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2015/03/25

マンタの天ぷら 松任谷正隆 ダイエットはマゾの悦び

マンタの天ぷら 松任谷正隆  ダイエットはマゾの悦び

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夏は、僕らなまけものにとってはつらいシーズンだ。ズボンのウエストから盛り上がったお腹の肉がユサユサするのがみんなバレちゃう。フゥーッって息を吸って、思いっきりお腹をひっこめて、それでもって馴れない背中をピンと張って、これならまあまあじゃないかなんて鏡に映る我が身にいっときは感心したとしても、五分後には、ただのなまけものに戻っている。いったいどうしたらいいんだよう! と思わず絶叫したくなる。 ここまで気分が盛り上がってくると、僕はすかさずダイエットにのぞむことにしている。年に1回か2回くらいかなあ。そして、このローテーションがもうかれこれ15年以上は続いている。そう、けっこうダイエットが趣味なんである。こんな自虐的な行為が好きだってことは、僕には案外マゾの気があるってことかもしれない。
20年以上前の話だが、僕は吉田拓郎のツアーに参加していた。このツアーの一行というのが、それはひどいもんで、もはやショーよりもアフターショーのほうが大事というメンバーばかりで成り立っていた。まあ、僕も例外ではなかったということにしておこう。そして一行はショーが終わるや否や、ホテルのチェックインもそこそこにネオン街に繰り出す。その街々で行きつけのクラブに駆けつけると、飲めや歌えの大騒ぎ。みんなショーの100倍は元気になるのである。それが深夜4時近くまで続き、翌日の電車の中ではみんな二日酔いでゲッソリ。それでも仕方なくショーにのぞみ、その日のショーでかいた汗で二日酔いがとれると、その足で再び夜の街へと繰り出すという毎日だった。 ところで、僕はお酒はほとんどいけないクチなので、ジンジャエールでお茶を濁す。 この毎日のジンジャエールがいけなかったんじゃないかって思うんだけど、とうとうそのツアーのメンバーたちからカメハメハ大王なんて呼ばれるに至ってしまった。今、思い出してもおそろしいくらい太っていたと思う。 ダイエットをやろう!って決意したのは、そんなツアーの最中、ある朝、ホテルの一室で目覚めた僕がトイレで用を足そうと思った時、自分のお腹で自分のモノがまったく見えないことに気づいたからだ。この時のショックは筆舌ではとても表わすことができない。
意を決した僕が最初にトライしたのは食事療法。いわゆる油っこいものを食べないとか、甘いものをとらないとか思い出してみると、あれはけっこうつらかったなあ。テ レビの料理番組や雑誌の料理のページがあれほどおいしそうに見えたことはなかった。 1カ月で2キロ。これが限界だった。 しかし、いつやめたんだろうって気がつかないのがダイエットの不思議2カ月もす ると、いつの間にか食生活は普通に戻って体重も再び増えはじめている。食事療法も、何回かやるうちにあまり効果がないんじゃないかって思いはじめていた。というより、 精神的ストレスのほうが問題あり、という結論になっていったんだと思う。いかん、これは短期決戦にしなければ。 というわけで友人が見つけてきたダイエットスープをトライすることにしたのだった。 これがなかなかのスグレモノで、ドイツ軍がその昔、肥満で動きの鈍い兵士を矯正するために使っていた、なんていう説明書きもさることながら、4日間だけがんばればいい、というところが僕にとっては涙ものだったのである。 さて、そのスープ10袋入りで五千円という非常に高価なものであるが、カレー味、 コンソメ味など3種類ほどあって、効果はどれでも同じである。要はお腹が空いたらこのスープだけを飲め、というものだ。袋の中身はいわゆる粉末で、匂いはカップスープのようなもの。これをお湯で溶いて飲むというところもカップスープである。が、良薬口に苦しというか、味はカップスープに確かに似ているんだけれど、似て非なるものなのである。口に含むだけでオエッってなる。しかし、ここで負けてなるものか、2万円分も買い込んでしまったんだから。ってんで鼻をつまんで目を白黒させながら何とか飲み込む。これもつらい毎日だったなあ。この4日間の地獄が、それから先の摂生の原動力にもなった。だから結果的にこの療法が僕には一番効いた。1カ月で5キロくらい落とすことができたんだから。 しかし、人間ってどうしてこんなに弱くできているんだろう。これだけ強い味方がいたらいたで、いざとなればこれをやればいいんだから、なんていう妙な甘えが出たりして、ダイエットスープ→食べまくり→ダイエットスープ→食べまくり、を繰り返すようになってしまった。そして、その強い味方も、あまりのまずさについにガマンができな くなってしまったのである。 さて、次に考案したものは、もっと楽しみながらやせようと始めた野菜スープなるものだ。 10種類以上の野菜と3種類以上のキノコ、それにベーコンに鳥のササミ。これにバター少々を加えた程度で煮込むわけだ。これは家内にも好評で、しばらく我が家の定番になっていた。しかし、いつの間にか鳥のササミが牛のブロックに変わり、バターの量も当初の3倍以上に増えさらにオリーブオイルで仕上げるようになると、もはや味こそ素晴らしいものになっていったが、まったく本来の目的にはそぐわないものになってしまった。 ダイエットってどうしてこんなに難しいものなんだろう。それも懲りもせず続けている僕はいったい何なんだろうと考えていくうちに、ダイエットはその行為自体に習慣性があるんじゃないかっていう気がしてきた。結果はともあれ、少なくともその期間中は、自分自身に挑戦していたっていうような、妙な気持ちよさがある。そして、少しでもお腹が引っ込むとか、体重が減るとか、何かしら結果が出たりすると、自分自身をコ ントロールしたんだっていう充実感も加わる。この自分自身の体をコントロールできた 喜びは、車をコントロールできた時の喜びの比じゃあない。世の中に恐いものがなくなるほどである。いや、本当。 そんなわけで、僕の新しいトライは運動である!? それも僕の一番嫌いだった走ること。これははっきりいって某誌の影響である。久しぶりにジョギングシューズを履いて、スウェットを着るのには勇気がいったが、もう僕にはこれしか残された方法がないって考えた。これもダイエットの時にはいつも思うことなんだけど……。 久しぶりに走った後に、もちろん足は痛くて動かなくなったし、そのうえに胃炎にまでなってしまった。友人の医者によると、何と走ること自体がストレスにもなるらしい。 ウーウーいいながら薬を飲んで、しかし翌々日にはまた走った。走ったといっても歩く ようなペースなんだけどね。そうこうしているうちに、胃のほうにもストレスが行かなくなったらしくて、今ではまったく問題がなくなった。足も20分程度のジョギングではちょっとだるいかな程度になった。さあ、これでこの夏はなまけものまる出しにはならないですみそうだ。 

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