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2008年6月

2008/06/29

動き始めたようですね

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ここへきていろいろと動きが出てきたようですね。

先日の広島修道大学 拓郎歌碑建立と除幕式 から始まり、 田家秀樹氏の 広島フォーク村 連載。

そして 年末の拓郎バンド。 

先日、オールナイト・ニッポンで言ってた「関東でR&Bのライヴ演る」っていうのはどうなってるんかな?   一番楽しみにしてるんですが。

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2008/06/26

暮らし

拓郎情報もそのうち出るだろうとノンキにテレビ、ラジオを楽しんでます。

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2008/06/22

ananとか…

以前からあちこちで紹介されていたanan情報をうみさんから頂きました。 そのまま掲載。

Kayosan_02_2

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2008/06/06

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談⑥

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N:TAKUROは言ってたよ。"KATOは俺のこと, 研究してるんだよ”って。"いいプロデューサーだよ" ともね。

T:「サマルカンド・ブルー」も最初とは全然違う風になっちゃったね。テンポもそうだし,旧曲とは全然違う。

N : TONOVANは何曲メロディーを書いたの。

T:いや,僕が1人で書いたのは「パラレル」と「ロン リーストリートカフェ」だけて,あとはTAKUROの メロディーを......。

N:いじった!

T:そう。

N:いじるだけいじった。豆腐が玉子に見えてしまう 位に……。

z:どっちもいじれなかったのが......。

T :「TOKYO」はいじってないな。

z:「風のダイアローグ」もね。

T:でも,そういう風に言うと,勝手に僕が変えてるみたいだけど,さっきのライオン説っていうか,ライオンはライオンで,自分が何だか気づいてないわけだ から,すごくいいメロディーとか,いい何かを持っていれば,それが無造作に出てしまうんだよ。

N:さり気なく出されたものは,根本的な部分ではいじれないものね。

T:だから逆に言うとTAKUROみたいなアーティス トっていうのは,絶対にプロデューサーが必要なのね。ダイアモンドの原石だからね。

z:そう,完全に原石!

T:ちょうど上でビリー·ジョエルがやってるけど,彼ほどになれば自分でレコードはできるわけよ。でもフィル·ラモーンが絶対についている。

N:そうだね。

T:そういうところがさらに凄いものを生み出す! 1+1が10の世界になっていく。

N:ジョン·レノンがジャック ダグラスと組んだのも そうだよね。

T:そう。自分で全部やっちゃうっていうのは小さいよね。

z:そういう意味でTAKUROは今回,原石をピカピカに光らせたんじゃないかしら。ヴォーカルもうまくいったし。

N:ヴォーカルに力が入ってるよね。これでヴォーカルが決まらなかったら2人に負けたということになるんだから頑張ったんだよ。プロデューサー,作詞家,ヴォーカリストの三位一体となって,最高にTAKUROはパワーを出してるんじゃない。

z:いやあ,見事なもんですよ。

T:ヴォーカルの前はビッシリお酒もセイヴしてね。 そういうところはすごく繊細なんだよ。

N:やはり本物のライオンだ。

z:とにかくあの頑固さは並大低のものじゃないわね。作詞とか何とかでケンカすると,もう言いたい放題だもの。TAKUROも詩がわかるから私も負けないと思うし.....。

N:とにかく凄いものができてるよ。

Z:そう,うれしいわ。楽しい仕事になったけど, 2月から書き始めて,もうかかりっきり。他のことなんて全然できなくて,収入なんてなしよ。TAKUROの詩ばっかり書いていて。

T:今年になって,こればっかりやってるね。

z: (笑)うちは食べていけるかどうかって位にね。

T: "私なんか全部仕事断って書いてるのにってZUZUが言うと, TAKUROは"おお!もっと断れ, 断れ"だからね。

z:軽いのよー。

N:見事なものだね。

(in the car on the way back)

N:本当に本物しか生き残れないね。

T:本物じゃない人は去っていくしかない。

      終

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2008/06/05

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談⑤

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T: 何だかんだ言っていろんな人をINVOLVEしてるけど,何か不思議なプロジェクトだなぁ。

N:異常な魅力。

z:異常であり,なおかつ贅沢。

T:贅沢度においては,上でビリー·ジョエル,横で シンディ ローパーがやってるけど,全然負けてな いね。

z:でも今回のプロジェクトがパリじゃなくてよかったし、ローマじゃなくてよかった。日本食レストランがこ んなにニューヨークにあるとは思ってなかった。

T:本当にいっぱいあるね。でも,あの日本レストラン 独特の悲しげでノスタルジックな感じってどうにか ならないのかなあ

N:それは同感だなあ。

z:やっぱりフレッシュなものを食べようと思ったら, その土地のものを食べるのが一番よねo HAMAののおひたしを食べるんなら,スピナッチサラダを 食べた方がよっぽどいいもの。

N:だけどライオンはそうは言わない。

T:ライオンはおひたしだ(笑) (it is cool to eat sushi and have conver- sation in English)

z:でもニューヨークって最高! 住みたいとは思わ ないけど。

T:ビジネスでも何でも,はっきりしているところがいいね。主張が激しいところではあるしね。

N:すごく主張はあるよね。

z:億万長者でも,ヤッピーでも,トレンディでも,ヒッ ピーでも,どこかに生きざまをおけるわけでしょう。そ してお金はあまりないけど今を生きたいという人 たちが光ってるわね。

N:日本で言うと我々と同じ"魂の世代"と呼ば れるジェネレイションの人間たちだね。

z:そういう中間層の人たちが頑張ってると生き心 地がいいわよね。

N :日本でもそういう人たちに「サマルカンド・ブルー 」を聴かせたいね。今は日本に日本語の歌を聴 きたくなくなった人ってたくさんいるんだけど,そういう人にあれを聴かせたときに……。

z:ガーンと!

N :間違いなくいくね。TONOVANが「ブロンド・オン・ブロンド」の86年版て言ったのもわかるし……。 きかたが違うもの。

T:違うところからくるでしょう。

N:いきなり脳天杭打ちみたいな世界。

T:間がないのね。

z:詩を作るときにね。もう随分前なんだけど,シルク ロードを女が車で踏破するという企画があったの。 それがある事情でパアになっちゃつて,私はシルク ロードに恨みを持ってたのね。サマルカンドっていうとシルクロードのポイントにあるわけで,終点はトルコのアンカラ。そこで当時のボーイフレンドと会う約 束もしたんだけどパアになって……。以来,私はサ マルカンドに恨みと夢を持ち続けちゃったのね。

N:そういうものが全部吐き出されちゃったパワーが あるよ。

Z : TAKUROは「サマルカンド ブルー」のアーティスティックな面というのはわからないんだけど,捕え方の中に確実なものがあるのね。私が"フォークソ ングじゃないんだから,その気になって歌ってちょう だい!"って言ったら"わかった!やってみると "そこに私は男を感じたの。

N:いい話だね。

Z:そう,いつでも女に優しい。

T:ハードボイルドなのよ。

z:そう,ハードボイルド!女に優しい。そう,あのとき,TAKUROの歌い方がコロッと変わったとき,ああ,男だなあって思った。

T:それを僕は知らない(笑)ちょうど帰ってきたら出来あがってたんだもの。

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サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談④

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For ordinally people it will be a big problem, but nothing matters with Takuro.

T: TAKUROの自分に関する認識というのは,混沌としているところがあるね。

N :それは言える。片や混沌,片やMr. & Mrs, COOLだからね。だけど2人のことは昔から知って るけど, ZUZUって時たまそのCOOLの逆流みたいなのが詩に出てくることってない。

T:パッショネイトのCOOLあえ,みたいな(笑) (they ordered espresso coffees and so on

z:今になって思うのは,TONOVANも私もTAKUROのこと愛してるから,文句言ってもケンカしても, すべて帳尻が合うのね。

N:でもそこで解決しないと,どうしていいかわから なくなっちゃうものね。 T:本当にこんなに苦労したことってないよ。自分の アルバムだって,こんなに神経使わないもの。何で自分でやってるんだかわからないもの。

N :だからTAKUROが昨日言ってたよ。"KATOは 俺のファンなんだもん"て……。

T: (笑)最高だね。やっぱりライオンだ。

N :でもそれは愛なんだよ。それが凄い。

T:しばらく前に,レコーディングが終わってレストラ ンに行ったとき, TAKUROがフッと帰っちゃったこ とがあった。何も言わないでね。マークや僕たちは 何が何だかわからない。で,次の朝"どうしたのって聞くと, TAKUROはただ俺,あんなところ嫌いだよって。実に軽いんだよ。

Z:あれ, TAKUROだから許されるけど,そうじゃな かったら,もう大変よ。マークと私たちで,そういうところ行くからって言ったら"そうか,たまには行くか" って感じで来たんだし。マークも最後の日だったし。

T:普通だったらああいうところで帰らないね。

N:やっぱりライオンだ!

T:確かにライオンだ!
Z:でもTAKUROとTONOVANだから,あれはで きるのよ。

T:普通だったら大問題。

N:でも大問題にしない人が揃ってるんだから,い いプロジェクトじゃないのかな。スタッフだって長いから肝が坐ってるしさ。渋谷サンがニューヨークに着いた日に、TAMJINから"TAKUROの機嫌悪いよ"って聞いても"明日スタジオで会うから何とかなるだろう"だもの。伊達に15年はつき合ってないね。

Z:20年だって!

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T:ニューヨークに来る2週間位前,夜中の3時頃に電話をかけてきて"KATO,俺やっぱりニューヨー クに行きたくないよ"とくるんだからね。

N:もうスケジュール決まってからでしょう。

T:そう。

z:恵まれた人よ。

N:愛すべきライオンか。

T:どこか最終的に愛されちゃうんだね。

N:そうだね。調教師役の渋谷サンも凄いね。あの軽さで完璧に処理してっちゃうんだもの。

T:言える。そしてなぜ,ライオンを思い出したかっていうと『風とライオン』てあったじゃない。ショーン·コ ネリーの……,最後に何があっても,それでも地球は回ってるみたいな……。

z:だから私もTAKUROのこと,同じクリエイティヴな人間として......,やっぱりクリエイティヴというのは好奇心から始まると思うし,クリエイティヴだからこそ,吸収したり引き出しの中に入れられると思うの。ところがあの男ときたらHAMAばかりで… …。

N:焼きナスを食べてる。

z:そう。変わってるわよね。

T:でも,あれも凄いエネルギーだよ。集中してる!

