よしだたくろうの母 吉田朝子さん・その② ・週刊平凡毒蝮三太夫シリーズおふくろ第34回
■「第3、第4の恋人もいました」
<ぼくがお母さんに会いに広島をたずねたのが、偶然、8月6日。原爆記念日だった。平和公園へ行ってみたら、もう、記念式典は終わったところ。いあわせた市民の1人にきいたら、実際は"式典"などがあるこの日より、前日の夕方にお参りする広島市民が多いそうだ。
慰霊碑の前で手を合わせ、敬虔な気持ちで、お母さんに会いにいった>
広島市西霞町は駅から車で15分ほど。ひと昔まえまでは、たんぼの真ん中だったそうだが、いまはりっぱな住宅街。2階家の玄関には《吉田宗朝》という看板。お母さんは、いま、この家で、お茶とお花を教えている。
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おふくろ きのう、拓郎へ電話して「あした毒蝮さんが来られるんだよ」といったら、「おっかないぞ、やられんなよ」って。
毒蝮 いやあ、名前だけはひどい名なんですけどね、これは世をしのぶ仮の姿、レツテルです。気はいたってやさしいんですから・・・・。(笑)
おふくろ やっぱりね。拓郎の長い髪のようなもんですね。 (笑)
毒蝮 いま改築中なんですか?
おふくろ さいきん、マスコミやファンのかたがたくさんみえますのでね。拓郎の家が、あんなボロ家だった、といわれるのもあんまりかわいそうですし、少しはきれいにしておきませんとね・・・・。それで応接間を改造しております。
毒蝮 ははあ、こちらをたずねるファンも多いですか。
おふくろ ゆうべも10時ころ、私もう寝てましたら、玄関でゴソゴソ音がするんです。京都からみえた2人のかたでね、「家を見たからもう安心しました」 といって帰っていきました。 壱岐、対島からみえたかたもありましたしね・・・・。
毒蝮 ところで、たくろう君のお嫁さん、いい子じゃありませんか。
おふくろ はい、もう、結婚式のときでもね、メーキャップもなんにもしませんでね、とても清楚なお嬢さんです。
毒蝮 (お母さんが出してくれた古い写真を見ていた彼、高校時代のたくろうの写真の1枚に目をとめる)うん? 《My second lover (第2の恋人)》? すると、第1の恋人もいたんですか?
おふくろ 第3も第4もいたようですよ。(笑)
毒蝮 昔からモテたんですね。
おふくろ モテて、モテて・・・・。
◇
毒蝮 うらやましいね。ぼくみたいに、口ばかりじゃないからね。ああやってうたう人はカッコいいからな。くやしいねえ。
おふくろ でも、なんでも話してくれました。「きょうは、ジュンコと暗室へいっしょにはいった」なんて・・・・。(笑)
毒蝮 それじゃ、結婚しても、モテて、心配じゃないですか?
おふくろ いえ、そういう方面はとてもカタい子です。お茶を長年やってまして免状も持っており、高校生に教えたこともあるものですから、決めるところはきちっと決める男なんです。
毒蝮 モテながらカタい、見習いたいねえ。(笑)
おふくろ 学校時代も、女の子をよく2階の自分の部屋へ上げるんですけどね、帰るときになると、「おまえ、よその家へ上がったら、はきものは、向こうへ向けて上がるもんだよ」とか、ズケズケいうんです。「紅のつけ方が悪い」とかね、うるさい男でした。
<もの静かに話すおふくろさんだ。だがスキがない。うっかり無造作に斬り込みでもしたら、音もなく止めの一撃をくらいそうだ。教養、いままでなめてきた人生の苦労、お茶の求道から得た心、宗教(クリスチャン)・・・・そんなものがひとつになって、そこにすわっている・・・・>
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