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2005/08/07

77年大いなる人・拓郎×岡本おさみ対談⑦ 「オレがやらねば誰がやる」 といつも俺は思っている

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拓郎  岡本ちゃんには幸せな部分が一つあると思うんだ。ライバルがいないということね。 ということは、あいつに勝とうとかそういう ことがないだろうからね。まあ、そういう情況に自分を置いているからかもしれないけど。 それが岡本おさみの人生にとって、結果的に いいか悪いかもわからないけれどね。
岡本  そういうことは気にしないって自分で思い込んでいるだけかもしれないしな。
拓郎  まあ時として、泥まみれ汗まみれの仕事をしていることは事実なんだけど…。それ はそうとまた『旅の宿』みたいなもの書いてよ。いや、みたいなってのは大変失礼な言い方だけど(笑)。
岡本  でも、そういうふうに言われると、俺はそれを意識しすぎちゃって、多分駄作しか書けないと思うんだよね。
拓郎   あの曲みたいな歌を作ってよ、なんて言ってくるディレクターとか、一番失礼なヤ ツなんだよね。そう言われるのが一番不愉快だしね。
岡本  それは本当に不愉快だね。
拓郎  そういうヤツがまた多いんだよ。そう いうヤツに限って曲なんて簡単に作れるもの って思っているんだな、また…。
岡本  話は変わるけど、久しぶりにこの間会った時感じたんだけど、相変わらず闘争心旺 盛だね。それから多少権力志向も出てきたような気がした。
拓郎  そうかねえ…。権力志向が出てきたなんて言われたら、もう返す言葉もないんだけ ど…。
岡本  いや、言葉ではどこがどうゆうふうにって説明できないんだけど、僕みたいに現場 からずっと離れていた人間と、時には殺ばつとした現場にずっといて、闘ってきた人間の 違いがね、そう感じさせたのかもしれないんだけどね。
拓郎  まあ生意気な言い方をすればさ、常に俺がやんなきゃいかん。俺がやんなきゃ誰に できるかっていう自負心とか義務感が、俺には人一倍あるわけ。義務感とか正義感だけで 仕事しちゃいかんと思うけどね。でも、ここは一発、俺が踏んばらなきゃいかんという気持ちがいつもあって、寝る前に必ず毎日、その日一日にあったことや話したことなんかを考えるんだけど、結論としてはいつも「よ し、もうちょっと頑張らなきゃいかんな」っ てことになるんだよね。その辺は以前とまったく変わってないわけよ。エレックにいた時 も、CBSソニーにいた時も、フォーライフであってもね。 CBSソニーには大賀さんという社長がいたわけだけど、俺にとってはや っぱり俺のソニー“だったし、たとえ今フ オーライフの社長でなくても、フォーライフ にいたら、"俺のフォーライフ“になるんだよ。 音楽そのものにしても、音楽あってのさじ ゃなくて”オレの音楽、オレの音楽情況“な んだよ。つまり,まず俺が先頭に立ってやっ ていかなきゃいかん、というところは一貫し て変わってないと思うんだ。それはもう、性格としかいえないのかもしれないけれど…。
岡本  だから僕が感じたものはさ、そこに1つの肩書きがついた、その分だけ違うんじゃないかって思ったせいかもしれない。こっちは非常に気楽な風来坊でいたし…。でもさ、社長になって、雑用がふえて、その分だけマイナスになっちゃダメだと思うんだけどね。
拓郎  まあ、雑用も今はよしとしているわけよ、やらにゃならんという気もしているし。それはまあ、さっきいった棟方志功ですよ(笑)。 雑用もちゃんとやれないようだったら、なんかゴチャゴチャえらそうなこと言う資格もないって気がするんだな。ただ雑用をいっぱいやっていると、半分は敵で、半分は味方って ことになってしまうのは相変わらずで、人間 関係で迷わされることが多いね。非常にコミュニケーションがむずかしい。でも、それは仕方ないとして、そういう中で頑張ってやっていくしかない。それが俺の性格、俺の生き方だからね……。
岡本  でも、来年はアーチストとしても、いろいろやるんでしょ?
拓郎  やるよ!
岡本  そりゃいいな。もう一度”つま恋“ク ラスのコンサートやるんだってね。必ずまた見に行くよ。
拓郎  場所はどこになるかまだわからないけど、あの規模のもので、あれ以上にね、お客 さんが燃え上がれるような情況をつくってみせるから、期待していてください。
  (終)

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