ジュリー×たくろう対談・ぼくたちすっかり酔っちまってね・・・・・・(明星72.11)
たくろうはジュリーに会いたがっていたのです。 「とにかくオレは一流の人間が好きなんだ。ジュ リーってのはさ、ホントに数少ない一流の人間 と思うんだ。今、いちばん興味ある人間なんだな」 ジュリーもそう思っていたのです。 「このごろ、彼の影響を、ものすごう受けてんのや。いちどじっくり話してみたい人やなあ」 というワケで、異色の顔合わせ成立。銀座の料亭での、ダイ酒飲み対談というコトになったのです。
ひと足おくれてきたたくろう、挨拶もそこそこに、まず立てつづけに水割りを3杯、ぐいぐいっとあおった。
沢田 (あきれたように)強いですねえ。
たくろう あなたもかなりいけるほうでしょ う?
沢田 あんまり強くないですよ。
たくろう でも、いつかムッシュー(かまやつひろしさん)が、沢田君はそうとうに飲めるって言ってたけど。
沢田 ムッシューが弱すぎるんや。(笑)でも、 顔に似合わず飲むなんて、ときどき言われる こともありますけどね。
たくろう 飲みはじめたら、とことんまで飲むほう?
沢田 いやあ、わりといつもおさえて飲んでますね。
たくろう それはいけないなあ。飲むときは 徹底的にやらなくちゃ。
沢田 きょうはやりますよ。(笑)
■誤解の中で生きているんだ
たくろう ぼくはタイガースのステージ見てますよ。広島のアイススケート場で公演がありましたよね、あの時……。
沢田 そうすると、タイガースの初期のころかな。
たくろう 女の子ばっかりではずかしかったな。それに連中がギャーギャー騒ぐんで、音がまるっきり聞こえないんだ。
沢田 その頃はなにしてたんです?
たくろう "ダウンタウンズ" っていうR&Bのグループ作って、岩国の基地なんかをまわってたな。
沢田 じゃ、GSなんかにはかなり抵抗があったでしょう?
たくろう 抵抗ってわけじゃないけど、たとえば『テルミー』なんか、かなり早くからぼくらうたってたわけよ。GSの連中がそれをやたら絶叫したりして歌ってると、ちょっとニュアンスがちがうんじゃないかとは思ってたね。 それに失神だとかなんとかね。
沢田 そうやろうねえ。
たくろう でもタイガースなんかが日本語で歌ってるのはスゴイと思ったな。オレもオリ ジナルやりたど、どうしてもできなかったは、エレキにのせるのはすごかしいからな。それはそう と、オレこのごろ太っちゃってね。ホラ、こんなにハラ出てきちゃったヨ。ハハハ・・・・・。
沢田 イヤ、ボクもこのとおり (と、はだけたハラをポンポン) ハッハッハ・・・・・。
たくろう ウハーッ、そりゃイイ。これでやっと対等の対談できる。(突然 、カメラマンに)あのネ、写真とる時は、こう、両方のハラを重点的にうつしてほしいネ、ハラを!
沢田 ホントホント、ハッハッハ・・・・・。でも、なんでこんな対談が企画されたんやろ?
たくろう 両方ともルックスがいいからかな。 いや、けっして、そんなことはないよな。 (笑) 顔をくらべられるとワリがあわない。(笑)
沢田 いや、いい顔ですよ。ぼくは自分の顔はあまっちょろくていやなんだ。
◇
◇
たくろう 考えてみると、おたがにマスコミを通じてしか相手を知らないわけだ。その意味じゃずいぶん曲解しあってる部分も多いと思うね。
沢田 そうね。ボクはいつでも自分の地を出したいんやけど、マスコミを通じると、なんとなくいいコになっちゃう。ほんとはもっと陰湿な男なんや。
たくろう ものを作る人間というのは、かならず誤解されるもんですよ。仕方のないことかな……。
■タクちゃんとケンちゃんでいこう!