N:インド料理に一緒に行ったときはどうだったの。

z:うん。あれもおいしいわよって私が言ったら"そうか。どこにあるんだって聞くから,あなたの大好きなHAMAの隣よって言うと"そうか"ということで行くことになったのよ。

N:ブラッと歩いて帰れる,距離感みたいなものなのかなあ。

T:こじつけるわけじゃないけど,ライオンて絶対,自分のテリトリーの中から出ないんだよね。

N :あと1週間いたらどうだったんだろうね。歌が終わった緊張感からも解放されて,TAKURO言ってたよ。"俺に歌だけ歌えなんて言った奴は今までいないと......,そして"負けてたまるか!と思った" とね。でもZUZUは格好いいよな。お前,そう思わないかって。

zわかってるのよ。だからこっちも許すわけよ。

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2008/06/04

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談③

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N: 昨日ZUZUには言ったけど,パワー·ステーショ ンのスピーカーから「サマルカンド·ブルー」が流れ てきただけで,もう,いいと思わない。

 

T:あれがわかってくれると,すごくうれしいね。

 

N:正直言うと,あそこまでわからなかったところが あるよ。あれを聴くまで, TONOVANがTAKUROの どの部分にインスパイアされてなんてことも……ね。 TAKUROにはTOKYOの段階では, 1度も会って なかったわけだし。

 

z:始めまして/なんてスタジオで言ってるんだもの でも本当に「サマルカンド·ブルー」はTAKU RO,うまく歌ったわよ。私,言ったのよ。照れちゃだ め,絶対に照れちゃだめってね。

T:あのドスと,ワイルドなものって......,ルー·リード が持っているような質感てあるものね。

 

N:僕はあれを聴いて,本当にびっくりした。詩が凄 いし,またZUZU(ごバカ野郎,負けてたまるかと 言って歌いきったTAKURO。また"KATOの今回 の入れ込みようって,あいつ,俺のファンじゃない がと言ってやりきったTAKURO。凄さが溢れてる よ。あとの曲はまだ全部聴いてないけど,ある程度 は予測がつくものだからね。

Z :そう言ってくれるとうれしいわね。でもマークとTONOVANて,名コンビよね。会ってツーと言えばカー。

T:今回の面子も皆んなちょっとずつ知ってる。ウイリーと僕はちょっと知ってるでしょう。で,マークはもうちょっとよく知ってるでしょう。アンディとウィリーというのは知ってるし,高中とウィリーもちょっと知って るし,僕は高中を知ってる。だから皆んな緊張してるんだよね。

N:一流ならではの緊張だよね。ところでTONOVANて,ニューヨークに初めて来たのはいつだったの。

T最初は1970年だったね。

Nこの街って,いつまでも変わらない良さっていう のがあるよね。

zある、あるノスタルジックじゃなくて,全然変わら ない。だけどソーホーとか,こっちの方なんて,私が 住んでた20年前っていったら……

N TRI-BE-CAのTの字でも出したら,あなたど うしたのって感じだったんだろうね。

zニューヨークが広がったわね,凄く。

T:あのダビングゃってたKCCだって, 10年前に1 万ドルで買ったビルが,今や100万ドルっていうんだ ものね。

z:アンディやマークが言ってたけど,まずアーティス トがスタジオとかどんどん見つけるわけでしょ。そ こにヤッピーとか言われてる種族がどんどん入り込 んで......,彼らが入ってくると高くなるだからアー ティ トたちはまた他へ行って,そういう風にどんど ん広がっていく。

N :アーティストにヤッピー,良くなるアーティストに ヤッピー,良くなる。その繰り返しで……。

T:開発されていくんだよね。 (they've already emptyed the first bottle, they are going for another one)

N :でも,今度のって,今までTAKUROを聴いたこ とがない人たちが聴いたら,ショックだろうね。どう 聴かすかってこともあるけど……。

T:そういう人たちにも聴いて欲しい。

z:スタジオで「サマルカンド ブルー」とかやって,A サンとも話したんだけど,女が,こう,鳥肌が立つ, SEXYだわって感じが凄かったわ, TAKUROは 照れてたけど。 TAKUROは,本当は違うんだけど,不良男風 SEXYっていうひとつのパターンがあるじゃない。そ ういう感じが出てるんじゃないかな。本人はまったく 意識してなくてね。

N:意識してないから凄いんだよ。

No matter what you sing about , you will always end up with a love song.

N: TAKUROは,自分で自分がライオンであることを知らないね。

z:そう,全然知らないの。

T:吠えてるけど。

z:本当に自分の魅力がいっぱいあるのに知らな いのそれがいいのよ。

N : TONOVANが言ってた,未開発って部分6-0 T:凄くあるね。

N: 回りもまた,知らないんだよね。

T: そう。アーティ トとしてはエスタブリッシュされて るけど,まだ発展途上の……。

N:言えるね。よく言うけど,アーティストに終わる年 齢があるとすると, TAKUROは,その過程で力を使 ってないから,まだパワーが漲っているね。ほとんど まだ, 25歳の身体みたいな感じで。

z:そう! 確かにそう!

N : 酷使された演歌歌手なんて,40歳だと終わってるからね。僕も初めて会って,あのエネルギーには いささか驚かされたし,凄いと思った。そしてTAKU ROって,違った意味で,すごくエネルギーを使って るね。

T: そう,特に最後の方の4, 5日は凄いものがあ った。

N: それ

T; よく俯瞰的に物を見るって言い方がされ るけど, TAKUROは本能的に……,それがまたラ イオンといわれる所以だと思うんだけど,きちんと見 てるね。ここでこれだけはやっておかなくちゃ示しがつかないというようなことは,実にきちんとやってる ものね。

Z:そう,計算じゃないのよ。

N :計算じゃない。本能だから。

T:それがなかったら,ただブッ飛んでいるだけの人だね。

N:言えるね。

T :とてもソシアライズされててね。やっぱりメジャーアーティストだよ。でもライオンなんだよなあ吠えてるの。

N:孤独なライオンだね。

z:こういうことを言ったらわかるかなって思ってると, 全然わからなくて,こういうことを言ってもわからないだろうなって諦めてると,全然大人だったり......,そ の辺があの人って不思議なのよね。

N:こういうことを聞くと怒るかなぁと思っても,意外と怒らなかったりね。そして考えてるのかなぁと思う と,何も考えてなかったり。

T:だって今回なんか, ZUZUなんて30曲位の詩を書いたけど,もう2ヵ月間かかりっきり。それで俺はライオンだとばかり,気にくわん怒ってるんだとくるんだから。

z:私も怒ってるような詩ばかり書いていたし そのうちに愛しかないって,趣旨をかえてきたから, もう慌てて……。

N:けっこう躁欝なのかなあ

Z :でも私は,TAKUROがラヴソングしかないって言ったことに賛成なわけ。それがどんなものであれ, 男が女を愛そうと,世の中を愛そうと,ラヴソングし かないってことは……。

T:一番いいじゃない。「サマルカンド ブルー」だってラヴソングでしょ。

T:そう! ハードなラヴソング!。

N :でもあんな曲が1曲できたら,もう全部いいって感じがするな。極致のものが見えたときに,全部よ くなっちゃう。極致がないと全部言いたくなっちゃう。 そういうものなんじゃないかな. TAKUROにしても, 昨日話したとぎそうか,お前好きかって感じで賛 成してるんだもの。

T:素敵だね。そしてTAKUROって,わかってても, 俺は嫌いだからやらない......わがままと紙一重み たいなところもあるね。

N:そう,単なるわがままじゃないんだろうな。だから さっきも言ってたメジャーなアーティストでいられる と……。やっぱり加藤和彦という名プロデューサー に任せておけば大丈夫っていうことを見抜いちゃう というのは,ひとつの力といえると思うし, 80%は任 せて, 20%で自分の言いたいことを言うと……。

Z: TAKUROってそんな半端じゃないわよ。任せち ゃう,もう全面的に。

N:それで売れなかったらKATOのせいだと….。

T:ほとんど言ってる(笑)

N:言ってるね,俺は歌っただけだと(笑)ニューヨー クにも,だから来たんだと。

z:歌わされただけだと(笑)

N:普通は言えないと思わない。とにかく,そう言い 続けて,今朝帰ったよ。

 

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2008/06/03

動き出した最強音楽軍団 吉田拓郎 ・ 新譜ジャーナル1984.1

動き出した最強音楽軍団 吉田拓郎 ・ 新譜ジャーナル1984.1

 

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『マラソン』に続く今年2枚目のアルバム『情熱』を発表した吉田拓郎が自らの軍団と共に、この'83年秋から'84年初頭にかけての、全国合計25本のツアーに突入した。
年2枚のアルバム・リリース、そして年2度の全国ツアー・・・・・・。自分を鼓舞し続けるその力を更に加速させていく吉田拓郎・・・。
1984、吉田拓郎は、何処へ・・・!

東京ディズニー・ランドの開演で、このところ著しい発展と賑いを呈している、東京のベッド・タウン、千葉県浦安市。
浦安市民会館は、急激な変貌を遂げ続ける市街地を抜けた海よりの土地に建つ、驚くほど近代的なホールだ。設備の確かさ、そして都心から車で30分足らずという地の利もあって、これまでも多くのミュージシャンがツアー旅立ち前の最後の仕上げの会場として利用している。本誌でも昨年、やはりツアー前のレポートをこの会館からお届けしたのを記憶している読者も多いだろう。なにせ待てないのだ、拓郎の場合。 ツアーの開始まで。

通しリハーサルの開始を5分後に控えて、メンバーが楽屋から三々五々、姿を現し出した。やっぱりというか、派手だ。エルトンは「エー、ラッシャイ!ラッシャイ!」とキャバレーの呼びこみ屋を真似て、スタッフを笑わせている。もっともメンバーの衣裳はこの日のリハーサル後、最後の打ち合わせが持たれた際、変更の可能性も出てきたということだが。

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いよいよ通しリハーサル(当面予定の曲順どおり、曲目を続けて演奏する最終リハーサル)が始まった。拓郎はピンクのシャツに純白のジャケット、そしてやはり白のパンツにブーツといういでたち。 中西のピアノのイントロに続いて、島村のドラムスが入り・・・。なかなかタイトルが思い浮かばない。ボーカルが入って、あ!と、思った。 この曲をライブで聴くのは実に久しぶりの曲だ。なんと・・・!!

ステージは階段状に組まれたメンバーの足場の他、特別奇をてらったところは無いシンプルなもの。ただ、そこに備えられたライトの数! これがスゲエ!!ステージの下に、回りに、そして上に・・・。いったい何百あるんだろう? そのいくつものライトの群が、それこそ "音単位" で様々に変化する。"サビで"とか、"うたに入って" とかじゃないんだぜ、 "音" 1コ1コで変わるんだ。 幻想的な、というのとも違う、驚くばかりの光の効果だ。 今回のツアーからは、コーラスのジェイダが同行しない。 結果は・・・当然、生粋の拓郎軍団がそれを補う。 つまり、プレイしつつ、コーラスをつけていくわけだ。 常富はもちろん、 中西、青山、武部。
エルトンはボコーダーを使用しているため、小さなマイクをかけている。 だからというわけではないが、この "拓郎軍団"の"バンドっぽさ" も更に増しているのにも気がついた。 個々の演奏はよりフレキシブルになり、ソロ・パートも増えてきたみたい。
しかし、みんなけっこうな年なのに(ゴメ ンナサイ!!)本当にカッコイイ! プレイはもちろん、容姿まで年令を重ねることを忘れてしまったみたいだ。 これ、拓郎さんの神通力?

