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2008/06/03

動き出した最強音楽軍団 吉田拓郎 ・ 新譜ジャーナル1984.1

動き出した最強音楽軍団 吉田拓郎 ・ 新譜ジャーナル1984.1

 

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『マラソン』に続く今年2枚目のアルバム『情熱』を発表した吉田拓郎が自らの軍団と共に、この'83年秋から'84年初頭にかけての、全国合計25本のツアーに突入した。
年2枚のアルバム・リリース、そして年2度の全国ツアー・・・・・・。自分を鼓舞し続けるその力を更に加速させていく吉田拓郎・・・。
1984、吉田拓郎は、何処へ・・・!

東京ディズニー・ランドの開演で、このところ著しい発展と賑いを呈している、東京のベッド・タウン、千葉県浦安市。
浦安市民会館は、急激な変貌を遂げ続ける市街地を抜けた海よりの土地に建つ、驚くほど近代的なホールだ。設備の確かさ、そして都心から車で30分足らずという地の利もあって、これまでも多くのミュージシャンがツアー旅立ち前の最後の仕上げの会場として利用している。本誌でも昨年、やはりツアー前のレポートをこの会館からお届けしたのを記憶している読者も多いだろう。なにせ待てないのだ、拓郎の場合。 ツアーの開始まで。

通しリハーサルの開始を5分後に控えて、メンバーが楽屋から三々五々、姿を現し出した。やっぱりというか、派手だ。エルトンは「エー、ラッシャイ!ラッシャイ!」とキャバレーの呼びこみ屋を真似て、スタッフを笑わせている。もっともメンバーの衣裳はこの日のリハーサル後、最後の打ち合わせが持たれた際、変更の可能性も出てきたということだが。

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いよいよ通しリハーサル(当面予定の曲順どおり、曲目を続けて演奏する最終リハーサル)が始まった。拓郎はピンクのシャツに純白のジャケット、そしてやはり白のパンツにブーツといういでたち。 中西のピアノのイントロに続いて、島村のドラムスが入り・・・。なかなかタイトルが思い浮かばない。ボーカルが入って、あ!と、思った。 この曲をライブで聴くのは実に久しぶりの曲だ。なんと・・・!!

ステージは階段状に組まれたメンバーの足場の他、特別奇をてらったところは無いシンプルなもの。ただ、そこに備えられたライトの数! これがスゲエ!!ステージの下に、回りに、そして上に・・・。いったい何百あるんだろう? そのいくつものライトの群が、それこそ "音単位" で様々に変化する。"サビで"とか、"うたに入って" とかじゃないんだぜ、 "音" 1コ1コで変わるんだ。 幻想的な、というのとも違う、驚くばかりの光の効果だ。 今回のツアーからは、コーラスのジェイダが同行しない。 結果は・・・当然、生粋の拓郎軍団がそれを補う。 つまり、プレイしつつ、コーラスをつけていくわけだ。 常富はもちろん、 中西、青山、武部。
エルトンはボコーダーを使用しているため、小さなマイクをかけている。 だからというわけではないが、この "拓郎軍団"の"バンドっぽさ" も更に増しているのにも気がついた。 個々の演奏はよりフレキシブルになり、ソロ・パートも増えてきたみたい。
しかし、みんなけっこうな年なのに(ゴメ ンナサイ!!)本当にカッコイイ! プレイはもちろん、容姿まで年令を重ねることを忘れてしまったみたいだ。 これ、拓郎さんの神通力?

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メンバーひとりひとりが順番にリード・ボーカルを取りあう曲もあるからね、これは大いに期待していて下さい。この日の出来では最優秀ボーカル賞は中西選手でした。
本誌'83年6月号のアルフィーとの対談でも話しが出ていたが、このところ強力に"ギタリスト"に目覚めた拓郎。その意欲はこのツアーでも更に強く具体的に現われてくることは間違いないだろう。 リズムを刻むのはもちろんのこと、時にはリードを受けもち・・・いや、「サイドだ、リードだ」は関係ない。青山とふたりで、バンドの基本的なサウンドを、 ノリを引っぱっているのだ。
丁丁発止、青山とのかけ合いも見られる。 そして青山! 彼特有のテンションの強いアドリブのみならず、今回、一段とカラフルでリズミックな彼のギター・ワークには驚くばかりだ。拓郎の名曲が、 ある曲はとてもチ ャーミングに、 ある曲はとてもスリリングにアレンジし直されて演奏されるこのツアー、アレンジが要求した、ということもあるのだろうが、それに応えて余りある青山のギター に、改めて脱帽、そして感激だ。
具体的な曲、そして進行を、あえて書かずに進めてきたこの"スケッチ" 、イライラした思いで読まれてきた方が多いだろう。でもそうした事を書くことで、実際のコンサートを観る際に先入観や、予想 を持って接しては欲しくないし、何よりもこれから行く人に失礼だから。この文を読んで 感じた"イライラ"は、実際のステージで、思いきり晴らして欲しい。拓郎軍団は、その期待に 200%応えてくれる。 これだけは断言しておこう。
そしてこのツアーが、今までにも増して 吉田拓郎の "これまで" と"今"を集約しているものであることも、付け加えておこう。では会場で!

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