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2005/06/21

この唄を君に贈ろう ( 4 )

yoshidacho

小室: そのー、ま、鹿児島での、その旅っていうのは、良かったと。

拓郎: ホント良かったですね。

小室: 何度儀礼的な墓参りをするよりも。

拓郎: うんうん、だから俺は多分、ま、これきっと年齢のなせる何と

   かだって気がしてさ。あの~つまり二十歳代で俺はこういう事

   は恐らくできなかっただろうし、思いもしなかったし。

   三十でも、思ってなかったですからね。でまぁ墓参りしときゃ
 
   いいじゃないか、っていう事だったんだけど。

   きっとそういうのは、ある種、年齢でしょう。

小室: 俺も帰って墓参り行ってくる。

拓郎: いや、小室さんは絶対行ったほうがいいですね。あのぅ、墓参

   りじゃなくっても、なんか・・・親父さん言いたい事あるよ、

   キミには。キミだからこそ。

   うん、俺がきみの親父だったら言うなぁ、いろんな事を。(笑)

   うん、きみにだったらいろんな事、言っとかないとね。(笑)

   おちおち死ねやしないんだから。(笑)

小室: 死んだんだよ。

拓郎: うん、だから死んだんでしょ。

小室: うん。

拓郎: だからきみを残してさぁ、死んじゃったって事は、そうとうい

   ろんな事が溜まってるはずなんだよ。是非きみはね、行くべき

   です。うん、いやもう本当に行きなさい。

小室: ほぅ・・・

拓郎: ね、いい子だから行きなさい。(笑)親父さん、どこに居た人

   ですか?生前ちゅうか、生きてた頃。住んでる町とか、俺だっ

   たら鹿児島だけど・・・言いたくないんですか?

小室: これは・・・あの・・・俺達の番組だからさ・・・あの・・・

拓郎: え?何、言ってんの?俺達の番組って。(笑)急に何、言って

   んの?(笑)動揺したなぁ今、相当。(笑)

小室: ・・・親父・・すぐ傍にずっと住んでたんだ・・・

拓郎: 今、嫌~な言い方したなぁ。(笑)

小室: いやいや、だけど俺はすごく冷たかったんだ、親父に対して。

   俺は・・・うん・・だからこの話をしたら俺は・・・

拓郎: うん。

小室: ・・・滅入って泣くよ・・・最後は。

拓郎: ふーん、いいんじゃないかな、きみの店だよ、ここは。

   好きなようにしていいんじゃないの。

小室: (小さな声で)ふーん。

拓郎: 俺達が時間があるかないかは別にして、話、始めちゃったら?

小室: (もっと小さな声で考え込むように)ふー・・ん。

拓郎: いけるとこまで聞いてあげるからね。

   (アシスタント二人に)適当に、帰りましょうね。

小室: (沈黙してしまう。)

拓郎: (間が持たず)あの人は、何メモしてるんですか?

小室: いろいろね、あのー、あんた番組の事なんにも知らないのに、

   見事に番組を仕切ってる感じがするわ。

全員: はははは。

小室: あのメモはこれからやろうとする事に関係があるんだ。

拓郎: あぁ、関係がある人?

小室: 僕らの会話を、盗み聞きしている、お店のCIAなんだ。

拓郎: 「変な女」でしょう。

小室: そうなんだ。(笑)

拓郎: そういう女、いるんだよ。(笑)勘違いしてすぐメモるやつ。

小室: そうなんだ。それで、そのメモしたやつからアトランダムに

   ピックアップして、つなげてしまって曲を作ろうっていう魂

   胆なんだ。

拓郎: 彼が?

小室: きみがだよ。

拓郎: あははは。

               続く

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