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メンバーひとりひとりが順番にリード・ボーカルを取りあう曲もあるからね、これは大いに期待していて下さい。この日の出来では最優秀ボーカル賞は中西選手でした。
本誌'83年6月号のアルフィーとの対談でも話しが出ていたが、このところ強力に"ギタリスト"に目覚めた拓郎。その意欲はこのツアーでも更に強く具体的に現われてくることは間違いないだろう。 リズムを刻むのはもちろんのこと、時にはリードを受けもち・・・いや、「サイドだ、リードだ」は関係ない。青山とふたりで、バンドの基本的なサウンドを、 ノリを引っぱっているのだ。
丁丁発止、青山とのかけ合いも見られる。 そして青山! 彼特有のテンションの強いアドリブのみならず、今回、一段とカラフルでリズミックな彼のギター・ワークには驚くばかりだ。拓郎の名曲が、 ある曲はとてもチ ャーミングに、 ある曲はとてもスリリングにアレンジし直されて演奏されるこのツアー、アレンジが要求した、ということもあるのだろうが、それに応えて余りある青山のギター に、改めて脱帽、そして感激だ。
具体的な曲、そして進行を、あえて書かずに進めてきたこの"スケッチ" 、イライラした思いで読まれてきた方が多いだろう。でもそうした事を書くことで、実際のコンサートを観る際に先入観や、予想 を持って接しては欲しくないし、何よりもこれから行く人に失礼だから。この文を読んで 感じた"イライラ"は、実際のステージで、思いきり晴らして欲しい。拓郎軍団は、その期待に 200%応えてくれる。 これだけは断言しておこう。
そしてこのツアーが、今までにも増して 吉田拓郎の "これまで" と"今"を集約しているものであることも、付け加えておこう。では会場で!

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サマルカンド・ブルー REPORTAGE FROM NYC FROM THE STUDIO

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サマルカンド・ブルー REPORTAGE FROM NYC FROM THE STUDIO

: TAKURO  K: KATO  Z:  YASUI

    “サソリ”

TAKE 1 - T: これでいいかな。 K: うん、段々。

TAKE 3 - K: 感じが出てきた。T: やや近づいた?

TAKE 5 - K: アタマすごく良かったがNG。2番からもう1度。

TAKE 6 - K: さっきの方が良かったね。

Play-Back K: しぶい。 9CHキープ。「時はサソリの……」

     “CARAVAN”

TAKE 1 - T: 音痴だったかな。 K: 後半は結構いいよ。

TAKE 5 - K: 歌い方が良くなかった。

TAKE 8 - K: 今までで一番良かった。 でも、一部ピッチがずれているな。
      とりあえずKeep。

TAKE 9 - T: ヴォーカル聞こえないかな。K: 大丈夫。

TAKE 10 - K: 今度のはOK。

      “君の瞳に入りたい” 

K: 最初は坊ちゃんテイク。 次は悪ガキテイクでお願いします。

TAKE 1 - K: アプローチは良い。

TAKE 2 - K: ほとんど良い。 Keep。でも3番の一部NGだから、2番から。

TAKE 3 - K: 最高、最高! プレイバックしよう。

Play-Back  T: 使える? K: まだピッチがどうも変だな……。

TAKE 4 - K: OK。モダンテクノロジーで是非。

TAKE 9 - K: これもKeep。

       “レノン・シンドローム”

TAKE 1 - K: Keepして今の。 T: もっとECHOが欲しいよ。

TAKE 2 - K: 「もう心から……」の所が気になる。 T: 難しいんだよ、これ。

     K: レノンから3行だけもう1度。

TAKE 6 - K: ヴォーカルOK。

        “Youthful Days”

K: 写真撮った?  T: うん。

TAKE 1 - T: 今1度アタマから。 K: 1番ずつ録っていった方がいいな。

TAKE 3 - T: 今は結構はまってた。

TAKE 5 - T: これ止めよう。

         “風のダイアローグ”

TAKE 1 - K: 置いときます。

TAKE 2 - T: ヴォーカルを少し下げて。最後はその部屋かな。Z: そう。

TAKE 4 - T: ヴォーカル下がり過ぎた。 K: さっきの方が乗ってたよ。でもこれも置いときます。

TAKE 5 - T: ありゃ。 K: うん、これは格好良かった。 T: もうだめだ。声が枯れて来た。

           “パラレル”

TAKE 1 - Z: いい感じ、すぐ録れそう。 T: じゃ録ろう。

TAKE 2 - T: ヴォーカルUP、ECHOも減らして。

TAKE 3 - K: 「まるで見知ーらぬ」ってとこ間違ってる。変だな。Z: それがいいのよ。

         K: 「まるーで見知らぬ」の方がいいね。Z: 私、降りた! T: 降りてよ。

TAKE 4 - K: 鳥肌が立つという……。 T: 貧血だ。 Z: 格好いい。

Play Back K: 1、2ケ所のみもう1回。

TAKE 5 - Z: 最高、最高! K: Good。サビが特に良いな。130--160にドアノイズ有り。ハモを1CHに追加。

T2

 “サマルカンド・ブルー”

TAKE 1 - T: とりあえず、聞かせて。Z: もっと臭く歌った方がいいかな。

TAKE 2 - K: 方向はいいな。Z: もっと創っていい。

TAKE 3 - K: 乗りはインテンポの方が……、ただ全体に重いよ。Z: そうかしら……。

TAKE 4 - K: この方向でいいよ。 Z: いいみたい。

Play Back Z: 一番の空が明る過ぎる。 K: 全体にはすごくいい。T: じゃキープもんで。

TAKE 5 - T: 暗かったかな。K: さっきの方が良かったよ。「金色の砂に体うずめて」録ろう。

            “わけもなくTOKYO”

TAKE 1 - T: 立って、歌おう。

TAKE 2 - T: ちなみに1度聞かせて……。だめだ。

         K: もっと何か変化をつけないと。いろいろ崩してTRYして。

TAKE 5 - Z: 今のいい。K: 全然良くない! メロディーは変えなくていい。

     T: わかんねぇな、やっぱり座る。

TAKE 6 - K: 深く考えないで普通にやれば。

Play Back T: うむ。 K: 今ひとつ。 T: だめじゃ。

TAKE 7 - K: VARI・スピード1%UPして。サビは別レコーディング。

     T: 今日はやめましょう。 K: あと、3テイク……。

            “切り取られた青春”

TAKE 1 - T: 今日は声が抜群、摂生したもんな。

Play Back T: これはどうだ、一発OKだぞ! Z: うん、すごくいい。

     K: わかんない、これは。でも、時々ピッチが気になるね。

     T: まあ、たまに。 Z: 3年位過去じゃなくて、10年位過去の感じで歌ってよ。

TAKE 2 - K: このテイクは良さそうだな、渋くて。 Z: しぶい。 T:聞いてみよう。

Play Back K: 中々センチメンタル。 T: 1行だけ何か変だな。 K: 別に良いと思うよ。生ギターを2CHばかり入れたいな。

          Z: 効果的なことをやっているわけ?

                         “わけもなくTOKYO”

TAKE 1 - T: 全然音程が合わないよ。 Z: 音痴! K: ひどいなコレは。全体に元気ないよ。

         T: オレのサビがどっか行っちゃったぞ。何所へ行ったんでしょうか、お母さん。

TAKE 2 - Z: コーラス入れるかと思って。 T: えっ、お化粧つき。

TAKE 3 - K: 歌い方が、つながってない。全部同じリズム感になっちゃってる。 T: 難しい。

TAKE 4 - Z: アプローチはいいけれど、実は悲しい歌なのよね、これは。

TAKE 5 - T: 低いんだね。 K: 音程が広いの作るからいけないって事……。

TAKE 6 - Z: いけるかな。 K: あとは乗り、一応リファレンス用にKeep。では、プレイバック。

Play Back K: すごい。良い良い。T: これテンポが上ってるでしょう。K: 一緒だよ。乗ってたんじゃない。

        T: あれっ。 K: この乗りでひとつ。

          T: わっ!けもなく東京に聞こえるね。サビの前まで。K: 1、2がないという。このチャンネルで1、2を。

TAKE 7 - K: うん、良いな。2はさっきので。1がないんだよね。K: もう1回ちょうだい。

Play Back K: 後半はかなりなのですが。Z: 彼のヴォーカルにチャームがない。

          K: どのみち1曲ははずれるんだし、風のダイアローグをやろうか。 Z: まだまだ。

TAKE 8 - K: 1回アタマから録ってみるか。

TAKE 9 - K: 間違ってはいないんだけど、当然すぎるのかな。T: 2分の1の確立であっちやろうか決めてよ。

         K: そう言われてもね。

Play Back K: 結構良いよ。Z: かなり渋い! K: いい事言うね、たまには。

       Z: 拓郎の気持ちわかるもん。お母さんの気持ち。

TAKE 11 - T: くそっ。  K: 一応Keep これ良いと思うがね。

                          “風のダイアローグ”

TAKE 1 - Z: 2番は2重マル。 T: フラットしてる? Z: 全然音程は平気。K: これ、Keep。

TAKE 2 - K: これ最高なんだよね。 Z: いい。

TAKE 3 - T: 結構吹いてた気がするけどね。 K: さっきの方が全然良い。

     Z: さっき珍しくドライブしてたもんね。 K: 珍しく。

Play Back K: OKですぞ。

      “加藤和彦ハーモニーのかぶせ”

TAKE 1 - Z: 可愛い声で録ってあげてね。K: きれいな声録ってね、左右3回ずつ録ってね。

         T: 贅沢だよ、オレなんか1CHなのに。Z: そうだ。そうだ。

     K: まあまあ、きれいな声で録りたいの。 T: 世間知らずが過ぎるよ。

         K: もう2つチャンネルくれる、低いの入れるから。

     Z: あんまし低いのいらないんじゃない。T: 何か自宅でDEMOテープ作ってるみたい      だ。

TAKE - 5 Z: まだ、やるの。

TAKE - 6 Z: あんまりうるさくしない方がいいみたいよ。リフが生きないから。

         T: オレはもう疲れたよ、死ぬ。 (終)

T3

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2008/06/02

サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談 ②

09

T: KAZUHIKO KATO
Z: KAZUMI YASUI
N: NAOKI TACHIKAWA

A pressure from NYC to a man who is unable to change.

N: TONOVANは昔からTAKUROを知ってるけど、彼って年代的に見て変わったと思う?

T: 変わってないんじゃないかな、全然。

N: そう、40も30も変わんない。

T: 全然変わってないところが、やっぱりライオンなんだよ。たとえば変わってない素敵さってあるじゃない。だけど変わってないがゆえに…。ずっと同じでいたら馬鹿みたいだけど、変わってないのに86年か、80年代の格好良さってあるじゃない。

Z: 彼も言ってた。私は、今を生きたいって言ったの。もっと今を生きたいって。そしたら彼は、全然そういう事に興味ないって……。

T: TAKUROの興味って何なのかなあ。

N: かなり話して追求してみたんだけどね。何もないってことが……、俺は電話を待ってるだけなんだよっていう……。

Z: アナーキー!

N: そう、アナーキーだね。そしてデカダンスなんて言葉とは凄く無縁みたいだけど、ある意味ではとてもデカダンス。

T: デカダンス!

