( 2 ) 70年代
拓郎: あれですねぇ、やっぱり声が可愛いですね。僕ね当時から言われてたんです、しわがれた声って。当時のエレックレコードって言う所の人達が、瀬戸内海の潮風で、なんか俺、浪曲師、演歌師みたいな、瀬戸内海の潮風で、なんだったかなぁ「枯れた声」っていう人だったんですよ。そういうイメージをつけて売り出そうっていう作戦があったんですが見事に外れるというね。(笑) 僕はね、一番最初はね、今のは一応レコードなんですけども、最初はソノラマっつって、朝日ソノラマ。赤いペラペラの、でレコードの針が飛ぶんですよ。そいでレコード針の上に5円玉乗っけたりしてね、飛ばないようにしてかけるとかかるっていう、それが僕のデビュー。僕はだからね、最初からレコードデビューしてないっていう、わけのわかんない事だったんですよね。
ちょうどさっきの、青春の詩とかイメージの詩とか、あそこらへんはね、アマチュアの時に作った曲なんですけども、そういうのをエレックの人とか聴いてね、「プロにならないか」とか言って、すったもんだ、結構僕、広島でおふくろが、あのお茶とお花の先生やってましたから。で、おふくろがよく僕にね、「将来母さんの後を継ぎなさい」と。 うん、だから僕、お茶とお花、上手いんですよ。お師匠さんになれるんですよ、いつでも。僕、こまったら必ず裏千家で食っていこうという、覚悟は決まってるんですけども、中学の頃からね、お花はあんまり好きじゃなかったですが、お茶って結構好きでね、うちのおふくろが教える若い娘ちゃんが遊びに来るでしょ。もう楽しくて、お茶は。いつでもおふくろの後を継げるっていうのがあったからね、東京でレコード歌手とか、フォークソングのプロなんて考えた事もなくて、趣味程度にギター弾いて歌ってればいいっていうものだったんですが。 そのエレックの人達がですね、言うんですよ凄い事を。「お前は全てのアーティストを超えている」とか、いろんな事を。東京の人がね、僕その頃まだ広島弁だから「なんかいのぉ~」っていう感じで訛ってたんですが、「君はさぁ」とか言われると東京の人は説得力あるな、とかね、思ったですよ(笑)
それでまぁ、じゃあ、会社に入りましょうっていう決心をして、最初に行ったのが社員契約。僕、その頃ね、アーティストじゃないんですよ。(笑)だからエレックレコードの社員。 僕は自分のレコードも自分で包んだし、梱包して。所謂ね、配達レコード会社っていうか通信販売だったの、エレックレコードって。で店頭に滅多に置けないんですよ。でその、ハガキなんかで「レコードください」って来たら、自分で包んでね。時々、新宿なんかの大きいレコード屋なんかに自分でレコード持って行くんですよ。エレックレコードに車の免許持ってるヤツ居なくてね、僕は免許持ってるからっつんで、自分のレコードをねダンボールに詰めて、レコード屋行って「エレックでーす」とか言って。 「何か出たのか?」、「はい、新人の出ました」とか言って。「どんなんだ?」、「フォークでーす」とか言って自分のレコ ードをこう見せて。「なんだこりゃぁ」とか言われるんですよね、だいたい。(笑)でも自分で持って行ってね。僕、だからエレックレコードの社員として会社に入ったんですよね。給料が3万5千円、初任給、大卒。安い?普通かな?当時だったらそんなもんなのかなぁ。3万5千円なんだけど、僕は贅沢が好きだったっていう。(笑)最初っからね、
アパート暮らしの体験が無い。最初からマンション、バス・トイレ付き。キッチンもあって2DK。いきなり5万円の部屋に住んじゃったという。(笑)だから毎月1万5千円のマイナス。(笑)給料が3万5千円でしょ、だから部屋代が払えないですよ。毎月、会社から前借りが溜まっていって、でー、年間で凄い借金が溜まるんですよ。するとほら、年末にボーナスが、だいたい当時で10万ぐらいかな、1万円札10枚もらってね、嬉しかったですが、それをうちへ帰ると部屋のカーテンのレールにね、洗濯バサミで10枚吊るしておくんですよ。で毎晩寝る時に、こうやって減っていくのを見ながら「あと5枚だ」と思ったらすぐ貯金しにいくとかね。(笑)結構せこい生活をね。(笑)おくってたんです。 そんな人がまさかフォークのプリンスになると思わないでしょ。フォークのプリンスですからね。(笑)僕、フォークのプリンスとかフォークの貴公子って言われた時代があったんですが、その当時からキャバレーが好きだったっていうね。(笑)そんなプリンスがいるわけないだろっていうぐらい滅茶苦茶なおっさんでしたけどね。(笑)
曲、いきましょうか。
「マークⅡ」
うまい!ギターが。(笑)
「夏休み」
続く
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