フォーク・ルネサンス
FM NACK5 9月19日放送 フォーク・ルネサンス2005 ④
PM 4:00~11:15
パーソナリティー 坂崎幸之助
ゲスト 泉谷しげる編
泉谷: 新しいことをやる人間をやっぱり認めなきゃだめですよ。
坂崎: うん、そうですね。ファンていうのはやっぱりわがままだし。
泉谷: そう、保守的だし。
坂崎: よくわかります、自分がそうだったからな。でもそん時はまだ
自分が幼なかったっていうのがあるね。
泉谷: それはある。ついていけないんだ。
坂崎: そうなんですよ。どうしちゃったんだろうって。ビートルズ
の変化にまずついていけなかったですよ僕。
泉谷: それがわからないんだよ、みんながな。俺なんてだからタック
スマンみんなすごいすごいって言うけど、サージェント・ペ
パーズ以降の方が好きなんだ。
坂崎: え、あ、当時からですか?
泉谷: そう。
坂崎: じゃあやっぱり革新的なんですね。
泉谷: 革新的、うんたまたまなのかもしんないけどー、だから「こう
でなきゃいけない」っていう人は好きじゃないのよ。なんかこう。
こうでなきゃいけない?なんで?っていう、すごいつまんないわ
けじゃない。そんなって、何がおもしろいかわからないじゃない、
そんなもの。だから岡林さんで言うとはっぴいえんどとやった以降
の方が好きだし、いやいや前のもいいですよ。
坂崎: 僕もおとなになって聞くとそうでしたね。やっぱりね中学生くらい
だとわかんなかった。ビートルズもわかんなかった。
泉谷: だからホワイトアルバムなんか大好きだもんね。あれ一番評判
悪いでしょ。
坂崎: そう、ばらばらで。
泉谷: ばらばらで。いや、だけど個人の才能が出ててすごいおもしろ
いなと。
坂崎: だからそれぞれのアルバムの聞き方が違いますよね、ビート
ルズの場合ね。ま、岡林さんもそうでしょうけど。
泉谷: だから音楽と言えど成長度にかかわってるよな。そいつのな。
坂崎: なるほど。
泉谷: だからそれはあるよ。例えばT・REXなんて、あのーやっぱり
俺は18くらいの時はきつかったもん。聞けないのよね、買った
はいいけど。怖いんだよまだ。まだ怖いんだ。
坂崎: はははは、それわかる、怖い(笑)
泉谷: そうそうそうそうなんだかよくわかんないんだ。(笑)
理解できない自分が怖いんだ。(笑)聞いちゃった時に「ありゃ
りゃりゃ~」と思うのが嫌だから。怖いから聞かないわけ。
だから封を開けないわけ。(笑)3年ぐらいさぁ寝かしとくわけ。
で、聞き頃になると「かっこいい~」と思うわけさ。(笑)
坂崎: あー俺でもあれがそうでしたよ、プログレがそうだった。
泉谷: おぅそうそうそう。
坂崎: EL&Pとか、イエスとかねぇそうだった。
泉谷: そうそう。だからやっぱり時代の最先端てぇのは新しい事、
どんどんやってるわけじゃない。そうそう。
坂崎: そうそう、サディスティック・ミカ・バンドの加藤さんがね、
あのスーパーガスってアルパム、ソロで出して、で、いき
なりサイクリング・ブギ、僕ついて行けなかったです。なん
だろうって。加藤さんどうしちゃったんだろうって。♪赤い
チェックのシャツをなびかせきょうも銀座の街角~、なん
だろう古臭い音楽やってんなぁって思って。
そしたらそれが新しかったですね。
泉谷: あたらしかったんですよ。
坂崎: その後ダウンタウン・ブギ・ウギ・バンド出たりとか。
泉谷: そうです。
