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2008/06/01

サマルカンド・ブルーA magazine filled with essence of sexy guy - September 1986 【 拓郎インタビュー③ 】

06

I have not been drinking,to get my body in shape. So that I can sing.

─ TONOVANて、プロデューサーとして、これまでTAKUROのなかったものを引き出したんじゃない。

T: うん、あるよ。専門的にいうと、コード進行のあり方でさ。 俺が使うコード進行と同じなんだけど、メロディーが彼が作ると違う方向へ行くんだよね、すごく。それはひとつ体験した俺ね。で、歌ってて気持ちいいのよ。合ってるもんね。俺が作ったみたいに聴こえるんだよ。びっくりした!

─ 今言ったみたいに、あのアクの強い声がきれいに流れるって いう……?

T: そこはだから、俺のことをよく勉強して彼はやったんじゃない。すごいと思うよ。中々できないよ。作曲って押しつけだからね。 相手のことなんか大体考えないでやるからさ。 そういう意味ですごくびっくりしたね。

─ やっぱり好きなんだよね。絶対、TONOVANてTAKUROのことが…。

T: 好きだろうね。

─ 好きだからここまでできたんだよ。

T: そりゃそうだよ。だって東京でさ、何度も"俺、もうやめた"って 言ってるのに"行こう、行こう、行こう。やろう、やろう、やろう"って凄かったもん。彼は燃えてるよ、今回は。

─ 音を薄くするっていうのもTONOVANが……?

T: それは一番最初にね。とにかく基本はドラムとベースって…だからドラムとベースを呼んだんだって言ってたよ。薄いよね。俺は埋める癖があるんだけど、彼は埋めない。

─ ライヴのときのミュージシャンの数とか、埋め方ってすごいもんね。
  
T: すごい埋める。俺、退屈しちゃうんだよ、間が空いてると…。

─ (笑)

T: 何かやれよお前、暇なんだろって気になっちゃうの。セコイっていうかさ。

─ 11曲やった中で、今、取り立てて好きな曲ってある?

T: 「TKYO」以外は大体いいね。ヴォーカルがうまくいったっていうのがあるからね。これからミックスでどうなるかわかんないけど…。

─ でも歌があそこまでちゃんとしていれば、いい意味でミックスもやりようがないでしょ?

T: 面白いLPだとは思うよ。

─ ZUZUに全部詩を任せた時から、自分なりに歌うことに専念できると思った……?

T: もうそれしかないと思った。だって他のことでケンカできないわけじゃない。"歌だけは馬鹿野郎!"って感じで"歌うよ、俺は"っていうのがあるからね。 ヴォーカルだけだよね! 勝負は。

─ なるほどね。逆に作る前に、ZUZUに詩を頼もうと思った時から一発びっしり1枚歌ってみたいって気はあったの?

T: そんなにだいそれたことじゃないよな。ただまあ、詩は任せ たし、アレンジも任せちゃったし、口出しするとしたらヴォーカルだけだなと……、で、歌い回しにしては、また向こうも口出しするからさ。ZUZUが作った詩だから向こうのイントネイションに合わせようって……、もう声だけじゃない。いろいろやってたよ。ヴォーカルの間だけは……。

─ たとえば前に岡本おさみとか、TAKUROの詩を書いてた人との 関係と、今度のZUZUとの、作詞家と歌い手との関係って、何か変化ある? たとえば前はうんと口出ししたけど今回は出さなかったとか さ。

T: まあさ、ZUZUの場合はTONOVANとセットになってるニュアンスってあるじゃない。そういう言い方って失礼だけどさ。何か1セットになってるから、ZUZUだけとかTONOVANだけって感じじゃなくてさ……、大分イメージ違うよね。今までの松本隆とかさ……、松本隆とはけっこう討論してさ、戦わすんだけど……、1対2じゃ、こりゃしようがないわな。

─ もう叶わないんだよね。うち帰って、あのうちの中で何が行われているかわからないものね。

T: そう、そう、そう。何かいろいろやってるだろうなってことし かわからないからさ。そんなもん言ってもしようがねえや、これさっていう……。

─ そうすると逆に、任せた楽さっていうのもあったわけ?