Z: かも知れないわね。

N: というのは、旅行も興味ない、食事も興味ない、どんなレコード作ろうかということにも興味はない。とりあえず今回は、KATOとZUZUが凄くノッて 、俺は任せた、俺は歌ったと。そして歌い終わって、1日1日が過ぎて、ミックスダウンなど聴いてみると、これはいい。俺は格好良いことをやったんだという気になってきたと。今度のなんかいいんだ、俺は関係ないんだみたいなことを言ってるけど、そこにはやっぱり愛があるわけね。

T: TAKURO独特の言い方だね。

N: そしてこの後も、別にライヴをやる予定があるわけじゃないし"TAKUROどうするの"って聞くと"別に何も! ただ電話を待ってるだけだよ。お前も電話しろよ"とくるわけ。だって"ヴィジョンとか何もない"とも言い切っているし"俺は瞬発的なんだ。歌だってそうで、ミックスなんかで同じ歌を何度も聴いていると眠くなるんだよ"と話が続く。そういった意味では、確かにライオンだね。

T: そう、野生のまんま。

N: 野生のまんまで16年ね。

T: 凄いよ。

Z: 好奇心なんかもないって言うわけよ。たとえばニューヨークに来て、そこで皆んなとどんなものを食べてるのか、どんなことが行われているのか、どんな文化があるのか……。それはどこに旅行しても、普通は思うわけじゃない。ところが……。

06_2

N: 彼は思わない。HAMAのカツ丼が寸分たがわぬカツ丼だと言って、感動できてしまうところが凄いんだね。そして今回面白いと思ったのは、ニューヨークでもコネチカットでも、どこでも変わらないTAKUROと、ニューヨークはニューヨーク、パリはパリって考えて生きている夫妻の組み合わせだな。まあ、今回は忙しくて、私的な部分というのはあまりないと思うんだけど…。ZUZU、今回のニューヨークってどの位振りなの。

Z: 私、ニューヨーク大好きよ。来たってゆうか、住んでたんですもの。67、68年て住んでたの。だから昨日は3rd AVENUEでそぞろ歩きして …、懐かしかったわ。随分、新しいお店もできてびっくりしたけど …。TONOVANはスタジオだったけど、あの辺なら1人で放っておいても、危なくないと思ったんじゃない。

T: でもニューヨークの持ってるエネルギーっていうのが、僕は今度のレコードには必要だったわけ。間接的なものだけどね。つまり昨日ミックスしていて、大川さんが作った音が、何かつまらない音だったわけ。きれいになっちゃってね。やっぱりラフに録ってるし、パワー・ステーションて、そういうスタジオだから…、何かきれいにミックスして、エネルギーがなくなってるって言ってやり直したら凄く良くなった。そういう風に、皆んなが持っているエネルギーを失くしちゃいけないんだよ。TAKUROも凄くエネルギーがあるし。

N: ある、ある。

T: 変なところにも使っちゃってるんだけどね。

Z: とにかくTAKUROが、最初、凄くいいヴォーカルを3曲、1時間半くらいで上げたわけ。凄いエネルギーよ。彼は言いわけとして"俺は早く録って家に帰りたいんだ"なんて言ってたけど、そういう、帰りたいっていう気にさせるニューヨークから受けてるプレッシャーの何か…。

T: そう、それはそれでいいわけよ。 

NYC-Limo goes on and off , passing the people of past period.

Z: 私、ニューヨークに若かったから住んだけど、今でも時たま、1ヵ月2ヵ月ニューヨークに来て揉まれてみたいと思うの。凄くINDEPENDENTだし。

N: 何か逆らい難いものがある街だよね。

Z: そう、カルチャーがミックスしてるし。そういう意味ではEVERYTHING OK! ANYTHING OK!って感じがあるわけよね。日本語を話してもいいし。

T: そうだね。ロスなんかだと、日本語で話してると誰かがチラッと見たりする。でもニューヨークだと、全然そういうことがないね。

N: それからロスは島だからじゃないかな。ここの方が実際には島なんだけど、ロスの方が感覚的には島だね。車で走ったりなんかしてると、リゾートアイランドにいるような気分になったりするもの。大きいと言われてるけど、車で回るとエリアとしては小さいよね。

T: でも2つの良さがあるよね。ロスの、あのいい感じも好きだし。

N: だけど本当にこの街には、すべてがあるね。

T: 汚いものもきれいなものも、全部がある。そこが素敵だね。

N :最高のものと最低のもの。最上のものと……。

Z: 絶望と億万長者。

N:それがこの小さな島に……。

T:ガッとコンデンスされて入っている。

N:終わってしまった人たちの横を,リムジンが走ってるんだものね。

Z: それなのに、これほど芸術っていうか、音楽とい うかミュージカルというか……、本屋さんも多いで しょう。とにかく文化というものを,こんなに皆んな忙しくて、人のことなんか知ったこっちゃないといった 感じの歩調の中でも、大事にしてるわよね。

N: 大事にしてるね。

Z: それがロスにはない。ロスはもっと自分勝手。自 分のヨットであり,自分のゴージャスであり......、ところがニューヨークの人っていうのはなぜか文化を

N: シェアしてるね。

T: ロスの人は,あるってことは知っていても......。

N: 肉迫しようとはしないね。

Z: だから私たちがロスへ行くと、そういうものから解 放されてリラックスできるんでしょうね。

T: そうだね。だからこっちから向こうに行く人もいる し,向こうからこっちへ来る人もいると。

Z: やっぱりニューヨークって追われる街だから,求 めるものとか自分の持ってるものがある人は面白 い。最高に刺激的だけど、ただニューヨークって面 白そうだなあって思ってきた人には,何にもないでしょうね。

   つづく

 

 

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サマルカンド・ブルーWild lion or unpolished diamond 対談 ①

03_2

Wild lion or unpolished diamond

T: KAZUHIKO KATO
Z: KAZUMI YASUI
N: NAOKI TACHIKAWA

N: ZUZUは最初にTAKUROをやるという話は、いつ頃聞いたの。

Z: 具体的に頼まれたのは、いつ頃だったかしら。 私は最初、通訳かお世話役で行くつもりだったから……。そしたらいきなり詩を全部書いてくれって話になって。それからTAKURO研究が始まったの。TAKUROも自分のアルバムを4、5枚持ち込んで来て。

N: それまではそんなに近いところにいた人じゃなかったんでしょう。

Z: 友達仲間としてはね。でも音楽的には……私、だいたいフォークの人ってだめだから。

T: (笑)

Z: それからTONOVANとTAKUROと一緒に「RONIN」をやることになってね。人間的には大好きだったし、ま、何ていったって、日本の音楽界のプリンスってところがあるでしょう。彼みたいなのは、永遠のプリンスね。

N: 永遠のプリンスね、なるほど。

T: 随分、年食ったプリンスだけどね。それにしてもTAKUROって老けないなあ。

Z: だから永遠のプリンスなのよ。

N: 詩を書くときに、自分で詩を書く人に頼まれた場合とそうじゃない場合とでは、全然ケースって違うでしょう。

Z: それは勿論よ。

N: 特にTAKUROの場合、嫌いな人は嫌いだってことはあっても、好きな人には絶対崇拝みたいなものってあるものね。

Z: そこまで深くは知らない方がいいと思った。ただTAKUROの詩との出会いっていうのは、10年位前にもうあったわけ。まだ2人とも若くて、原宿なんか伸してた頃よ。そういう意味では、TAKUROに詩を書くという気分は、悪いものじゃなかったのね。でも10年位ポッカリ間が空いているし、音楽的な活動というのも、交差しているわけじゃないからわからなかったでしょう。TAKUROにしても、私の詩のイメージは10年くらいブランクだったろうし。「Just A Ronin」のときに一緒にやって、ああTAKUROの歌っていいな、TAKUROの声っていいなと思ったの。
   
TAKUROも私の詩をうまく歌ってくれたし……。わあ、いいなあ。何かチャンスがあったら、詩を書いてみたいなあって思っていたのよ。それで頼まれたから、もう、嬉しくって。でもTAKUROっていったら作詞家だから、2人で半分ずつしようよ、なんて話もしたんだけど、彼が"いや、お前が全部書け"なんてね。でもその時は、まだ半信半疑だったの。とにかくTAKUROは今度のアルバムのことを、全面的にTONOVANに任せていたわけだし。私とTONOVAN、TAKUROの3人で話をして、3人が納得できるものじゃなくてはいけないということになった。3人といえば、TONOVANも作曲するし、普通だと誰が作詞して、作曲してというような役割分担になっちゃうんだけど、その役割分担はいけないことになって、皆んなでやればいいんじゃないかなんて話をしたこともあったのよ。でも最終的には、いろいろやってみたんだけど、だんだん整理されてきて、やっぱりお前が書けということになったの。その場合でも大きな問題だったのは、私は訳詞から入っているから、ほとんどメロディーが先行していたんだけど、TAKUROの場合は、詩が先なわけ。だからTAKUROの家へ行って、メモ風なものを渡してみて、泣いてみたり、わめいてみたり……。

T: (笑)

Z: それはもう、大変なぶつかりようでね。

N: メロディーを先でやってきた人が、詩を先でやるとなるとやっぱりパターンが違うからきついのかな。

Z: そういう意味では、好きなことは書けるんだけど、言葉っていうのは面白いもので"このワインはおいしいです"って言うのと"おいしい! このワイン"って言うのでは、ニュアンスが違うでしょう。詩が先だとそれがセンテンスになってきて、メロディーが先だと、私、どちらかっていうと律儀だから"うまい! このワイン"というようなことは、仕方ない状況だと書けるんだけど、だいたいはきちんとした言葉で書いてしまうのね。だから御行儀がよくなっちゃうんじゃないかと心配してたんだけど……。
   

Everywhere he goes shouts. He is a wild shouting lion.

N: でも、歌、凄いね。

Z: 最高ですよ、最高!

T: 素晴らしい!

N: 作詞家冥利に尽きるでしょ。

Z: もう、そりゃあ、愛しちゃいますよ。まして行間まで考えてくれるわけじゃない。彼だって伊達に十何年も歌ってるわけじゃないし、私が書いた詩のことをきちんと考えて、書いた詩以上のものを出してくれる。

N: 凄いヴォーカリストだよね。

Z: そう、ヴォーカリストとして最高よ。まあ、フォークの人、独特のフレージングというのは、いつも私の神経にさわっちゃうところがあったんだけど……。

N: あったの、そういうところ。

Z: あったわよ。(実際に口調を真似しながら)それで全部直したの。

N: TONOVANがTAKUROに魅せられた一番のポイントってどこだったの?

T: この間も飲んでて言ったんだけど、最後のライオンみたいなところがあるね。

N: 獣! 歌う獣ね。

Z: ライオンよ! 吠える……。

T: どこ行っても、動物園に連れてきちゃっても、ライオンはライオンでさ。 緑がなくなっても、俺はライオンだって、吠えてるところ。 孤高のさ。

N: ニューヨークでも何も変わらなかったものね。

T: 凄い、最後のライオンて感じがしたわけ。シンガーとしても好きだし、TAKUROにもっと可能性があると思った。 そういうところで何かやってみたいなと……。ハードボイルドって話が最初にあって……。

Z: そう、そう、そう。

N: そしてなぜ、ニユーヨーク? TAKUROはアンディ・ニューマークとかウイリー・ウイークスをTOKYOに呼んでやればいいじゃないかと言ったこともあるらしいけど……。それでもなぜニューヨークでやらなくちゃいけなかったんだろう。

T: それはね、ある種の精神的なことなんだけど、TAKUROもひとつのパターンというものを確固として持ってるし、何か次にやるときっていうのは、すごく新しいことをやるわけじゃない。それは非常に大変なことっていうか、15、6年やってきたことに対して刺激を受けるというのはね。やっぱりニューヨークっていうのは世界中で一番刺激的だし、及ぼす影響というのは大だよね。大嫌いっていうかもしれないし……。ま、言ってたけど(笑)

Z: 大嫌いでもいいのよ。

T: そう、それで彼にプレッシャーができてるわけ。それが歌にひとつのパワーになって現われてるよね。それがひとつと、後はパワー・ステーションていうスタジオと、ミュージシャンと……。まあ、いろんな理由があるけど。

Z: 彼も、ニューヨークは居心地悪いって、最後まで激しく言い続けて帰ったけど、それですら大事なことなのよ。アーティストにとっては。

N: そうだよね。

Z: そう。日本だっさたら、彼はSPOILED  CHILD! あんなに見事にガードされて、あんなに皆んなにTAKE CAREされて、言いたい放題言って……。 あんな人間が、まだTOKYOにいるのかと思うと不思議なのね。

T: そうだ!