坂崎: フィフティーズが復活したというか。
泉谷: だから加藤さん、あれ結局T・REXから来てんですよ。
坂崎: T・REX、そうですよね。
泉谷: だからあの一番最初そのサイクリングブギをうちで聞かせ
てもらった時に「泉谷、これだよ」って持ってきたのが「電気
の武者」って帯に書いてあるんだ。「なんだ?」、それが
T・REXだったの。
坂崎: はははは。
泉谷: 電気の武者だよ。
坂崎: 電気の武者、なんだ。すごいですね。(笑)
泉谷: すごいな。「お前、いまこれ聞かなきゃだめだ」って。あ、あ、
そうなんですか。「どうだ、泉谷」って言うから、坂崎と同じで、
「サイクリングブギ?なんだこりゃ」って一瞬思ったよ「なんだ
これ」って思ったんだけど「先輩かっこいいです」とか言って、
ははは。
坂崎: でもそれですぐ、すぐっていうかいっしょに。
泉谷: ええ、もちろんもちろん。
坂崎: ま、泉谷さんに関して僕が一番ぶっ飛んだのはストリート・
ファイティング・マンですから。
泉谷: あれはもう客を失いましたからね。♪「電光石火に銀の靴」
を唄う
・・・ 一部略 ・・・
坂崎: なんかテレビで見たんですよ、泉谷さんがバンジョー弾いて、
入江君と。
泉谷: そうです。フジテレビのスタジオですよ。
坂崎: なんだこの人達。泉谷さんどうしちゃったの、バンジョー弾い
てるぞって。
泉谷: そうですよ、あの一曲しかできないです。あれ一曲しかで
きない。
坂崎: あのインパクトがすっごい強くて。
泉谷: うん、だからやっぱりあのー。
坂崎: ファンを失った。(笑)
泉谷: 失いましたね。(笑)
坂崎: 保守的ですからしょうがない。(笑)
泉谷: 保守的ですから、だからあのーやはり自分にいろいろ期待
しておきながら結局、保守的なものしか求めないんだったら
やってもしょうがないなっていう気になりますよね。ばかばか
しくなるじゃん。
それだったらさ定例音楽会のお客さんの拍手がね、やって
りゃいいんだよそんなものは。な、新しいかっこうもしなきゃい
いんだよ。やっぱり俺は客失うぐらいのことやれっつうの。
坂崎: たしかにそうですね、コンサートもヒットメドレーみたいなの
だけになっちゃいますよね。
泉谷: だってさぁ、演歌とどこが違うのって俺、思っちゃうわけさ。
坂崎: やっぱりでもあれですね、さっき泉谷さんが言った昔の方々
ってのは新曲をねライブで最初に聞かせる。
泉谷: そうです。
坂崎: これはやっぱり最近あんまりないですもんね。
泉谷: ないです。 新曲怖がるよね。
坂崎: 怖いですね。 確かに、客の反応が。
泉谷: そうですよね。だからいかにお客側にしか向いて歌ってない
かって事ですよ。 やっぱりあの、スーパースターなんか見て
みると自分達のステージに集中してますよね。 お前らの器
量試してるようなもんだよね。 「で、わかんの、これ」ってさ。
生意気だよね。
「俺のこの曲わかんのかー」みたいなさー。(笑)
「わかってみやがれー」みたいな。(笑)こういうね、はっぴい
えんどもそうだったしそれがあったのよ。 「わかるものなら
わかってみやがれー」みたいな。(笑)
坂崎: かっこいいー。(笑)
泉谷: かっこいいじゃないですかそれー。 ねぇー。 だからそうい
う大人、先輩達に私は憧れちゃったっていう事もあるわ
なー。
坂崎: 最近でも泉谷さんステージよりもドラマの方が多いんで
すか?
