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2005/04/20

( 25 ) 拓郎の映画話

アナ: 先程、武田鉄矢さんがお昼の時間に遊びに来て頂いた時にお話に出ました、映画の。
拓郎: 映画!あのですねぇ、84年の頃だったんですが、えっとつま恋と言う所で、ワンラストナイトっていう、最後にしたいな、こういうイベントっていう感じで、ま、1回、つま恋っていう所は思い出もあるし、将来僕はあそこに住もうかと思っているぐらいですから。そこで最後のコンサートやっちゃおうっていうんで、やったんです。なんでそれやったかって言うと、ま、飽きてたの。コンサートツアーっていうのに。今はやんなきゃって思ってますよ。でも僕は飽きやすい人間だから、飽きるんです、コンサートツアーって。例えば、きょうここに来て歌って、東京へ帰るってコース決まってるでしょ。で、日帰りだとか。 いっつもやってる道を通るっていうのが好きじゃないんですよ。なんか横道行きたいの、性格が。それをずっと日本中ドメスティックに周ってると、飽きるんですよ、さすがに。若い頃はね、札幌のキンキが食いたい、とか、ホッケが美味い、とか言いながらなんか理由づけてね、行ってましたけども、年に2回ぐらい行くっていうパターンをね、20年やってるとさすがに、もういいじゃないっていう・・・なんかそれから自分の曲にも飽きてくる、とかね。いろんな飽きがきて、「なーんか違う事したいな」って思ってると、鉄矢が、その前から「刑事物語」っていうシリーズ作ってて、主題歌を書いてくれって言うんで、広島弁でやってみようか、とか言っておもしろかったんですが、その頃から、映画の事をよく彼は、熱弁振るうタイプですから、「ダンナ、3億儲かるよ」とか。(笑)そんなんばっかりですが、「映画やんないか」って言われて、84年に、あの「RONIN」っていう映画を鉄矢が作って・・さんざんの悪評でしたけど、悪評なんですよ、だいたいああいう連中が作ると。あの、桑田が作った「稲村ジェーン」もお客さんはたくさん来てるんだけども、評論家に言わせるとボロクソでね。
アナ: いいこと言いませんものね。
拓郎: そんなもんでいいんですよ、作ってみろっていう事ですから。鉄矢も、僕は映画を作ってるって事はすごい偉いと思うんですが、現場のね、あの凄さを見るとね、映画を作る事がどんなに大変で、見る事が簡単で、評論を言う事がどんなに簡単か、ということが。ホントにね、これを生き地獄って言うんです、映画のロケ現場。
アナ: ずっと、あの、いらっしゃったんですってね。
拓郎: 何ヶ月間か離れ小島に、閉じ込められて、そこでロケをやるんですがね、朝4時頃からですよ起きるの。そいで、夜はまあ日が蔭るとないから6時頃終わるんですが。ずーーーーっとワンシーンを、だから映画館行って見ると、たった30秒ぐらいの事を1日がかりで、朝4時から起きてやってるんです、大の大人がいっぱい集まって。あーでもない、こーでもないって。見てる方は楽だなって思うんだけど、やってる方は、僕なんかね高杉晋作の役ですが、「あ、きょうは雨だな」って言うだけで、二日間。で僕はね、ずっと「あ、きょうは雨だな」って言ってるだけなんですよ。俺はいいと思ってんだけど監督はダメって言うわけ。ダメもなにもねぇ、これしかないのセリフは。何がいけないんだろう、「あっ」がいけないのか「きょうは」がいけないのか、「雨だな」がいけないのか、何かが気にいらないんですよ監督の。で、その監督が「今日は撮りたくない」って言うと、撮れないんですよ。(笑)わがままが始まったりすると。だからもう地獄、そこへもってきてほら共演、浅野温子さんて、きれいに女優さんで、浅野さんが子どもができた頃で、ちっちゃい子どもを連れて来るんですよ。なんか母親なんですよね。で、浅野さんを犯さなきゃいけないんです僕は。犯せないの、子ども抱いてるからずっと、本番前まで子ども抱いてる人のね、上に乗っかっちゃいけないっていう気がするんですよ。でもね、監督はね、その前いろんな洋画を見せるわけ。それで「こういう風に犯してくれ」とか、僕に言うんですよ、監督さんて。女優さんじゃなくて男優さんの方に、「拓郎さんね、こうやって犯してくれると結構色っぽいんだよ」で、「監督、犯すシーン止めましょうよ」って言うと「犯しちゃっていいから」。凄い、他人事だと思ってね、言うんですが、浅野さんて方も、ご存知のように性格のきつい方ですから、なかなか犯させてくれない。
で僕は、ある日、事前にね、浅野さんの承諾を得ておこうと思って、よしゃあいいのに、「温子さん、ちょっとお酒飲もう」とか言って。で、飲みながら、「あの~、乱暴しちゃうシーンがあるんですけど、いいですか?」っつったら、「いいけど」(笑)、それだけ。(笑)女優さんの図太さ、力強さ、そん時ね、あ、女優さんて平気で胸を出したりとか、犯されたりする事は、「いいけど」っていう感じなんだなっていう。そこへいくと男の俳優っていうのは武田鉄矢を筆頭に・・・(笑) 武田鉄矢が、ある日ですね、ミスマッチで出てる僕にですね、「拓郎さん、ちょっと僕の部屋に来ませんか?」「おもしろい物ありますよ」。てっきり僕は、アダルトだと思って、てっきり。もうだって男所帯ですからね、何十人ていう。 きょうぐらいはめ外そう、という気分で鉄矢が、「僕の部屋来ませんか?」。で、行ったら、なんと坂本龍馬の本を延々見せるんですよ。見たくないと思いません?(笑)ずっと坂本龍馬をやってるわけですから。で、目の前に鉄矢がずっといるわけ朝から晩まで。(笑)もう龍馬飽きてるわけ。飽きてる上に「いい物がありますから」っつって、龍馬の写真見たくねぇだろっていう。(笑)そういう現場ですよ。 女優さんなんて凄いと思うのは、離れ小島で、仮説トイレですよ。もうウダルような暑さの所で、大から小からこなすわけですよ、みんなが。ま、男はまだいいけど、女の子は大変でしょう。そういうね、映画を作るっていうのは、見てるほど楽じゃない、というがありますから。桑田がやった稲村ジェーンが、音楽作るのの365倍疲れたって言うのもよくわかる気がして。それくらい疲れますよね。そう思って映画も見るとね、結構感動的です。 そういう事を武田鉄矢はいろいろ僕に教えてくれましたね。その「刑事物語」の主題歌ですが、これいきましょうか。これねぇ、刑事物語ってワンシーンだけ、僕出てるんですけどね。高知の方でロケやっててね、鉄矢達。ほんで「出ません?」「遊びに来ません?」とか言って。セリフが「おっ」。「おっ」って言うだけなんですが。(笑)ラーメン屋で。それだって一応、共演ですから。(笑)そうですRONINなんてね、原田美恵子共演ってなってるけどね、逢ったことないんですから。(笑)
 
「唇をかみしめて」
 
続く
 
 
 

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