Z: 私たちなんか野ざらしでしょ。STREET PEOPLEなわけよ。だから自分のことは自分でやる。誰も構ってくれない。それがもう、彼ときたら……。

T: たとえば映画なんかでもよくあるんだけど、俳優が出てるときは、よくわけがわからなくて、クソミソに作品や監督のことを言うことがあるじゃない。 そういう、TAKUROにしては初体験の、変なことばっかのだったかも知れないけど、そんなものがレコードに…。

Z: 歌に出てる!

N: わかるよ。TAKUROも言ってた。 リズムを録ってる時に、俺だったらもっと音を重ねる。 不満だと……。ところが歌を入れてみたら、畜生KATO! 凄いと思ったと……。そうTAKUROが思ったこと自体、もう成功したと言えるんじゃないかな。

Z: そう、そう。彼の歌がよくて、売れることが目的なんで、別にウイリー・ウイークスやアンディ・ニューマンがどうだっていいわけよ。 彼の歌が引き立つためのパックであって……。

N: TAKUROは最初はわからないんだよね。

Z: そうなの。最初はわからない。でもヴォーカルを入れてみたら、ギンギンに引き立つわけよ。そういう意味じゃ、ウイリーやアンディたちって、プロだからちゃんと心得ているのね。

    つづく

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2008/06/01

サマルカンド・ブルーA magazine filled with essence of sexy guy - September 1986 【 拓郎インタビュー③ 】

06

I have not been drinking,to get my body in shape. So that I can sing.

─ TONOVANて、プロデューサーとして、これまでTAKUROのなかったものを引き出したんじゃない。

T: うん、あるよ。専門的にいうと、コード進行のあり方でさ。 俺が使うコード進行と同じなんだけど、メロディーが彼が作ると違う方向へ行くんだよね、すごく。それはひとつ体験した俺ね。で、歌ってて気持ちいいのよ。合ってるもんね。俺が作ったみたいに聴こえるんだよ。びっくりした!

─ 今言ったみたいに、あのアクの強い声がきれいに流れるって いう……?

T: そこはだから、俺のことをよく勉強して彼はやったんじゃない。すごいと思うよ。中々できないよ。作曲って押しつけだからね。 相手のことなんか大体考えないでやるからさ。 そういう意味ですごくびっくりしたね。

─ やっぱり好きなんだよね。絶対、TONOVANてTAKUROのことが…。

T: 好きだろうね。

─ 好きだからここまでできたんだよ。

T: そりゃそうだよ。だって東京でさ、何度も"俺、もうやめた"って 言ってるのに"行こう、行こう、行こう。やろう、やろう、やろう"って凄かったもん。彼は燃えてるよ、今回は。

─ 音を薄くするっていうのもTONOVANが……?

T: それは一番最初にね。とにかく基本はドラムとベースって…だからドラムとベースを呼んだんだって言ってたよ。薄いよね。俺は埋める癖があるんだけど、彼は埋めない。

─ ライヴのときのミュージシャンの数とか、埋め方ってすごいもんね。
  
T: すごい埋める。俺、退屈しちゃうんだよ、間が空いてると…。

─ (笑)

T: 何かやれよお前、暇なんだろって気になっちゃうの。セコイっていうかさ。

─ 11曲やった中で、今、取り立てて好きな曲ってある?

T: 「TKYO」以外は大体いいね。ヴォーカルがうまくいったっていうのがあるからね。これからミックスでどうなるかわかんないけど…。

─ でも歌があそこまでちゃんとしていれば、いい意味でミックスもやりようがないでしょ?

T: 面白いLPだとは思うよ。

─ ZUZUに全部詩を任せた時から、自分なりに歌うことに専念できると思った……?

T: もうそれしかないと思った。だって他のことでケンカできないわけじゃない。"歌だけは馬鹿野郎!"って感じで"歌うよ、俺は"っていうのがあるからね。 ヴォーカルだけだよね! 勝負は。

─ なるほどね。逆に作る前に、ZUZUに詩を頼もうと思った時から一発びっしり1枚歌ってみたいって気はあったの?

T: そんなにだいそれたことじゃないよな。ただまあ、詩は任せ たし、アレンジも任せちゃったし、口出しするとしたらヴォーカルだけだなと……、で、歌い回しにしては、また向こうも口出しするからさ。ZUZUが作った詩だから向こうのイントネイションに合わせようって……、もう声だけじゃない。いろいろやってたよ。ヴォーカルの間だけは……。

─ たとえば前に岡本おさみとか、TAKUROの詩を書いてた人との 関係と、今度のZUZUとの、作詞家と歌い手との関係って、何か変化ある? たとえば前はうんと口出ししたけど今回は出さなかったとか さ。

T: まあさ、ZUZUの場合はTONOVANとセットになってるニュアンスってあるじゃない。そういう言い方って失礼だけどさ。何か1セットになってるから、ZUZUだけとかTONOVANだけって感じじゃなくてさ……、大分イメージ違うよね。今までの松本隆とかさ……、松本隆とはけっこう討論してさ、戦わすんだけど……、1対2じゃ、こりゃしようがないわな。

─ もう叶わないんだよね。うち帰って、あのうちの中で何が行われているかわからないものね。

T: そう、そう、そう。何かいろいろやってるだろうなってことし かわからないからさ。そんなもん言ってもしようがねえや、これさっていう……。

─ そうすると逆に、任せた楽さっていうのもあったわけ?

T: そりゃあるよ、もうそりゃあるよ。だって俺、気楽だもん、今回。すっごい気が楽。知らないよって言えるもん。

─ (笑)

T: (笑)売れなくたって、俺、知らねえって……。

─ TONOVANがメロデイーを、TAKUROっていうのを考えて、すごく研究したとすると、ZUZUはZUZUなりに、言葉の部分ですごく意地張って、逆に逃げずに……、プロレスでいうと古典的な技だけで生もうとしてるっていうのも面白いよね。

T: そう、そう。あれは本気でケンカ売ってるよ。あたしTAKUROなんかより詩人なんだからっていう気分でやってるよ。あたしはTAKUROよりいい詩書けんのよっていう気分だと思うよ、あれは……。だって意地張ってるもん。

─ なるほどね。

T: 俺が使いそうな言葉、なるべく避けてるもん。

─ でも使いそうな言葉は避けてるけど、言葉ひと言っていう中に、何か逆に、十何年間で培われたTAKUROのイメージがワサッと入ってると思わない……?

T: あるかもしれないね。

─ 変にお洒落な言葉を使ってはないでしょ。いつもはけっこう小技を使う人だけど、今回はリアルに、ストレートにきてるよね。

T: きてるね。

It's fun to watch different people try different approach.

─ 高中のギターってどうだった?

T: 高中いいねぇ!

─ 前やったことあったっけ?

T: ライヴやった。レコーディングも1、2回やったんだけどね。ライヴはツアー回ったからね、大分前だけどね。

─ ここのところいいでしょ、また。

T: いいよ、あいつは……。抜けてる、抜けてる。驚いちゃったよ。最初、リズムとってる時に、あいつやる気あんのかなあって思ってたのね。で、1回説教したら……、あいつリアクションない じゃない。だから飽きちゃってやめたんだけど……、やる気あるのかなあって思ってたのね。でもこれ聴いていると、いいわあ、すごい。

─ マークは……?

T: 歌が入って良くなったね。ウイリーのベースも、歌が入るまでは、ちょっと聴けないって、あのままじゃちょっと聴けないって 気がしてたんだ、本当に……。でもKATOは見えてたらしいんだな。そこがプロデューサーなんだろうけど……。 俺には全然見えなくて、1、2回怒ったの。 "こんなんじゃ歌えない"って…。

─ たとえばこのメンバーで、1回だけ、昔の歌から好きなのを集めて、ライヴをやってみたいって思わない?

T: そりゃ思わない。 そりゃ。 それはまた七面倒臭過ぎるよ。

─ 簡単にできればやってもいいって……?

T: そりゃそうだ。いろんなコミュニケイションがとり易ければね。

─ 休んでる時って、けっこういろんなこと考える?

T: いやあ、俺はボケッとテレビ見てるか、雑誌読んでるか……、 とにかく、でもでも、ただ電話待ってるっていう気分は強いね、すごく。電話が楽しみだね。

─ どんなの……?

T: こういう映画があるから見に行かないかとか、こういう店ができたんだけど行ってみないかとか、面白い飲み屋があるとか、あそこにかわいい子がいるらしいよとか……。いろんな、雑多な人間が、いろんなアプローチしてくるじゃない。それはそれで、すごい楽しみなのよ。

─ たとえば仕事なんかでも、いろんな奴がいろんなことを言ってくると思うんだけど、"こんな馬鹿な話があったぜ"っていうとどんなのがある?

T: そうだなあ……、たけしが城を作るとかいうんで……、たけしの番組で……、そのお城の完成記念のスピーチやってくれっていうのがあった。(笑)

─ (笑)

T: 何でそんなこと、俺んとこにくるんだって!"それは渋谷、断ってくれよ"って……。"それはやめてくれよ"っていうのがあったなあ。

─ テレビとか映画の話ってよくくるの?

T: けっこうきてるけど、渋谷がとめてるね。レコーディングやってる時とかは取材とかも全部とめてるらしいし……。 

Let's all be selfish. It'll be alright.

━ 今、TAKUROが40になって、若いミュージシャンの中で    "あいつは面白えや"みたいな奴っている?

T: 若いっていうよりも、最初から桑田には興味があったね、    ずーっと……。で、相変わらずあいつがやってることは面白い。    無抵抗で好きなんだ。あいつのやり方は……。で、会って酒飲    んでると、またこれがナイーヴな人間なんだよね。"こんなこと    に気を使うの"みたいな優しい男で"ああなるほど、こういうところがあいつを支えているのかな"とかね。桑田は好きだよ。ミ    ュージシャンとしても、人間様も……,好きだね。 あとはほら、    音楽聴かないからね。人のはあんまり……。

━ 映画なんかだと、決まって、たとえば誰の映画だったら見に行く    とかってあるの?

T: ない、ない、ない。

━ 監督とか……?

T: まあ、だから女優でいうとジャクリーン・ビセットがすごい好き    だから、それだけは見に行く。あとは話題になってるって言われ    て、じゃあ俺も一応見とこうかっていうぐらいだね。でもあんま   り映画館行かないよ。

━ もうビデオ……?