T: そりゃあるよ、もうそりゃあるよ。だって俺、気楽だもん、今回。すっごい気が楽。知らないよって言えるもん。

─ (笑)

T: (笑)売れなくたって、俺、知らねえって……。

─ TONOVANがメロデイーを、TAKUROっていうのを考えて、すごく研究したとすると、ZUZUはZUZUなりに、言葉の部分ですごく意地張って、逆に逃げずに……、プロレスでいうと古典的な技だけで生もうとしてるっていうのも面白いよね。

T: そう、そう。あれは本気でケンカ売ってるよ。あたしTAKUROなんかより詩人なんだからっていう気分でやってるよ。あたしはTAKUROよりいい詩書けんのよっていう気分だと思うよ、あれは……。だって意地張ってるもん。

─ なるほどね。

T: 俺が使いそうな言葉、なるべく避けてるもん。

─ でも使いそうな言葉は避けてるけど、言葉ひと言っていう中に、何か逆に、十何年間で培われたTAKUROのイメージがワサッと入ってると思わない……?

T: あるかもしれないね。

─ 変にお洒落な言葉を使ってはないでしょ。いつもはけっこう小技を使う人だけど、今回はリアルに、ストレートにきてるよね。

T: きてるね。

It's fun to watch different people try different approach.

─ 高中のギターってどうだった?

T: 高中いいねぇ!

─ 前やったことあったっけ?

T: ライヴやった。レコーディングも1、2回やったんだけどね。ライヴはツアー回ったからね、大分前だけどね。

─ ここのところいいでしょ、また。

T: いいよ、あいつは……。抜けてる、抜けてる。驚いちゃったよ。最初、リズムとってる時に、あいつやる気あんのかなあって思ってたのね。で、1回説教したら……、あいつリアクションない じゃない。だから飽きちゃってやめたんだけど……、やる気あるのかなあって思ってたのね。でもこれ聴いていると、いいわあ、すごい。

─ マークは……?

T: 歌が入って良くなったね。ウイリーのベースも、歌が入るまでは、ちょっと聴けないって、あのままじゃちょっと聴けないって 気がしてたんだ、本当に……。でもKATOは見えてたらしいんだな。そこがプロデューサーなんだろうけど……。 俺には全然見えなくて、1、2回怒ったの。 "こんなんじゃ歌えない"って…。

─ たとえばこのメンバーで、1回だけ、昔の歌から好きなのを集めて、ライヴをやってみたいって思わない?

T: そりゃ思わない。 そりゃ。 それはまた七面倒臭過ぎるよ。

─ 簡単にできればやってもいいって……?

T: そりゃそうだ。いろんなコミュニケイションがとり易ければね。

─ 休んでる時って、けっこういろんなこと考える?

T: いやあ、俺はボケッとテレビ見てるか、雑誌読んでるか……、 とにかく、でもでも、ただ電話待ってるっていう気分は強いね、すごく。電話が楽しみだね。

─ どんなの……?

T: こういう映画があるから見に行かないかとか、こういう店ができたんだけど行ってみないかとか、面白い飲み屋があるとか、あそこにかわいい子がいるらしいよとか……。いろんな、雑多な人間が、いろんなアプローチしてくるじゃない。それはそれで、すごい楽しみなのよ。

─ たとえば仕事なんかでも、いろんな奴がいろんなことを言ってくると思うんだけど、"こんな馬鹿な話があったぜ"っていうとどんなのがある?

T: そうだなあ……、たけしが城を作るとかいうんで……、たけしの番組で……、そのお城の完成記念のスピーチやってくれっていうのがあった。(笑)

─ (笑)

T: 何でそんなこと、俺んとこにくるんだって!"それは渋谷、断ってくれよ"って……。"それはやめてくれよ"っていうのがあったなあ。

─ テレビとか映画の話ってよくくるの?

T: けっこうきてるけど、渋谷がとめてるね。レコーディングやってる時とかは取材とかも全部とめてるらしいし……。 

Let's all be selfish. It'll be alright.

━ 今、TAKUROが40になって、若いミュージシャンの中で    "あいつは面白えや"みたいな奴っている?

