サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談 ②
T: KAZUHIKO KATO
Z: KAZUMI YASUI
N: NAOKI TACHIKAWA
A pressure from NYC to a man who is unable to change.
N: TONOVANは昔からTAKUROを知ってるけど、彼って年代的に見て変わったと思う?
T: 変わってないんじゃないかな、全然。
N: そう、40も30も変わんない。
T: 全然変わってないところが、やっぱりライオンなんだよ。たとえば変わってない素敵さってあるじゃない。だけど変わってないがゆえに…。ずっと同じでいたら馬鹿みたいだけど、変わってないのに86年か、80年代の格好良さってあるじゃない。
Z: 彼も言ってた。私は、今を生きたいって言ったの。もっと今を生きたいって。そしたら彼は、全然そういう事に興味ないって……。
T: TAKUROの興味って何なのかなあ。
N: かなり話して追求してみたんだけどね。何もないってことが……、俺は電話を待ってるだけなんだよっていう……。
Z: アナーキー!
N: そう、アナーキーだね。そしてデカダンスなんて言葉とは凄く無縁みたいだけど、ある意味ではとてもデカダンス。
T: デカダンス!
Z: かも知れないわね。
N: というのは、旅行も興味ない、食事も興味ない、どんなレコード作ろうかということにも興味はない。とりあえず今回は、KATOとZUZUが凄くノッて 、俺は任せた、俺は歌ったと。そして歌い終わって、1日1日が過ぎて、ミックスダウンなど聴いてみると、これはいい。俺は格好良いことをやったんだという気になってきたと。今度のなんかいいんだ、俺は関係ないんだみたいなことを言ってるけど、そこにはやっぱり愛があるわけね。
T: TAKURO独特の言い方だね。
N: そしてこの後も、別にライヴをやる予定があるわけじゃないし"TAKUROどうするの"って聞くと"別に何も! ただ電話を待ってるだけだよ。お前も電話しろよ"とくるわけ。だって"ヴィジョンとか何もない"とも言い切っているし"俺は瞬発的なんだ。歌だってそうで、ミックスなんかで同じ歌を何度も聴いていると眠くなるんだよ"と話が続く。そういった意味では、確かにライオンだね。
T: そう、野生のまんま。
N: 野生のまんまで16年ね。
T: 凄いよ。
Z: 好奇心なんかもないって言うわけよ。たとえばニューヨークに来て、そこで皆んなとどんなものを食べてるのか、どんなことが行われているのか、どんな文化があるのか……。それはどこに旅行しても、普通は思うわけじゃない。ところが……。
N: 彼は思わない。HAMAのカツ丼が寸分たがわぬカツ丼だと言って、感動できてしまうところが凄いんだね。そして今回面白いと思ったのは、ニューヨークでもコネチカットでも、どこでも変わらないTAKUROと、ニューヨークはニューヨーク、パリはパリって考えて生きている夫妻の組み合わせだな。まあ、今回は忙しくて、私的な部分というのはあまりないと思うんだけど…。ZUZU、今回のニューヨークってどの位振りなの。
Z: 私、ニューヨーク大好きよ。来たってゆうか、住んでたんですもの。67、68年て住んでたの。だから昨日は3rd AVENUEでそぞろ歩きして …、懐かしかったわ。随分、新しいお店もできてびっくりしたけど …。TONOVANはスタジオだったけど、あの辺なら1人で放っておいても、危なくないと思ったんじゃない。
T: でもニューヨークの持ってるエネルギーっていうのが、僕は今度のレコードには必要だったわけ。間接的なものだけどね。つまり昨日ミックスしていて、大川さんが作った音が、何かつまらない音だったわけ。きれいになっちゃってね。やっぱりラフに録ってるし、パワー・ステーションて、そういうスタジオだから…、何かきれいにミックスして、エネルギーがなくなってるって言ってやり直したら凄く良くなった。そういう風に、皆んなが持っているエネルギーを失くしちゃいけないんだよ。TAKUROも凄くエネルギーがあるし。
N: ある、ある。
T: 変なところにも使っちゃってるんだけどね。
Z: とにかくTAKUROが、最初、凄くいいヴォーカルを3曲、1時間半くらいで上げたわけ。凄いエネルギーよ。彼は言いわけとして"俺は早く録って家に帰りたいんだ"なんて言ってたけど、そういう、帰りたいっていう気にさせるニューヨークから受けてるプレッシャーの何か…。
T: そう、それはそれでいいわけよ。
NYC-Limo goes on and off , passing the people of past period.
Z: 私、ニューヨークに若かったから住んだけど、今でも時たま、1ヵ月2ヵ月ニューヨークに来て揉まれてみたいと思うの。凄くINDEPENDENTだし。
N: 何か逆らい難いものがある街だよね。
Z: そう、カルチャーがミックスしてるし。そういう意味ではEVERYTHING OK! ANYTHING OK!って感じがあるわけよね。日本語を話してもいいし。
T: そうだね。ロスなんかだと、日本語で話してると誰かがチラッと見たりする。でもニューヨークだと、全然そういうことがないね。
N: それからロスは島だからじゃないかな。ここの方が実際には島なんだけど、ロスの方が感覚的には島だね。車で走ったりなんかしてると、リゾートアイランドにいるような気分になったりするもの。大きいと言われてるけど、車で回るとエリアとしては小さいよね。
T: でも2つの良さがあるよね。ロスの、あのいい感じも好きだし。
N: だけど本当にこの街には、すべてがあるね。
T: 汚いものもきれいなものも、全部がある。そこが素敵だね。
N :最高のものと最低のもの。最上のものと……。
Z: 絶望と億万長者。
N:それがこの小さな島に……。
T:ガッとコンデンスされて入っている。
N:終わってしまった人たちの横を,リムジンが走ってるんだものね。
Z: それなのに、これほど芸術っていうか、音楽とい うかミュージカルというか……、本屋さんも多いで しょう。とにかく文化というものを,こんなに皆んな忙しくて、人のことなんか知ったこっちゃないといった 感じの歩調の中でも、大事にしてるわよね。
N: 大事にしてるね。
Z: それがロスにはない。ロスはもっと自分勝手。自 分のヨットであり,自分のゴージャスであり......、ところがニューヨークの人っていうのはなぜか文化を
N: シェアしてるね。
T: ロスの人は,あるってことは知っていても......。
N: 肉迫しようとはしないね。
Z: だから私たちがロスへ行くと、そういうものから解 放されてリラックスできるんでしょうね。
T: そうだね。だからこっちから向こうに行く人もいる し,向こうからこっちへ来る人もいると。
Z: やっぱりニューヨークって追われる街だから,求 めるものとか自分の持ってるものがある人は面白 い。最高に刺激的だけど、ただニューヨークって面 白そうだなあって思ってきた人には,何にもないでしょうね。
つづく
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