T: ……。それはねえ、俺、最近変ったんだよ。引っ越ししてから…、    前は横浜だったからさ。渋谷に越してから、六本木も近いし、毎    晩飲みに行くなって思ったら、意外に家にいるのが気持ち良くて    ね。人が飲みに行こうって言っても"うち来いや"って言うんだ、   最近。"うちで飲まないか"って……。    そういうノリになっちゃってるんだよね。

━ でも皆んな出ないみたいよ。

T: 出ないねぇ。

━ 皆んな今のTAKUROじゃないけど、うちに来いやか、お前んちに行こ    うか……、それから飲みに行くというより、食事に出掛けて、その    後どこか行こうかっていうと、どっかの家に寄って終わると、けっ    こう楽に……。

T: 面白くないんだよね、やっぱり……。

━ 面白い店がないんだよ。そういう意味では、昔は溜まり場っていう    のがあったね……。

T: あった、あった。

━ どこの街にもあったでしょ。ペニーレインもそうだしさ。何かそこ    に行くと、何か面白い奴がいて、誰かいるかもしれないっていうの    が全然様変わりしちゃったじゃない?

T: そうだね。それは言えてるんだよな。面白いところないもんね、確    かに……。

━ 不良も減ったよね?

T: 不良は少ないんじゃないかなあ。

━ わがままな奴も減ったしさ。

T: わがままな奴は少なくなったねえ。

━ もう僕なんかよりも下ぐらいって、いないんじゃない。

T: そうだねえ。

━ 言ったらやっちゃうみたいなさ。TAKUROも瞬発力って言ってたけど、    やるかやらないかわからないことでも、一応言っちゃうでしょ、やるって……。

T: そう言ってさ……。

━ それで、言ったからやっちゃうみたいな……。

T: そう、そう。それで広げるって作業が必要なんだよ、これは……。

━ 酒ってもう、一貫して好きだった?

T: 好き、好き。好きですよ。倒れるまで行くよ、とりあえず。酩酊するっていうかさ。そうしないと何だか、ものすごい不愉快だよ。酒って    中途半端は……。

━ 変な言い方すると、SEXしてる途中でやめちゃったみたいな……。

T: それも嫌だね。(笑)

━ 今度東京で飲もうよ。

T: 飲もう、飲もう……。そういう奴っていないんだよ。今度会わないっ    ていうのはいるけどさ。TAMUJINがけっこう欲求不満で帰って……。

━ あ、TAMUJINと飲もうよ。

T: 帰り際に"思いっ切り飲みてえよ、俺"って言ってたよ。飲もう、飲もう。

━ バーンと……。 (GOSSIP+DRINK)

━ でもわがままな奴っていいね。

T: うん、いいねえ。そういう奴に好き勝手言われると、ガツーンてくるけど、    気分いいよ。気分爽快だね。

━ TONOVANだってけっこうわがままだよ。TAMJINだってそうじゃない?

T: そう、そう、そう。他のカメラマンじゃ俺のこと撮れないって言ってるよ。

━ そういう奴だけが残っていくんだよね。面白いな。

T: 皆んなでわがままやってればいいんだよ。        

 - インタビュー終わり -    

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サマルカンド・ブルーA magazine filled with essence of sexy guy - September 1986 【 拓郎インタビュー② 】

04

Part 2 After The Recording

The Beatles were a big dream,I really mean a big dream.

─ こうして歌入れが終わってみて、自分で、年代によって歌い方って変わったと思う? ─

T: 変わってるところもあるよ。変わってないところは変わってないけど……。でも変わってないところの方が多いよね。変わったところっていうと、良くないところだな。

─ それは…? ─

T: やっぱり艶がない!

─ 若さと関係あるのかな ─

T: うん、若さだね。はちきれるというかさ……、そういうパワー感というものがない。いくら叫んでもないね。

─ でもパワー感がなくなった代わりに、たとえばジャズ歌手の多くがそうであったように、違う唱法を自分なりにつかんだというようなことはない? ─

T: そうできるほど器用じゃないし、大体昔から歌はそれほどうまくないもの。

─ 僕は今回、うまいと思ったけどね。お世辞じゃなく。 ─

T: うまいという基準をどこにおくかだろうね。

─ 基準がどうかというより、今の若い歌手に"歌う"という行為を忘れてしまったような連中
が多過ぎると思わない。バックに負けちゃうというか、先にバックができるとそれに合わせて
歌っちゃうというか…。昨日TAKUROも言ってたけど"歌だけでは負けないぞ"という気迫ね。
それにここにTAKUROがいるんだということは、TAKUROがやるしかないんだもの。そしてうまくなきゃできないんじゃないの? ─

T: そうだろうな。そして、これは少し話がずれるかもしれないけど、声の質っていうか、質感のようなものがあって、人を……、もっと言うとミュージシャンを触発する声っていうのがあると思うんだ。俺の声っていうのはそうなんだな。それは自分でも最初から思っていたよ。声の質感はユニークだなって……。

─ 今まで随分大きな会場でやってきたけど、そういうところでコミュニケーションがとれるっていうのは、やっぱりそういう風に肉体がなければ無理だよね ─

T: そう。声っていうのは身体の一部だからね。 そういった意味では非常に肉体的だよね。

─ 「レノン症候群」って曲があるよね。レノンとえば、彼が死んだところと割と近い場所でああいう曲を歌う。ましてビートルズが好きだった。大好きだったってルーツを考えると、何か特別の感慨のようなものってある? ─

T: 余りないね。死んじゃった時は相当落ち込んだ感じがあって……、ヤバイなと思った
けど……。

─ どのへんの部分で一番ヤバイと思った? ─

T: 俺が勝手にそう思い込んでるのかもしれないけど、あいつはやっぱり組織とか、体制の中に入り切れない人間だったと思うな。どこか1人でさ。そういう奴っていうのは、大体、体制から潰される可能性が強いんだ。あれは確かに殺人者がいるんだけど、どうも俺には何か必然的な匂いがするんだ。何か世の中に潰されたって感じがして……。そういうのはヤバイなと……。それが特にジョン・レノンで行われたってのがヤバイと思ったね。選ばれたように殺されたっていうか……。

─ 用意されたようにね。ケネディ暗殺に近いものがあったよね? ─

T: そう、そう! 他のミュージシャンの名前をあげちゃ悪いけど、あそこはやっぱりジョン・レノンだったんじゃないかっていう……。

─ 一番最初にビートルズを聴いた時って、やっぱり触発された? ─

T: 凄かったよ! やっぱりうるさいっていう……、メロディーがどうとかいうより、とにかくうるさい!"こんな音楽が今から流行しちゃうのか"みたいな感じだったな。

─ 高校生の時だよね? ─

T: そう、1年の時だね。

─ やっぱりビートルズって、皆んなに自分たちでもバンドをやれるっていう行為に走らせた
じゃない。それでマイケル・ジャクソンなんていうのは、見てもとてもじゃないけど無理じやない。やる気にならないっていうか……、そのへんがすごく違うよね ─

T: そう、そう。俺でもできそうって感じを与えてくれたからね。それでビートルズって、俺でもじゃなくて、俺たちって感じだったじゃない。4人いればいいんだと……、とりあえず4人仲間が集まれば、何かできるかもしれないって。これは大きかったよね。与えられた夢としてはね。

─ それで割とすぐ、バンド作っちゃったの? ─

T: うん、すぐやったね。で、ストーンズがいたからさ。皆んなたぶんビートルズにいくだろうってことで、あえてストーンズの作品を選んだりとかね。ファッションはビートルズしてるんだけど、サウンドはストーンズになっちゃってるっていう、変な傾向があったけどさ。

─ たとえばミック・ジャガーっていうのもまた、ジョン・レノンみたいにな聖なる感じっていうのはないけど、彼なりに戦ってるわけじゃない。不良っていうのがトレードマークになってて、若干つらいところがあるけど、彼なんか見ててどう? ─

T: 俺はキース・リチャードにすごい関心があるから、あっちの方にローリング・ストーンズを感じててね。ミック・ジャガーにはあまり感じない。ワルとか不良とか、あの男のことを言うんじゃないかって感じがするんだよな。

I just have to go with that, don't you think so.

─ 昨日もTAMJINにちょっと言ったんだけど、TAKUROが"俺はわがままなんだよ"って言うと全部物事が……。いわゆる必殺技ってあるでしょ。何かミーティングやってても、何をこうしようああしようとか言ってても、最後に"俺はやりたくない。俺はわがままなんだ"で済んじゃうところってあるじゃない。そのわがままさっていうのを支えてるのは、やっぱり自分の信念とかパワーなんだろうね。そんなに大袈裟じやない……─

T: 結局、俺は一攫千金を夢見て東京に出て来てるわけじやないから……。だからミュージシャンじやなくてもいいってところがあるわけ。で、大学の途中で就職決まってたから、元々サラリーマンじゃないかっていうのがあるし、見合いで結婚するんじやないかって図式もあってさ。ひょんななりわいで、音楽で食ってるわけじゃない。だから"いつでも帰るよ"っていうのがあるわけ。別にこの世界にいなくていいよっていうかさ。だから平気なんだよね、誰が何言ったって怒ったって……。

─ なるほどね ─

T: つまり誰かが"協力しない"って怒るじゃない。"じゃあいいよ。やめようよ"ってなるわけ。それでもダメなら"じゃあ俺、田舎帰るから"みたいな気楽さがあるから……、ここにいなきゃいけないみたいな義務感て、俺、何にもないからさ。

─ そうすると、けっこう売れたアーティストが感じるようなプレッシャーとか、いい意味で感じないでずっと過ぎてると……?

T: そうなんだよね。お金持ちになったなあとか、よくわかんないじゃない。やっぱり金持ちにはなったけど、その場で使った方がいいって感覚なのよ。

─ うん、うん ─

T: どこでも行けるじゃないかって感じが、あるんだよね、いつも……。だから昨年のつま恋で引退なんて言ってるけど、そんな引退とか何とかって言うんじゃなくてさ……、自然の流れっていうか……。よく何周年記念コンサートとかやるじゃない。芸能生活何周年とかさ。ああいうことって俺には全然わかんないわけ、感覚とて……。

─ TAKUROって、16、7の子どもがデビューするのと違って、分別も何もある状態でデビューしたわけでしょ。ビートルズとか、ジョン・レノンもそうだったけど……。だから5年経ち10年経ちっていうのを、すごく冷静に受けとめているんじゃない? ものの成り立ちを……  ─

T: そうだな……。大体最初のレコード会社が、エレックっていう糞マイナーでさ。通信販売の会社だからさ。そこの全貌とかわかっちゃうと"何てことないや"って思うわけよ。レコード出すってことも、別に大したことでもないし……。いきなりCBSソニーじゃなかったのが良かったんじゃない。割合シビアにいろんなことが見れたっていうかね。自分のレコードを通信販売でさ、梱包とか手伝いながら"ああ、人生は風ですね"みたいなこと思って……。これは吹かれるように吹かれるしかないなって……。

─ 考えてみたら、5年ぐらい前からインデイーズ、インディーズって言われてるけど、エレックなんてインデイーズの走りだよね ─

T: 権化、権化(笑)

─ でも、自分が好きなように作って、好きなように出せてた時代だよね ─

T: でも、レコード出さなきゃ会社が潰れるって状態だからさ。これはレコードにするほどのもんじゃないって言ったって"出さなきゃお前に給料払えない”って言うんだから……。その頃、もう1枚出したら広島帰ろうかなって考えてたけどね。

─ 帰って……、どんな会社に就職決まってたの? ─

T: 河合楽器って楽器屋さん。ピアノのセールスマン。決まってたんだよ、それは…。

─ ここにいるようになっちゃったのかなあって思い始めたのっていつぐらい……?3年目ぐらい……? ─

T: そうだね。人が集まり始めた頃だね。吉田拓郎って名前で……。その頃からだね。ここにいてみようかなって……。

─ そういう意味では居心地が悪かったことってない? ─

T: 住めば都だからね。

03

My energy can't last but it can blast.

