOUND MARKET '83
SUNTORY BEER SOUND MARKET '83
1983年6月8日 大阪 大阪球場
1 イメージの詩
イエィ!イエィ!イエィ!
2 友と呼べれば
大阪のニイちゃんネエちゃん元気かよお!ニイちゃんネエちゃん元気かい。
タコ焼き食べたかよ元気かい。武田鉄矢をもう1回呼ぼう。
3 唇をかみしめて 唄/武田鉄矢
4 落陽
5 外は白い雪の夜
6 お前が欲しいだけ
7 王様達のハイキング
8 アジアの片隅で
6月10日東京公演は、開演後に突然の豪雨と雹の為、拓郎の出演前に中止された。
このコンサートの告知TVCMが「あいつの部屋には男がいる」のプロモビデオの一部を使用して制作され放映された。(関東・関西地区共)
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【真夏の夜の悪夢】 武田鉄矢がステージでマイクの調子を見ている。アルフィーの三人はリハーサルを終えてステージ下で時間を持てあましている。 十五年前の夏、大阪球場。最後に僕が簡単な音合わせを終えると、鉄矢が「ホテルへ戻って皆で中華でも食べますか」と、よいアイデアを出してくれた。まだ午前十時。 本番は午後六時からだ。 「たっぷり時間があるな。よし、皆、ホテルの中華店へ集合しよう」 このとき誰一人、その夜の悪夢を予想してはいなかった。 多くのアーティストが1か所に集まるのも久しぶりだ。つい話ははずみ、「1杯だけ」 のビールも数杯を超える。せっかくの豪華料理である「一杯だけ」の紹興酒に誰も反対はしない。1時間も店にいただろうか、午後1時、「さあ、皆、各自部屋に戻って本番までゆっくりしよう」と解散した。 これで万事OKのはずだった。僕の当時のバンドは、この「ギョーカイ」で悪名高き飲んべえバンドだった。「人生は酒と女と音楽だ」が合言葉で、音楽は三番目に位置していた。 部屋で横になっていると、ベースのTが電話してきた。 「タクちゃん、まだ時間はありますネ。特にあなたは出番も最後だから、他の人より一時間以上ゆっくり会場へ行けばいいでしょう。その部屋で軽くやりませんか」 こういう時、僕はまったく理性のなくなる男だったので、「よしきた。アルフィーや鉄矢も呼ぼう。お酒はウイスキーとバーボンがあればいいよね」と自ら率先してしまう始末なのだ。 僕のスウィートルームはいきなり七~八人のパーティー会場になる。武田鉄矢は司会もあるからと一人早めに切り上げたのだが彼のマネージャーKは、いよいよメートルを上げていく。 アルフィーの高見沢は、それはえげつない、いわばヘビメタのステージ衣装のままで軟弱に酔っているし、坂崎、桜井両君は、音楽とは何の関係もない下手なギャグを連発して、ただのコメディアンになってしまった。 僕のバンドは全員どこかの屋台で飲んでいる気分で、酒のつまみ不足にグチをこぼすのだ。
が、ここはホテルのスウィートルームである。何回も何回も水割り用のミニボトルや氷を運んでいるうちに、ボーイ氏も「こいつらナンヤネン」的になってきている。 僕はといえば、そういう体質であるから(正確にはあったから)、他の誰よりもにぎやかに明るくほとんど我を忘れ、夜のステージを忘れて飲んでいる。 主催者サイドから「予定どおりやります。アルフィーは五時に、拓郎さんは七時前には会場楽屋にスタンバイしてください」との連絡が入り、「タクローさん、僕達かなり酔っちまったみたいだから、この辺で切り上げて早めに会場へ行きます。向こうで酔いを覚まさなくちゃあ」とアルフィーの三人が三時ごろ立つのを合図に、「なあ、君達もやっぱり少し部屋で休んだ方がいいよ」とバンド他をうながして遅ればせながら僕も酔いを覚まそうとぬるま湯につかってみるがさっぱり効果がない (酔い覚ましにフロという説を、僕は以来信じない)。何だか余計にまわってくるみたいなのだ。 時計は午後四時。いけない。完全に酔っている。すこぶる機嫌がよい。必要以上に明るい気分なのだ。こうなったら僕も早めに会場へ行って皆とワイワイ言ってれば何とかなるだろうと、大阪球場へ向かう。 アルフィーが元気いっぱい (に見える)のステージを終えて楽屋に入ってくる。 「いやー、まいりましたよ。途中でポワーッとしてきて、歌詞が浮かんでこなくなったり、お互いの目が酔ってるんですから。タクローさん、頑張ってくださいよ」 僕は今まさに吐きそうな、そうでないような、言葉を発したくないのだ。そのままトイレへ飛び込み、ややホッとした状態で扉を開けると、「はじめまして。ヤガミジュンコです」と、これまた元気のいい娘さんが笑顔であいさつ。 「あ、どうも。ウッ......」 さあ、いよいよ本日の最後の出演者、吉田拓郎サンの出番である。あたりはすっかり暗くなって、七時三十分、会場も異常な興奮状態だ。 僕はスタッフに、「何でもいい、ウーロン茶でも麦茶でも水でもその辺にある冷たいものを俺の頭からぶつかけてくれ。とにかくこの酔いを覚ますんだ」 これからステージで歌う人とは思えない光景だったろう。司会の武田鉄矢があおる。 「ヨッシダァータックロオーでぇーす」 僕は本番に強い男である。昔からここ一発の勝負に勝ってきた男なのである。いつ だって「ここぞの時に力を発揮すればよい」が生き方だったのだ。 ジャンジャンジャジャーン、1曲目のイントロをさっきまで一緒に飲んでいたパン ドが鳴らし始めた。
「あいつらやるな、かえって今夜はテンションが高いみたいだなー。ようし負けてられないぞ」 僕は例によつて両手を広げ、満面の笑みを浮かべてステージへ駆け上がった。 「オーイ、大阪のニイチャン、ネエチャン、タコヤキ食ってっかーァ」 僕は本番に弱いのだ。 僕は酒に飲まれるのだ。 僕は友人がこわいのだ。 僕はこの日の事が忘れられない。しかし、この日ステージで何をしゃべり、何を歌ったのか覚えていないのである 十五年前の真夏の夜の夢であった。
(自分の事は棚に上げて)
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広島フォーク村そらまめさんの詳細なレポート(修道大除幕式では炎天下、会場案内、整理お疲れ様でした。お世話になりました。)
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