T: 若いっていうよりも、最初から桑田には興味があったね、    ずーっと……。で、相変わらずあいつがやってることは面白い。    無抵抗で好きなんだ。あいつのやり方は……。で、会って酒飲    んでると、またこれがナイーヴな人間なんだよね。"こんなこと    に気を使うの"みたいな優しい男で"ああなるほど、こういうところがあいつを支えているのかな"とかね。桑田は好きだよ。ミ    ュージシャンとしても、人間様も……,好きだね。 あとはほら、    音楽聴かないからね。人のはあんまり……。

━ 映画なんかだと、決まって、たとえば誰の映画だったら見に行く    とかってあるの?

T: ない、ない、ない。

━ 監督とか……?

T: まあ、だから女優でいうとジャクリーン・ビセットがすごい好き    だから、それだけは見に行く。あとは話題になってるって言われ    て、じゃあ俺も一応見とこうかっていうぐらいだね。でもあんま   り映画館行かないよ。

━ もうビデオ……?

T: ……。それはねえ、俺、最近変ったんだよ。引っ越ししてから…、    前は横浜だったからさ。渋谷に越してから、六本木も近いし、毎    晩飲みに行くなって思ったら、意外に家にいるのが気持ち良くて    ね。人が飲みに行こうって言っても"うち来いや"って言うんだ、   最近。"うちで飲まないか"って……。    そういうノリになっちゃってるんだよね。

━ でも皆んな出ないみたいよ。

T: 出ないねぇ。

━ 皆んな今のTAKUROじゃないけど、うちに来いやか、お前んちに行こ    うか……、それから飲みに行くというより、食事に出掛けて、その    後どこか行こうかっていうと、どっかの家に寄って終わると、けっ    こう楽に……。

T: 面白くないんだよね、やっぱり……。

━ 面白い店がないんだよ。そういう意味では、昔は溜まり場っていう    のがあったね……。

T: あった、あった。

━ どこの街にもあったでしょ。ペニーレインもそうだしさ。何かそこ    に行くと、何か面白い奴がいて、誰かいるかもしれないっていうの    が全然様変わりしちゃったじゃない?

T: そうだね。それは言えてるんだよな。面白いところないもんね、確    かに……。

━ 不良も減ったよね?

T: 不良は少ないんじゃないかなあ。

━ わがままな奴も減ったしさ。

T: わがままな奴は少なくなったねえ。

━ もう僕なんかよりも下ぐらいって、いないんじゃない。

T: そうだねえ。

━ 言ったらやっちゃうみたいなさ。TAKUROも瞬発力って言ってたけど、    やるかやらないかわからないことでも、一応言っちゃうでしょ、やるって……。

T: そう言ってさ……。

━ それで、言ったからやっちゃうみたいな……。

T: そう、そう。それで広げるって作業が必要なんだよ、これは……。

━ 酒ってもう、一貫して好きだった?

T: 好き、好き。好きですよ。倒れるまで行くよ、とりあえず。酩酊するっていうかさ。そうしないと何だか、ものすごい不愉快だよ。酒って    中途半端は……。

━ 変な言い方すると、SEXしてる途中でやめちゃったみたいな……。

T: それも嫌だね。(笑)

━ 今度東京で飲もうよ。

T: 飲もう、飲もう……。そういう奴っていないんだよ。今度会わないっ    ていうのはいるけどさ。TAMUJINがけっこう欲求不満で帰って……。

━ あ、TAMUJINと飲もうよ。

T: 帰り際に"思いっ切り飲みてえよ、俺"って言ってたよ。飲もう、飲もう。

━ バーンと……。 (GOSSIP+DRINK)

━ でもわがままな奴っていいね。

T: うん、いいねえ。そういう奴に好き勝手言われると、ガツーンてくるけど、    気分いいよ。気分爽快だね。

━ TONOVANだってけっこうわがままだよ。TAMJINだってそうじゃない?

T: そう、そう、そう。他のカメラマンじゃ俺のこと撮れないって言ってるよ。

━ そういう奴だけが残っていくんだよね。面白いな。

T: 皆んなでわがままやってればいいんだよ。        

 - インタビュー終わり -    

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