─ 考えてみたら、アーティストってよく"しばらく休みます"とか言うけど TAKUROって1回も言ってないでしょ? ─

T: ただ社長やってた時だけ……、できないからね。その時は何もやってなかったけど。

─ 自分で決まったエネルギーって、1日でも1カ月でも1年でもそうだけど、計算して使っていく方…? ─

T: もう、行き当たりばったり。 企画性ってことに関して、ゼロだもん、俺。大体企画倒れだね、物事のすべて……。

─ なるほどね ─

T: 持続力がないんだよ。 どっちかっていうと瞬発力なんだよ。

─ なるほどね(笑) ─

T: 昨年映画やったじゃない。「Ronin」を……。 俺、映画ダメだもん。ついていけないもん、あの世界には。 1コマ1コマ何回も撮り直してさ。 ああいう持続力っていうか、作業にはとてもじゃないけどついていけないね。

─ レコーディングなんか、自分でプロデュースやってる時なんか、やっぱりミックスとかあまりグチャグチャやらなかった? ─

T: やんない、やんない。 飽きちゃうんだよ、すぐ。 最初だけ……。だからなるべく早くやっちゃう。 気持ちのいい時に……。

─ ツアー中なんかの時は、大きいコンサートだと1回に集中できるけど、全国なんか行ってると同じ曲を何度も歌うじゃない…… ─

T: もう完全に飽きるよ。 コンサートやりたくないって原因はそこなんだもん。もう20カ所とか30カ所とかなるとね……、同じ歌、歌ってんだよ、毎日……。 そりゃ飽きるよ。 飽きないって奴は嘘つきだよ、絶対…。

─ だからレコード出して、それに合わせて春と秋にツアーやるとか…… ─

T: とてもじゃないよ。 若い時ならやっただろうけどさ……、今は嫌だよ。 飽きない方法論とかが見つかったら、またやるよ。

─ 他にたとえば……、今度レコード1枚作ったじゃない。 で、今、言ったみたいにツアーも
やらないと……。 そうすると、たとえば計画っていうんじゃなくて、今、自分でやりたいとって…、何が一番やりたいのかな ─

T: ないよ。 何にもない。 とにかく人から電話がかかってくるのを待ってるって状態……。

─ "何かやんないか"って…… ─ 

T: そう。 それでそれが面白そうだったらやる。 面白くなかったら丁寧に断って、また今度って……。

─ そうすると、何かやってないと不安になっちゃう奴っているじゃない? そういうところはないんだ?─

T: ない。 

─ なきゃないに越したことないね ─

T: それは人間の本質で、楽して儲かればこんな楽なことはないんだから、楽してゴロゴロしていたいよな。 で、俺、出不精だからね。 家でゴロゴロしてるの好きだから……。

─ 旅行とかも別にそんな好きじゃないんだ?─

T: 誰かが行こうとか言うのを待ってる。 常にWAITINGで、人が言ってくるのを待ってるんです。

─ 自分で好きな音楽って、どんなの好きなの?─

T: 自分のが好き。 

─ 自分のだと押し並べて好き……? ─

T: 大体俺、寝る時にヘッドホンして寝る癖があるんだけどね。 自分のLP聴きながら眠るんだよ。 俺以外のだとね……、まあヴォーカルのないもんかな。 人の声はあまり素敵に聴こえないっていうか……。

─ でも一番いいんじゃない。 そういう風に思って、やってられるっていうのはさ ─

T: まぁ幸せだよね。

─ 幸せだよね ─

T: 幸せだよ。 それは確かに……。

─ すごくね ─

T: 人から見ればアブノーマルな感じってあるけどさ。 まあ幸せな方だよ。

─ うん。 でも声っていうのを手に入れるのが、一番難しいわけじゃない?─

T: そう、そう、そう。

─ 別にギターはいくらでもうまくなれるし、太鼓も練習すればいいけど、声だけは、これは本当に……、森 進一しかりさ。 ロッド・スチュワートしかりさ。 選んでいくと何人もいないんだよね ─

T: いない。

─ やっぱり売れてる人たちは、いい意味でいい声してるんだよ ─

T: ○○○○にね。

    つづく

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サマルカンド・ブルーTAKURO - A magazine filled with essence of sexy guy - September 1986【 拓郎インタビュー ① 】

01

TAKURO - A magazine filled with essence of sexy guy - September 1986 【 拓郎インタビュー① 】

 

Alright,if you feel that way we will go for that.

アルバム サマルカンド・フルーについて

聞き手 : 立川 直樹

─ 今度は詩は全く自分では書かなかったの? ─

T: うん、詩は書いてないわ、アレンジには参加してないわ、全部お任せだからね。結局、去年つま恋をやって、終わったという言い方は変だけど、基本的に大体、ひとつ抜けたって気分だから、もうこだわらない! 言葉とか、歌い回しとか、それまでは自分の持ち味といか、いろんなものにこだわっていたし、ステイタスっていうの…、でも音楽なんて好き嫌いだからね。 嫌いな奴がいっぱいになってくれば、それはなくなるんだろうし。今度はKATOの話にのって…、去年だったかな。

─ TONOVANは一昨年ぐらいにもう、僕に“TAKUROに興味があるんだ”って言ってたけどね ─

T: 昨年一緒に飲んでて盛り上がって、やろうって決めたんだ。決めた以上は、もう任せる。 どう転ぶのかはわからないけどね。まあ、今こうしてヴォーカルを入れたりしても、大していいとは思わないんだよ。でもそれは好き嫌いだから、彼らはいいと思ってるんだし、そういういき方もあるんだろうってところかなあ。

─ でも人に任せるといっても、まあメロディーに関しては前のアルバムでも、TONOVANの曲を歌ってるけど、詩となると、いろいろとノリの問題とかであったんじゃない?

T: それは確かにある。

─ そこの部分がとても興味あるんだ ─

T: 俺は自分で言葉を作ってきた人間だろう。だからZUZUももそこのところはすごいプレッシヤーで、もう顔面神経痛になっちゃったくらいなんだ。とにかくZUZUから見れば、俺も詩人なわけ。作詞家だっていうわけよ。"そんな詩は私には書けない。でもTAKUROが歌えるようなものにはもっていきたい"と。まあ音にしても歌い方にしても言葉にしても、こうなのなって気分はあるよ。ただマニアックに俺のことを好きだって奴にやってるつもりじゃないかね。

─ 変な話だけど、デビューの仕方とか、ある種の人間的豪放さとかで、ボブ・ディランと比較されたりしてきたよね。そういう意味は、ボブ・ディランが少し甘めの路線にいったことがあったじゃない ─

T: 「セルフ・ポートレート」か。

─ そう、そう。そしてああいうような意味合いって今回あるのかな? ─

T: 全然ない! あれはまあ、ディランの挑戦だったでしょ。今回は俺、挑戦なんて何もしてないもの。何か自然の流れで"いいんじゃないの。やってみようか"というとで始まったんだよ。

─ ZUZUと詩についていろいろと話をしたの? ─

T: うん、こんな言葉は歌えないとか、こんなことは歌えないとかは言ったよ。それでも……、横文字が多いからね、あの人は。「サマルカンド・ブルー」なんて俺はどこだか知らし……、ネフェル何とかっていったって、わかんないことがいっぱいあるからさ。

─ 音はどうだったの? ─

T: リズムセクションを録ってる時は大不満! ウィリー・ウィークスだろうが何だろうがよくわかんなかったんだけど、ヴォーカルを入れたらよく聴こえるんだね。それが不思議だった。結局インストルメンタルのバックをやってない。ヴォーカルのバックをやってるってことなんだ。歌を入れたらリズムがメチャクチャよく聴こえるんだよ。

─ アンディ・ニューマークなんて典型的なドラマーだよね? ─

T: そう。歌と一緒に聴いちゃうと中々のリズムしてるんだ。驚いたな。それは新発見だね。今まではリズムの段階で気持ち悪いとイヤだったからね。流石だったよ。

─ 今まではTAKUROが全部自分でやってたんだよね。ブッカー・Tとやったのが一枚あったけど……。外に頼んだプロテューサーというのはTONOVANが2人目なわけだけど、ブッカー・Tの時もいい意味で任せるなら任せるみたいに…… ─

T: いや、あの時は口出したよ。今度だけは何も言わなかったな。歌い方だってもう、俺はこういう歌い方しないんだけどっていうのもやったもの。"まあいいや。そう思ってるんならそれでいこう"って。彼らも気持ち良く聴こえるらしいからさ。それなら彼らに任せてみようと……。

Well,I am honor student that is for sure.

─ TAKUROをそこまでさせたものって何なんだろう?ただTONOVANがいっしょにやろうと言ったからだけじゃなかったわけでしょ? ─

T: つまり俺の中では余り興味がないからなのよ。そんなにオオゴトじゃないんだよね。

─ なるほどね ─

T: KATOはオオゴトだよ。彼はもう、燃えまくってるからね。"俺はもう燃え尽きた"って。"当分、他の仕事はできない"なんて言ってたくらいにさ。

─ 確かにそうだね。"2カ月、何も他のことしてない"って昨日言ってた。"少し休みたい"って。でもTONOVANて本当に前から、会うたびに僕にTAKUROのことを話してたよ。きっと自分にないものを見出してるんだろうね ─

T: そりゃそうだよ。

─ あのセンスの良さで、サウンドとかコンセプトを彼が組み立てていった時、いざTAKUROが歌う段になると、歌う獣みたいになっちゃうんだものね ─

T: アハハ、そいつはおかしい。

─ 生き方にしても違うしね ─

T: それはもう、2人の暗黙の了解なんだけど、俺は肉食であいつは草食と、その辺でお互いに割り切ってるんだよ。

─ TONOVANて野菜、嫌いなんだけどね ─

T: そう、あいつは凄く肉を食うんだ。大飯食らいだからな。

─ でもTONOVANとは知り合って、もう随分長いでしょう? ─

T: 一番最初にあいつが来てくれたのは「結婚しようよ」の時、あいつがアレンジしてくれて、その時に松任谷とか後藤とか小原礼とかを連れてきたんだよ。皆んなアマチュアだった……。

─ その後に後藤クンたちと新六文銭て作ったんだよね ─

T: そう、ほんの少しの間ね。

─ 基本的にグループを組むのは体質に合わないのかな? ─

T: そんなことないよ。バンドやってたし、人のバックでギター弾くの好きだよ。だからデモテープに凝っちゃうもの。ほとんどアレンジの段階
で却下されるけどね。瀬尾だけよ、真面目に俺のデモ通りにやってくれるのは。

─ 瀬尾サンも長かったんだよね? ─

T: 長い!

─ そう考えると瀬尾サンもTONOVANも植物的だけど、大体回りはそのタイプになるの? ─

T: うん、タイプとしてはな。でも瀬尾は私生活も知ってるし、割と俺に近しい部分もあるんだけどな。KATOとは違うな。(ソフト・シェル・クラブを口にして)これはうまい!