泉谷: そうなんだよ、だからねこの間ねちょこっとイベント出た
ら「てめぇーなんでやんないんだ」って怒られたけどさー。
そう、客が怒りだしたんだけど「やんねぇんだったってお
前らのためにやってんじゃねーんだ」って言って。 俺、
自分のためにやってんだけどさ。
「俺がいつやろうが大きなお世話だばか」っつって。(笑)
もう客と喧嘩してんの。(笑)
坂崎: それは昔っから変わんない。(笑)
泉谷: 変わらないですね。(笑)
坂崎: そうそう、開演時間になると「早く出て来い」っていうのも
珍しいですよね。
泉谷: そう未だに凄いんですもんね、それはありがたいんだけど、
ありがたいんだけどいい気になってるよな、あいつら。
坂崎: あれでも一つの儀式ですよね。(笑)
泉谷: 儀式だね。(笑)
坂崎: お互いの。(笑)
泉谷: だからさーこの間、ひさしぶりにやったらさ、いやー1、2曲
歌ったら自分に感動しちゃって、「もういい」。満足しちゃっ
て「帰るは」。
「偉いだろお前ら」って言ってさ。(笑)「1、2曲歌ったんだぞ
俺は」と。(笑)
坂崎: 自分で感激しちゃって。(笑)
泉谷: 自分で感激しちゃって「もう帰る」って。(笑) 「ばかやろー」
とかもう。で結局2時間半もやってしまって落ち込んじゃった
よ。
坂崎: はは、落ち込まないでもいいじゃないですか。
泉谷: 2時間半もやっちゃったんだ、のっちゃったんだよ。(笑)
のっちゃった自分が悔しい。(笑)
坂崎: ははは、なるほどーのせられたのかもしんない。(笑)
泉谷: のせられたのすっっっごい悔しい。(笑)
俺は人をのせるためにやってんだからー。(笑)
坂崎: ひーひー、さっきのと全然違うじゃん泉谷さん。(笑)
「わかってみやがれ」と全然違うー。(笑)
泉谷: 客にのせられて「しまったー」と思ったな。落ち込んだなー。
坂崎: ひーひー。(笑) 自分の理想像とは違って。(笑)
泉谷: あー俺、もうやんない。 もう引退する。(笑)
もうやだ、もうやだ。(笑)
坂崎: ぜひやって欲しいですね。
泉谷: いやいやいやー来年はなんとか増やすためにここんとこ
1、2年ねドラマがちょっと続きすぎたんで。
坂崎: そうですよね。
泉谷: 欲求不満かなぁ。 うーんだから来年なんとかがんばりま
すよ。
ぜひぜひ、やりますよしょうがないから。
坂崎: 音楽やりましょうよ。音楽家としては。(笑)
泉谷: そうだねやはり音楽がなけりぁこういうふうにはなってな
いからねぇー。
坂崎: どうですかデビューした時の最初の泉谷しげる登場、が
出た時にここまで56ですか今・・・
泉谷: 考えてないですよ。
坂崎: どんな未来を考えてました?
泉谷: 未来もなにも当時ジミヘンからジャニス・ジョプリンから
レノンも含めてそうだけどやっぱり当時のロックは早死
ですよ。
26越えたら死ね!(笑)みたいな。(笑)
坂崎: はははは。 思ってた。自分でも思ってました?
泉谷: まったく思ってた。 みんな思ってた。
坂崎: じゃあもうガンガンに華を咲かして・・
泉谷: 死ぬ。
坂崎: あー、やっぱそうだったんだ。
泉谷: そう。それがもうどれほどかっこいいことかっていう。憧れ
てたから生き延びちゃって自分が。 すっごい後悔してん
の。
坂崎: 後悔しないでください。(笑)
泉谷: ものすごい最初、落ち込みましたよ。 あー、28なっちゃ
った!
みたいな。(笑) 俺ん中の26はどこ行った?みたいな
さー。(笑)
坂崎: じゃあ30とか言ったら大変?
泉谷: もう、もう引退。
坂崎: ひひひ、してないし。(笑) こうなったらもう70、80まで。
泉谷: いや、だからもうねー。
坂崎: ムッシュを目指して。(笑)
泉谷: あえてやろうかなと思うのね。 かっこ悪い事も逆にかっこい
いんじゃないかと。
坂崎: 今度のアルバムタイトルにいいんじゃないですか。「かっこ
悪いことはなんてかっこいいんだろう」って。(笑)
泉谷: そうそうそう。 という風にしてやろうかなと、いう気にこの
間なりましたね。(笑)
坂崎: この間!?(笑) 最近じゃないですか。(笑)
泉谷: はは、最近なんだけど。(笑)
坂崎: ぜひぜひまた、歌いましょうよ。
泉谷: がんばりますよ。
坂崎: じゃあ春夏秋冬、お別れに。
( 泉谷編・終 )
| 固定リンク
「フォーク・ルネサンス」カテゴリの記事
- フォーク・ルネサンス2005( 吉田拓郎ミニ特集② )(2005.12.11)
- フォーク・ルネサンス2005(吉田拓郎ミニ特集①)(2005.12.10)
- フォーク・ルネサンス(2005.11.27)
- FM NACK5フォーク・ルネサンス 2005 ③(2005.11.10)
- FM NACK5 フォーク・ルネサンス 2005 ②(2005.09.25)
コメント