映画・旅の重さ
映画「旅の重さ」を久しぶりに見ました。 以下ネタばれあります。
72年の作品なんですね。拓郎ファンは見ます、これは。 映画の冒頭から「今日までそして明日から」が流れる。 これだけでもうあきません。 新人「高橋洋子」ちゃんの笑顔の素敵なこと。
途中、泣くシーンもあるけれど正直言うとそこはヘタ。 黙って笑っている目が、口元が素晴らしい。 新人て本当か? エンド・ロールに「新人」と出てくるから本当ですな。
先日記事にした岸田今日子さんが母親役。 お若いのは勿論だけれど、独特の艶っぽい雰囲気。 その雰囲気そのままの役柄。
母子の手紙のやり取りで話は進んで行く。 高橋洋子演じる娘は16歳。 少女なのかどうかなんとも微妙な年齢ですが、そこがこの映画のテーマにも通じる。 娘は母のもとを飛び出し四国へ。
好きなのはこの四国の風景。 夏なのです。 海も山も畑もそのまま四国の夏。 匂いまで届いてきそうな、自分が小、中学生の頃に走り回っていたそのままの風景。 むせ返るような蒸し暑い四国の風景が懐かしい。
娘はお遍路さんを真似て歩く。 日が暮れると野宿をする。 民家もお寺も自分が見て育ったそのままの光景。 当時すでに古い木造民家の壁に「看板」。 あったあった。
小さな商店街には「写真屋」が。 看板には「フジカラー」の文字。 思わず、なるほどっと笑う。
音楽「よしだたくろう」。 「今日までそして明日から」は主題歌であり、挿入歌でありエンディング・テーマ曲でもある。 どの場面にもぴたりと合っている。 感動するのはこれだけでなく「恋の歌」。 唄は無く、インストゥルメンタルで流れてくる。 それもいくつかのバージョンがあり、シーンによってアコギのみ。 また別のシーンではストリングスで。 これは沁みる。 ここだけ何度も観たい。
さて、撮影は四国の愛媛と高知。 でもね、香川といっても徳島といってもよい風景。 娘は「海よ、ここが土佐の海よ!」と叫ぶ。 桂浜かなあ、もっと田舎の海岸のような。 徳島の日和佐のおばちゃんの所(平成の大合併で“美波町になっとるじょ)とそっくりじょ。 あ、この徳島南部の小さな漁師町にもお大師さんはちゃんといらしていて、「薬王寺」さんがあります。 厄払いには必ず行きます。 「おやくっさん」と呼んでます。
娘はお遍路さんと知り合い、そして別れ、祭りで興行する芝居の一座と出会い、漁師と出会う。 登場人物もみな若々しく男盛り。
自殺する文学少女には若き「秋吉久美子」が扮している。 演技は???
四国で育った者なら皆、経験するお遍路さんの姿。 それは交通量の多い国道沿いにも見られた。 お遍路さんを接待する習慣も。 小さい頃は、いつの間にか家の前に「托鉢の僧」が。 親から小銭を手渡されて、修行僧に差し上げる。 お遍路さんは「同行二人」、お大師さんと二人。 そんな会話も映画の中にみられた。
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