─ おいしいね ─

T: こればかりはZUZUも感動したもんな。おかわりしたぐらいだもの。(EAT+DRINK)1

─ 今度のは何枚目になるの? ─

T: 知らーん。数えたこともないし……、フォーライフだけだって10枚以上はあるし、ソニーにだって、その前だってだからな。

─ 25枚くらい…… ─

T: そんなもんじゃないかなあ。2枚組とかけっこうあるし。

─ 自分で曲を書く時ってけっこう早いの? ─

T: 早いね。ホテルに入ってパアーっと書く方だからね。とにかく書きだめっていうのはやったことがないんだよ。スタッフの方から5月頃にLPを出したいってなれば"わかった。じゃ、やろう"ってことになって、詩を書いて、曲を作って……、そういう意味じゃ俺は優等生だよ。

─ 書こうと思うとできちゃうという…… ─

T: そう、そう、そう。

─ セルジュ・ゲーンズブールなんて"曲を作るのは宿題みたいなもの。明日までに2曲作れっていったら書けちゃう"と言ってて、一番早いレコードはミックスダウンも含めて6日でできたのもあるんだけど、基本的にはそのノリに近いのかな? ─

T: どうだろうねえ。まあ優等生であることは間違いない。

─ どんどん詩とかメロディーって出てくるの? ─

T: いやあ、絞り出してるよ、当人としては……。言葉の場合はやっぱり絞り出すよ。『現代詩手帖』なんか読んでさ。  

There is nothing I can do is an answer to this.

─ やっぱり物を作るっていうのは、初期のうちは蓄積してきたものがあるから、作り始めてもどんどんアイデアって出てくるじゃない。それがある時期から、段々、充電の必要性が出てくるよね。何を見ても詩になったり、メロディーが浮かんだりすると思うんだけど……。─

T: 最初のうちは稚拙な詩でもいいと思ってるわけよ。それが段々大きくなっていくと、チョイスしなくちゃならなくなってくる。昔なんか、これでいいんだという感じでバンバンやってたもの。随分言われたよね。詩が稚拙だって……。今でも稚拙だけどさ。ただ、この頃は書こうと思わないと書けない。それがつらいよ。

─ いつぐらいから、そうやってストックしてあったものがなくなったというか…… ─

T: 一番顕著なのはフォーライフの社長をやった頃だね。あの頃にすべて消えた……、失くなった。

─ 社長は何年ぐらいやってたの? ─

T: 6年ぐらい……、だった。

─ よくアーティスティックなものとビジネス的なものって両立しないと言われるんだけど、やっぱりそうだった? ─

T: 日本ではダメだろうね。基本的にあの、芸能界の環境とか、いろんなことがあるしね。それを変えたかったんだけど、それだけの力もなかったな。とりあえずフォーライフを左前から右前にするしかないと……、もうほとんど仕事のノリ。

─ つらいものがあった ─

T: ………。

─ 去年で一区切りみたいのは、何か思うところがあって言ったの? ─

T: それは別にない。でも去年で大体終わると思ったよ。今、40だろう。あれは39でやったんだけど、相当な労働をやったなあっていうところがあった。まあ、今後、やめられんだろうけどね。

─ ボクシングやプロレスもそうだけど、本当に身体が動かなくなるまで続ける人たちっているじゃない。やっぱりやっちゃうとやめられない魔力のようなものってあるんだろうね。

T: 癖かなあ……、カーッと燃えてとかいうもんじゃないだろうね。他にすることないからっていうのが正解なんじゃない。 (EAT+DRINK)

─ でも、ひとつずつの料理が、きちんと日本のノリになってるね、ここのは ─

T: そうなんだよな。だから、ふと"あれっ、日本にいるんじゃないかな"なんて気になったりするんだよ。 (EAT+DRINK)

─ ステージは、もう、やりたくないんだ? ─

T: うん。事務所はどう思ってるかわからんけどね。

Do whatever you like and make whatever you like.

─ 今までに一番早くできたレコードってどのくらいでできたの? ─

T: ライヴが一番早い!(笑)特に「LIVE'73」なんて音を録って発売までに1カ月なかったもの。

─ 一番最初に自分で作ったレコードはどれくらいで……? ─

T: あれも早かったな。2チャンネルで、御苑スタジオっていう小さな所でね。俺が広島から東京に出てきてすぐの時だった。

─ 今だと機械が発達して24チャンネル、36チャンネル、となってきたよね。70年頃から見ると、2、4、8、16…といった具合いに倍々ゲームみたいな感じもするよね。そんな中で音楽が変わっちゃった人っているじゃない。機械に負けたっていうか……。 そういう意味でTAKUROって今回も変わってないね。TONOVANがプロデュースしてもTAKUROはTAKUROだっていう……。

T: 彼も何かあると思ってるんじゃないかな。変えられないや、それだけはと……。

─ 自分でプロデュースした時に、チャンネル数がどんどん増えていった時、どんな気がした? ─

T: マジに驚異だよ。"エーッ、もっと使えるの"なんて感じさ。うまく利用してとか、そんなんじゃなくて、入れたいものが入れられる……、とにかく俺、最近のPCMとかコンピュータとかいったってわからないんだよ。

─ 最近はレコードにしてもCDとか何とかになってきてるけど、基本的には、安いプレーヤーから流れてきても、いい音楽が一番だよね。─

T: そりゃ当然だよ。でも、そんなこと言っても始まらないらしいから"本当、そうなの"なんて言ってるだけ……。今回、歌を歌ってても、よくわからないところもあるな。一昨日「サマルカンド・ブルー」をやってた時なんだけど、歌の中にバリー・マクガイヤーからジョン・レノンまで、いろいろ出てくるんだ。 ま、俺は俺でしかないんだけど、KATOやZUZUたちは聴いてて"GREAT"とか何とか言ってる。だから俺は替え歌で"何が何やらわからないけど、OK
さえ出ればそれでいい。それだけでいい”とやったんだよ。全然わからないんだ。

─ ZUZUは鳥肌が立つくらいにいいって言ってたよ ─

T: そうか。 (DRINK+EAT)

─ よく聴き手に対して、アーティスト側が、今回はこうだみたいなことってあるじやない。今回は……、そのへんのところは……?─

T: スタッフがやることじゃないの?

─ 何もない……? ─

T: この前、TAMJINに言ったのと同じだよ。勝手に追っ掛けて勝手に作れって…。

─ 40歳になってどうのこうのというようなこともよく言われるだろうけど、特別な感慨みたいなものもないの? ─

T: ないな。でもお前って本職って何なんだ?

─ 何なんだろうね。興味があることはやってるから……。─

T: 雑多にか。

─ 雑多というか、昔から興味があることはちゃんとやりたいと…… ─

T: そうか。面白いね。

─ 野球みたいなものなんだけど、センターの守備位置についてたら、レフトに飛んだ球はレフトに取らせる。そんな風にポジションみたいなことも考えてね ─

T: 面白い!俺の回りにはいなかったタイプだ。書き屋でもね。

I am not here bet to on anything.

─ でも今回のTAKUROみたいに、軽いノリでレコードを出す人っていうのも減ったね。皆んな何かプレッシャーがあったり、考え過ぎたりしてて、そう考えるとTAKUROの"適当なのよ"という一言はとても面白いよ ─

T: あたってるけど言い過ぎたっていうのかなあ…。

─ 宣伝なんかの問題なんか含めてもね ─

T: ほっといてくれ!って感じなんだよな。しばらくほっといてくれっていう……。

─ 皆んな大人になると、いわゆるオッサンみたいになっちゃうよね。でも、今、こうやって飲んでると18、9のガキがたむろしてるのと変わらないノリで……、そう考えると、今の"ほっといてくれ"っていうのは、世の中の流れからほっといてくれってところもあるの? ─

T: 深刻に考えたことはないけど、やっぱり迎合できないというか、合わせられないんだろうな。無器用なんだよ。器用に立ち回っているような振りしてるけど、無器用なんだよ。KATOも無器用だもの。それでシャイで……、個人的なんだよ。

─ ちょうど33から42、3ぐらいまでの年齢の人間に多いね ─

T: 34ぐらいかもしれないな。

─ ちょうどその6、7年ぐらいの人間がそうなんだよ ─

T: 1ドル360円ていう世代だからなあ。

─ 何だかんだ言っても、音楽とか映画とか、アメリカの影響を受けていて、それでビートルズがあってさ ─

T: ビートルズにはショックを受けたなあ。

─ あれにショックを受けなかった奴って、ほとんどいないんじゃない ─

T: そうだねぇ。でも本当にいろんな雑多な奴がいるから、人間て面白いんだよな。たニューヨークは雑多にい過ぎて困っちゃうんだけどなあ。

─ ニューヨークは今回、2回目 ─

T: うん。ただ前は3泊5日だったからねえ。それでも相当参ったね。着いた日は時差で、次の日は24時間起こされてて、半日空いてて、次の日には帰ったんだから。

─ その時は何で……? ─

T: ラジオの取材。

─ ニューヨークは好きじゃない? ─

T: うーん、どうかなあ……、好きなんだろうね。ただ今回のテンションには合わないという……。前回は合ってたもの。

─ 今回のテンションはどういう感じなの? ─

T: もう、最初からニューヨークへ来たくないというのがあったわけよ。ウイリー・ウイークスとアンディを日本に呼んでやっちゃおうよというところもあったくらいでさ。俺が随分ごねて、こっちへ来るのも遅れたくらいなんだ。それでKATOともいろいろ話したら、KATOが"とりあえず任してよ"って言うわけよ。"ゴチョゴチョ言わないで任せてよ"って言うから"わかった。行くよ"っていうことになっちゃった。だから俺が不思議だったのは、非常にスタッフの方が燃えてるっていうか"賭けてるのかな、このLPに"みたいなことも思ったよ。

─ 俺は今日こうしてTAKUROと話すまでは、TAKUROも賭けてるのかと思った ─

T: アハハハハハ! KATOが賭けてるんだよ。(笑)賭けるとか賭けないとかいう
場所に、俺はいないもの。

─ 今後はどうなるの? わからない? ─

T: わからないよね。帰ったら1曲、バンドとレコーディングしてみようかなんてアイデアはあるけどさ。

─ それは今回、TONOVANとやってみて、悪い意味じやなくて反動のようなもので…─

T: 違うよ。ニューヨークに来る前からやってみようと思ってたことだし、そんなに深刻じゃないんだよ。とにかく俺の回りって、物事が深刻になり過ぎなんだよ。

─ それはしようがないんじゃないかな。70年に登場して以来"フォークのプリンス"なんだもの。たとえばディランがラジオで何か1曲好きだって言うと、それがもう、ディランの好きな歌として紹介されてしまうみたいなところがあるんだよ。別にディランに限らず、野球でいえば10年間連続でオールスターに出場している選手や、プロレスで言えば10年間メインエベンターであり続けてるレスラーのように、もうある種の存在になってしまっているんだよ。それはもう開き直るしかしようがない。いくらドサ回りやったって、猪木は猪木でしょう。─

T: そうだな。

─ そのへんが回りは大変なんだよね。どうフォローするか ─

T: わかってんだけどさ。これまではいろいろ回りのことも考えてたんだけど、もう、さっきも言ったように、勝手にやってくれって感じだよ。 ま、そうじゃなかったら自分でプロデュースするよ。本質的には、何でも自分でわかっていたい。そういう人間なんだからさ。

─ なるほどね ─

T: それで今あるのはどうしなくてもいいんじゃないかってことなんだ。でも回りはKATOに任せたこともあって、何か確実にやろうとしてるし、相変わらずうるさく付きまとってるなって感じなんだよ。

     ─ Part 1 終わり ─

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