たくろう ぼくは、4、5年たって、あ、まだやってるって感じの人間って好きなんだな。浅川マキっているでしょ。彼女なんか爆発的に売れるっていうんじゃないけど、ちゃんとうたってるよね。ああいうの見るとうれしくてほのかな気分になる……。
沢田 歌ってくれてるなあって感 じね。
たくろう そうそう。長谷川きよ しとかね。そういう意味でオレは、沢田研二にも非常にあこがれてるんだ。
沢田 ・・・・・。
たくろう ムッシューや井上堯之さんから、沢田君は男っぽくて気骨がある男だって聞いてたんで、ぜひ一度話してみたかったんだよ。 それよりも、うちの女房がすごいファンで、きょうの対談も「ぜったい出るべきよ」だって。(笑) なにしろサイン狂だからね。そのうちサイン帳持って飛んで来るよ。 (笑) (ジュリーが新しいLP『今、僕は倖せです。』をたくろうにおくる)
たくろう どうもありがとう。こんどぽくのLPをぜひ、プレゼントしますよ。
沢田 『元気です。』は持ってます
たくろう これは、うれしいではないか。どうですかね?感想は。
沢田 たくろうさんの曲聞いたり、 仕事見てるとすごくくやしいんや。
たくろう くやしい?
沢田 うん。ほんとにいいもんね。 (『旅の宿』のメロディーを口ずさむ) ワシ、ギターなんか弾けへんけど、たまに作曲のまねごとしてると、いつのまにかたくろうのメロディーが出てきてしまうんやくやしいよ。(笑)
たくろう じゃ、ライバルってわけだ。(笑)
沢田 どうってことないのに、なんでいいのやろな?
たくろう そうですか。(急に胸をはって)沢田クン、たまにはうちへ遊びにきたまえ。ハハハ・・・ぼくはクンづけが好きでね、サンづけで呼ばれるのきらいなんだ。 ぼくのことはタクローと呼んでください。あるいはタクちゃん。あんたはケンちゃんだな。アッハッハ。
沢田 ケンちゃんなんて、いまだに呼ばれたことあらへん。(笑)
たくろう じゃそれでいこう。人が呼ばないので呼びあったほうがいいよ。ケンちゃん,タクちゃんでいきましょう。(笑)
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■結婚しなさい オモシロイよぉ!
たくろう あの、編集の人に注文があるんだけど、対談っていうとみんないやに仲がいいでしょう。 あれ、よそうよ。ぼくら、きょうはじめて話し合うんだから、おたがいにわかりあえない部分がいっぱいあると思うんだ。
沢田 ウン、そう思うな。共通点 とちがう点をはっきり出してもらいたいね。ヘンに美化されるのはいやなんや。
たくろう ところで、オレ、アンタに会ったら第一番に結婚しろっていいたかったんだ。
沢田 結婚っていいですか?
たくろう いい悪いじゃなくて、結婚してみろって言いたいね。
沢田 最近、あらゆるところで結婚のこと言われるんだ。きかれるから答えるけれど、いいじゃない、そんなことどうでも・・・・・。
たくろう 結婚したくない?
沢田 したいけど、ひとりじゃでけへんよ。 (笑)
たくろう しなさい!結婚てイイとは言わないけオモシロイ!(そこへ、たくろう夫人のおケイ ちゃんが入ってくる)
たくろう ほら、やっぱりきただろ。ハハ・・・・ 女房ですわ。(とジュリーに紹介する)
沢田 あ、 どうも・・・・。(あわてて、 はだけていたシャツのボタンをはめはじめる)
たくろう いい よ。そのまま見せてやったほうが・・・・アハハハ・・・・
沢田 お会いするのこれで三度めですね。
おケイ ええ、そうですね。
たくろう アレ、そう?
沢田 うん。合歓の郷で1回、フジテレビで1回・・・。 ね、そうですよね。
たくろう よくおぼえてるなあ。 (すっとんきょうな声で )君たちはまさか、ひょっとしたら・・・・・ ら……アッハッハッハ・・・・・。 でもまあ、いいだろう、彼が相手なら。(大笑)
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カテゴリー「吉田拓郎」より分離独立
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